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「技術者が語る、テクノロジーと新時代のメディア」 レポート

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2010/4/23(金)、大手町で開かれた日本経済新聞主催のオープンフォーラム「技術者が語る、テクノロジーと新時代のメディア」に参加してきた。

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[写真1] 会場前の看板

佐々木康彦さんが「チームラボ猪子さんの指摘が鋭すぎw日経Web版はこの議論から何を学ぶのか?」というエントリを上げているが、まさにこのタイトルのとおりのイベントだった。猪子さんの空気というか存在感というのはとても魅力的だった。

日経新聞の関係者も多く居ただろうが、「テクノロジーと新時代のメディア」というタイトルとパネリストの面子を見て参加した人も多かったのではないだろうか。私も後者だったのだが、1時間半のイベントのうち最初の30分を日経新聞のデジタル版の機能紹介などに割かれてしまい、なんだかなぁという感じだった。しかし、ヤッパの伊藤さんからのiPadでの「VOGUE」紹介で場が暖まり、そこに遅れて登場した猪子さんのトークで空気が一変した。猪子さんの発言はまとまった思考から出たものでは無かったし、少し疑問に思う内容もあったけれど、議論は活発になった。今度はじっくり話を聞いてみたい。

あとは、前述の「VOGUE」のアプリが、イベント終了後も会場の注目を集めていた。私も少し見せていただいたのだが、雑誌とiPadの相性は抜群だと思った。動画で表紙を構成し(もちろん飛ばすことも可)、ページの中の服も拡大出来るし、関連する海外のファッションショーの動画をすぐ見ることも出来る。掲載される広告もリッチなテイストを出すことが出来るので、ブランドイメージを高めたい広告スポンサーにとっても試行錯誤の場となるだろう。雑誌の魂はiPadに引き継がれるのかもしれない。

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[写真2]  こちらはiPadで読む「GQ」。指でめくる快感がある。(※私の手ではありません)

と、iPadを絶賛したが、iPadという1つのデバイスだけではどこまで普及するか分からない。そうでなくとも、既存メディアが電子化を図るためには、このデバイスだけではなく今後出てくるであろうAndroidベースのものなどでも動くように作ることがポイントとなるだろう。ここでこそテクノロジーの出番だ。「ワンソース・マルチユースが今後当たり前になる」、「コスト削減をしてこそのテクノロジー」といった話が出ていたのは良かった。ただ、出来ればもう少し先のメディアの在り方と、それを支えるテクノロジーの話もしてもらいたかった。たとえば、手嶋さんが話していたような「同じ属性の人がたくさん見ているリンク先を表示するヒートマップ」などはそれに当てはまるかもしれない。

このフォーラムは定期的に開催されるようなので、ぜひ今後に期待したい。私はウェブメディアを運営する企業に勤めているけれど、雑誌も新聞もテレビもラジオも好きだ。魅力ある人や商品がいろんな形で伝わっていくのが面白いと思っている。新しい時代、新しいテクノロジーによって一体どういう変化が起こるのだろうか。「ソーシャル」というのは1つのストリームとして間違いないと思うのだけれど、それ以外にもあるような気がしている。公私共にこの「新時代のメディア」というテーマは追いかけていきたい。

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