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iPhone版「あの楽器」4種類を解説してみる

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 芸者東京エンターテインメント(GTE)のiPhoneアプリ「あのがっき」に関して、多少かかわりがあるので、以前書いたことを含めてまとめておこうと思います。

 まず言っておきたいのは、有償であろうが無償であろうが、iPhone用楽器アプリが増えるのは非常にうれしい、ということ。作っている人たちにとってはたまったものじゃないでしょうが、これにより競争は促進されますし、楽器プラットフォームとしてのiPhoneは、より確立されたものになります。

 iPhoneにはたくさんの楽器アプリが存在し、その中には非常にユニークなものから、なんでこんなものを、というものまでさまざまです。

 たとえばギターアプリについてはさんざん紹介していますが、有償でありながら50万ダウンロードを達成したPocketGuitarと、 MooCowMusicのGuitaristの開発競争が、多くの進歩をもたらし、その斜め上をいく発想で出てきたGuitar、iShredが非常におもしろく実用的なものになっています。

 同じようなことが、iPhone版「あの楽器」にも起きてほしいと思っています。

 では、一般向けに公開された(される予定)の順番に従って、その特徴を見ていきます。

ouiLeadoui27):App Storeへのリンク

 一番最初にApp StoreでiPhoneアプリとして公開された「あの楽器」。名前にあるとおり、リード楽器として位置づけられており、不要な要素は(おそらく)排除されています。

 基本的にFMシンセシスのモノフォニックシンセサイザー。音色は画面右上の13種類から番号で選択可能。どれもキレイなYAMAHAっぽいサウンド。ポルタメント可能(高音優先)。音色により、ポルタメントのかかり具合はプリセットされています。

 画面左上のKeyboard Settingをタップすると、上下2段のキーボードの幅を40、48、60と切り替え可能で、上段、下段のそれぞれのキーの位置を選択できます(4Cと2Cとか)。

 スタイロフォンのようなキーボードが薄く表示されており、それをガイドに弾いていきます。最初に押さえたところから左右に少しずらすと、ピッチが上下に変化する。鍵盤を外れると次の鍵盤が打鍵されてしまうので注意が必要。細かいピッチコントロールをしたい場合に向いているようです。

 また、白鍵の場合には打鍵後に下方向に動かすと、音量が小さくなります。黒鍵の場合には上方向に動かすと同様に音量がしぼられます。これにより、リリコンなどのブレスシンセサイザーのようにきめ細かいコントロールが可能です。

 それを駆使したのが、作者によるこの演奏。慣れればここまでいけるという例です。

 一言でいうと、「ピッチやボリュームコントロールができてプリセット音色が13個あってポルタメントもできる2段鍵盤スタイロフォン」。一言じゃないけど。ちなみにスタイロフォン(純正)は450円で売ってます(App Storeへのリンク)。

 図形エフェクトは、四角、三角、丸、線の4種類。ランダムにでるようです。

あのがっき(GTE):App Storeへのリンク

 いろいろと話題の、GTE版「あの楽器」。楽器としてみた場合にはこの4種類のiPhoneアプリの中で最もシンプルと言えるでしょう。

 ほかの楽器アプリと違い、横向きに演奏するときに、ホームボタンが左側に来る形になるのがちょっと違和感。あの楽器筐体が出たときに困るので、ここはほかのアプリに合わせてほしいところです。

 音色は固定。ちょっとビブラートのかかった、減衰が速くアタックの強いサウンド。もうちょいリリースが長くてもいいかな。

 Cからオクターブ上のEまでの1オクターブちょっと。黒鍵部分のない、メジャースケール固定。

 図形エフェクトは凝っていて、打鍵すると線が表示されて、同時に図形が打鍵部分から回転しながら広がっていきます。広がるときには徐々に色が薄くなる。鍵盤をリリースした後も図形は広がってやがて消えていきます。

 縦方向に音量がマッピングされている。下にいくほど音量は小さくなる。

 現在App Storeで売られているものでは唯一のポリフォニック。5音までは認識した。ただ、いきなり減衰するので、あまりポリフォニックのメリットが……。

 一言でいえば、「Cメジャー固定、音色固定のポリフォニックKAOSSILATOR」。App Storeで流通しているiPhoneアプリで相当するものはないので、これはこれであり。

 希望としては、音色をもう少し増やしてほしいのと、縦方向の変化を音量だけでなく、音色変化(カットオフ&レゾナンスとか)やビブラートデプスにするとか、楽器的なアプローチがほしい。どうせKAOSSILATOR的アプローチにするのならば、スケールとキーも変更できたほうがいいと思います。

 あと、☆の図形はInnocence 3DPVにはなかったのでちょっと違和感あります。

あの楽器(satoP)

 satoPさんが開発中でクローズドβ段階にあるiPhoneアプリは、いくつか革新的な機能が盛り込まれています。これが実現すればiPhone楽器界でも大きな出来事になるはず。

 幸い、わたしもβテストに参加しているので、現在実装中の機能について少し解説しましょう。

 この動画にもあるように、コードをワンキーまたはツーキーで弾くことができる、「ワンフィンガーよ!」という昔のキーボードCMみたいなことができるのです(実際にはそれどころではない)。主要なメジャーコード、マイナーコードが、セブンス、メジャーセブン、サス4といった派生コードも簡単に弾けます。

 iShredやGuitarなどのギターアプリには類するものはありますが、キーボードサウンドでこの機能を持つものは皆無といっていいでしょう。このアプリはこれだけでも十分に革新的。

 次に、MIDI再生機能。iPhone用のMIDIファイル再生機能はこれが初めてではないでしょうか。現在は音数に制限があるようですが、これと、あらかじめ登録した音を次々に弾いていく「あてぶり」機能を組み合わせれば、楽器が得意でない人でもかんたんに「あの楽器」を演奏できてしまう。その機能には、AirPlayというモード名が付けられています。

 このMIDI再生機能、「それだけでいいからくれ!」という人は多いのではないでしょうか。

 そして、FMシンセサイザーとしての機能。FM音源チップをまるごと実装してしまい、4オペレータ、8アルゴリズムで自由自在に音作りができるのです。Noise.io ProもFMシンセをうたっていますが、あちらはそれをアナログシンセに置き換えたような作りになっていて、ガチのFMシンセシスができる、しかもポリフォニックというのはこれがiPhoneアプリ界初。quiLeadも同じFM合成ですが、そこをプリセットにしていてモノフォニックなので、FM音源での音作りに慣れている人はゴリゴリとサウンドメイキングできるんではないでしょうか。わたしはDX-7いじれなくて生福のROMを買って使っていたクチなので、イチから勉強しなくては。

 動画の投稿者コメントには、

2009/02/21GTE開発の「あのがっき」とは別物ですので、いぢめないでね(汗)開発ペースが落ちていますが、筐体&ハード(Arduino組み込みなど)に時間を取られている所為です。もう少ししたら途中経過を報告いたします。

とあります。Arduinoということは、あのかなり完成度の高い筐体に、MIDIポートをつけるということでしょうか? こちらも期待したいですね。

 また、開発wikiには、

 企業による有償アプリの参入もあり、一個人の趣味としてアプリ開発/リリースするには、サポートを含めて十分に対応してゆくことは難しいため、 iPhone版「あの楽器」としての役割はあちらのアプリに頑張っていただいて、こちらはマイペースで進めてゆければと思います。

ベータ対応を含めて、色々と拙い対応ではありますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
すでに「あの楽器」に触発されたアプリが2種公開されていますが、「楽器アプリとしての操作性や楽しさ、新たなUIの提案」
という視点で、開発を続けてゆければと思います。

なお、公開時は無償版としての提供を予定しています。

と書かれています。これだけの機能を実装するのは大変なことで、単純に楽器アプリとしてみた場合、確実に1000円以上の価値のあるアプリだと思うのですが。無償提供されるということで、iPhoneユーザーは本当にラッキーですね。でも、事情のわからない海外ユーザーとか開発者にとっては脅威になること間違いないです。

あの楽器(dandelion)

 まだわたしのiPhoneにインストールされていない唯一のiPhone版あの楽器(まだどこか別のところで極秘裏に開発されているかもしれませんが)。

 satoPさんと同時期にニコニコ動画で投稿し合っていた、dandelionさん。彼もあの楽器東京ミーティング参加組です。彼の「あの楽器」もまったく違った機能を備えています。

 最大の特徴は、「バーチャルと現実との狭間で」という「Innocence」の歌詞を体現するように、iPhoneとPCとの間で画像や操作が相互に反映されるようにできることです。ただ線や四角、丸を描画するだけでなく、外部デバイスに表示させてしまうわけですよ。

 東京ミーティングの時点では、WindowsマシンにiPhoneの描画エフェクトを表示させることが可能になっていましたが、逆にPC側からiPhoneのサウンドをコントロールできるようにするようで、これはもう楽器を超えた何か、という感じがします。

 ユーザーインタフェースの特徴として、キーボードが3段になっているところが挙げられるかと思います。

 サウンドは、正弦波,矩形波,三角波,ノコギリ波の動的生成(波形の選択,周波数等の調整可能)に加え、エフェクトを実装する計画だそうです。ちなみにポリフォニックです。

 dandelionさんはブログに次のように書いています

先日,GTEから「あのがっき」という有償アプリがリリースされたようですね.いろいろ物議を醸しているようですが,その影響でこちらの開発を停止することは考えていないので,今後の進展を暖かく見守っていただければと思います.

現在考えている,AppStore公開までの(最低限の)積み残し項目は以下の通り.
※無償アプリとして公開するつもりです.

OSC対応
ピッチベンド機能

この辺の実装が出来たらベータテスト,アプリ公開という手順を踏めればいいかなと.
2,3月は仕事で忙しくなりそうなので,できる範囲でボチボチ開発を進めていきたいと思います.

 OSCに対応すれば、Mac側の対応アプリで音を自在に鳴らすことができるので、音色の幅が広がりますね。FMシンセシスでは鳴らせないような重厚なサウンドを出すことも可能になるでしょう。ピッチベンドはGTE版以外の2つが実装しているので、これも期待。

 「開発競争はモチベーション維持的にも良いこと」というdandelionさん。β到達、そしてApp Storeでの公開を心待ちにしています。

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