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アプリックス+ドコモのiモード→iPhone変換サービスはコンテンツ流出を止められるか

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 アプリックス/ドコモの発表がiPhone的にけっこう激震だと思われるのでコメント。

Windows Mobile、Android、iPhoneでiアプリを——アプリックスがアプリ自動変換技術

アプリックス: ドコモのiアプリをWindows Mobile、S60、Android、iPhone、ポータブルゲーム機等のオープンプラットフォーム向けアプリケーションに自動変換する技術を開発

iモード用に提供されているiアプリを、世界的に普及が急速に進んでいるWindows Mobile、S60、Android、iPhone、ポータブルゲーム機等のオープンプラットフォーム向けに簡単に提供できるようにする自動変換技術をNTTドコモの協力のもと開発いたしました。

当技術を使う事により、現在iモード端末向けに提供されている魅力的で優れた日本のゲーム等のiアプリを、そのまま自動的に各オープンプラットフォーム向けアプリケーションに変換できるようになります。各プラットフォーム向けに自動変換されたアプリケーションは、各プラットフォーム向けに専用に開発されたアプリケーションと比べても遜色が無いよう、タッチパネルを指でなぞったり画面の向きを縦横に変えるといった独自の動作にも自動的に対応するようになります。

 App Storeのラインアップをウォッチしていれば分かることですが、しばらく前からiモードとiアプリからiPhoneへの脱出が始まっています。コンテンツメーカーの中にはiモードコンテンツからiPhoneに変換するツールを内製して大量にiPhoneアプリを投入したり、iモード→iPhoneの変換サービスを行うサードパーティソフトメーカーも出てきています。

 iPhoneの次にはAndroid、さらにはPalm PreのwebOSが控えており、相対的にiモードの比重はさらに下がっていくことになります。そうすると、ドコモにとってはiモードやiアプリを作っていくためのコンテンツパートナーを確保できない、さらにはiコンシェルへの賛同企業も得られないというまずい状況に陥ってしまいます。

 そんな中で、コンテンツをiPhoneに作るなら、開発環境はJavaで統一しておけばぜんぶ対応できますよ的な呼びかけで、iアプリの部分だけは確保しておこう、ひいてはWindows MobileやAndroidなどドコモがiPhoneに対抗していくためのコンテンツ確保をやりやすくしようということだと思われます。

 ドコモとしては、アプリックスとの事業にからむことで、コンテンツ自動変換のための取り分から収益を上げられる可能性もあるわけで、iPhone App StoreやAndroid Marketでは蚊帳の外におかれるキャリアとしてもうまみのあるビジネスということになるかもしれません。

iアプリをiPhoneやAndroidなど向けに自動変換,アプリックスが開発 (IT Pro)

 問題は、これにコンテンツパートナーが乗ってくるかどうかですが、カプコン、セガ、タイトー、ハドソン、バンダイなどゲームメーカーを中心に賛同のコメントがでています。既にiPhoneアプリ開発実績のあるハドソンやセガが賛同している理由はよくわかりませんが、主力アプリでないコンテンツの場合にはリソースをかけずにiPhoneアプリに対応できるというメリットはあるかもしれませんね。

 この自動変換技術、どの程度うまくいくのか、にわかには信じがたいものがありますが、アプリ変換技術自体はすでに数社から発表されています。しかし、その技術を使って成功したというアプリも特に聞いたことがないので、実効性は疑わしいものがあります。XcodeベースのSDKと比べて開発環境がいいものかどうか。Cocoa Touchの実装はちゃんとできているのか、といった問題も山積しています。

 この発表により、多くのコンテンツパートナーが「アプリックス/ドコモのツールの詳細が判明するまで、iPhone開発にリソースを投入するのはちょっと待っておこう」ということになれば、とりあえず成功と言えるのではないでしょうか。

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