「QuickTimeの父」開発のWindows MobileアプリがiPhoneを超えている件
きょう、ピーター・ハディー氏に会ってきました。AppleでQuickTimeのチーフアーキテクトを務め、「QuickTimeの父」とも呼ばれた人で、その後、外村仁氏とのGeneric Mediaを経てKinomaというメディアアプリケーション専門の会社Kinomaを設立。そのKinoma Playという製品の最新版を見せてもらったのですが、これがすごい。
Windows Mobileの携帯電話上で動くデモを見たのですが、Windows Mobileとは思えない流れるようなユーザーインタフェース。Android G1のユーザーインタフェースがiPhoneに似ているといっても、動きにはギクシャクした部分もありましたが、Kinoma Playは、最初からWindows Mobileがタッチインタフェースに最適化されたかのような華麗な動きをしています。
ダブルタップで画像を拡大したり、画像の上でグルんと○を描くと、その方向に画像が90度、180度回転したり、押し続けると徐々に拡大したりと、シングルタッチながら違和感を感じさせない動き。さらに、メニューやダイアログは押さえた色調の半透明ウィンドウがするりと表示され、ソフトキーボードも出てきて処理できる。
基本はメディアプレイヤーなのですが、再生中の動画はリスト表示にされてもプレビューが動き続けるなど、これはMac OS XのDockっぽいなと思われる機能も。
FlickrやYouTubeなどの写真・動画サービスには最適化されており、動画を見るだけでなく、検索やプレイリストへの追加、ムービーの投稿までアプリケーションの中からできます。
動画はローカルファイルもストリーミングファイルも再生できます。再生速度に従って最適なフォーマットを選択するため、YouTubeを見るときも、FLVで見るかプログレッシブMPEGで見るか、3GPで見るかを自動判断します(マニュアルでの変更も可能)。さらに、QuickTime VRの表示も可能。iPhoneでもサポートしてないのに?
とにかく、このアプリにいる限りはWindows Mediaのしょぼいユーザーインタフェースを完全に忘れさせてくれるアプリです。多くの部分でiPhoneを上回っています。なぜそれが可能なのか? ピーターに聞いてみました。
Q:タッチインタフェースの部分はWindows Mobileでは持ってないですよね。Touch FLOとか使ったのですか?
ピーター:いや、自分たちの実装によるものです。
Q:Windows MobileのOS上で作るのは難しかったのでは?
ピーター:誤解されがちですが、Windows MobileはいいOSです。コア部分であるWindows CEは非常に堅固です。ただ、その上の部分はぜんぶ自分たちで構築しました。Mac OSではQuickTimeレイヤーに相当する部分からユーザーインタフェースの部分までをレイヤー化してあります。
Q:そのレイヤーに名前はあります? あと、これを使ったアプリはほかに?
ピーター:Layer with No Nameとでもいうのかな(笑)。アプリはいまのところKinoma Playだけです。
iPhoneはシングルタスクなので、こういう統合型ソフトが求められていると思うのですが、その半面、これだけ豊富な機能だと、Appleの認定が通るかどうかが難しそう(ポッドキャスト視聴機能もあるし)。とはいえ、Kinoma PlayはWindows Mobileだけでなく、iPhoneやSymbianなどでの展開も目指しているそうです。メディアレイヤー部分の技術をすべて持っているのだから時間さえあれば可能でしょう。
日本への進出も狙っているようで、そのための来日だったようですが、ぜひiPhoneにも対応してくださいね。