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動き出した大企業、オープンイノベーションの「5つの課題」を乗り越えられるか

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オープンイノベーションへの取り組みに関して、改めて各社が本腰を入れてきているように思います。ここ最近でMONOistやTechFactoryで取り上げられた記事を見てみましょう。

▼ホンダ
本田技術研究所の新拠点、目指すのは創業時のような「柔軟で機敏な組織」

▼IHI
ロボットやICTなどの実験機能を集約する新実験棟を建設

▼コニカミノルタ
収益不問で投資とリソース活用は自由? 放任主義が生むイノベーション

▼安川電機
3年間で20億円、国内外のベンチャー企業を対象に投資を本格化

これまでにも「オープンイノベーション」の取り組みはさまざまな形で進められてきました。特にここ2~3年のトレンドとしては、ハッカソンやアイデアソンの開催、3Dプリンタに端を発したFAB施設のオープンなどが多かったように思いますが、ここにきて大企業が本格的に自社と他社(他者)も巻き込んだ研究開発体制を整備し始めてきているように思います。

その要因としては、IoT、インダストリー4.0、人工知能といった新しいテーマによる新たな市場の形成や変動といった動向によるものもあるでしょうし、日本市場や業界に対する「危機感」もあるでしょう。

私自身、昨年に某大手自動車メーカーでのクローズドなアイデアソンに参加させていただきましたが、そのメーカーも危機感を持っており、「これまでにない取り組みとして社内外からアイデアの種を集め、場合によっては一緒に開発したい」という思いで開催したと言っていました。1日だけのアイデアソンでしたので、その場で何か新しいものが生まれる、というほどのところまでは行きませんでしたが、イベントに招集されたメンバーは、大手製造業のエンジニアからベンチャー経営者、Webサービス事業会社など幅広く、多様な接点を持って行きたいという意思を感じました。

●イノベーションを生むための環境整備

「イノベーション」というのは、何か元となるものがあり、そこに別の要素が加わることで、新たな価値を生み出すということだと考えると、何かを開発するときにも、一人で悶々と考えつつも、ほかの人のアイデアや、研究結果を組み合わせることで新たな進歩が生まれる可能性は高まるのではないでしょうか。

ホンダやIHIのように、これまで各地でバラバラに研究・開発していた技術者たちが集まる「場所」をつくることで、そうしたイノベーションが生まれやすい「環境」を作るというのが重要なポイントであるように思います。

昨年NEDOから発表された「オープンイノベーション白書」では、オープンイノベーションの課題について5つの段階に分けて整理した資料が紹介されています。

・課題1 オープン・イノベーションの目的に対する理解
・課題2 オープン・イノベーションに取り組むための組織体制の構築
・課題3 オープン・イノベーションを行うにあたっての戦略策定/技術評価
・課題4 連携先の探索
・課題5 連携先との関係構築(交渉、契約、出資、M&A等)

特に、2や3の部分でつまづいている企業が多いというアンケート結果もあり、スローガンだけではなく組織体制や戦略の伴ったオープンイノベーションに対する経営判断が求められていました。昨今の発表は、ようやくそこが動き出したことの表れかもしれません。

大企業におけるオープンイノベーション5つの課題.PNG
産業構造審議会 産業技術環境分科会 研究開発・イノベーション小委員会 資料より抜粋

オープンとクローズ、どちらがいいというわけではなく、その度合いの配分というのは業種や職種、はたまたそのエンジニアの個性次第な部分も多分にあるでしょう。

ちなみに、ホンダの新研究拠点に関しては、「新拠点はオープンイノベーションのための窓口も兼ね、ベンチャー企業や大学、研究機関だけでなく個人も含め、広く門戸を開放する。」としながらも、ホンダの研究開発者をこの一拠点に集めるというわけではないとのことです。

「いままでオープンイノベーションをやっていなかったとは言わないが、自動車メーカーとサプライヤのピラミッドのままだった。HondaイノベーションラボTokyoで生まれたイノベーションは、ホンダでの製品化にこだわらず、最適なやり方でフラットに進めたいと考えている」(本田技術研究所 執行役員でR&DセンターXセンター長の脇谷勉氏)
▼本田田技術研究所の新拠点、目指すのは創業時のような「柔軟で機敏な組織」 - MONOist

【参考資料】
■NEDO:オープンイノベーション白書 初版(平成28年7月11日)

■経済産業省:産業構造審議会 産業技術環境分科会 研究開発・イノベーション小委員会

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