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iPhone×KAOSSILATOR×DX7がやってくる

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 携帯ゲームプラットフォームとしてのiPhoneの可能性については以前にも指摘したことがありますが、今回は別の分野について。

 ソフトシンセ。

 携帯デバイスに載ったシンセサイザーという意味では、ニンテンドーDSとKORG DS-10の組み合わせが間違いなくキングと言い切っていいでしょう。

 2つのVCOを備えたパッチングまで可能なアナログシンセサイザーモジュールが2基。ステップシーケンサー付き、他のDS-10との同期演奏可能、そしてコードへの転用も可能な4パートのドラム。さらにはKAOSSILATOR的使い方も可能な「カオス・パッド」モード。

 しかし、iPhoneのほうも、大きな可能性を秘めています。CPUの性能としてはおそらく互角以上。画面サイズの大きさ、ユーザーインタフェースの使いやすさ、マルチタッチによるポリフォニック演奏の可能性、音を出しながら音色をいじることも可能。

 しかし、現在出ているiPhone用の楽器は、残念ながら「シンセサイザー」というよりは、サンプラーに近いものでした。なぜなら、音色をその場で変更できないから。Moo Cow Musicの「Band」もそうです。BeatMakerはユーザーが生成した音源をパッドに組み込めるだけいいですけど、音色の変更は基本的にできない(エフェクトは可能)。

iPhoneにシンセがやってきた

 それがここへ来て、3つほど、ソフトシンセと呼べるものが登場してきました。まずは、赤松正行氏による簡易型シンセサイザー「Oscilator」。これは、JailBreak時からあったものに改良を加えたアプリで、さきほど公式版が出たばかり。115円とお安い。

 演奏機能はほとんど持ちませんが、基本的なシンセサイザーの機能は備えています。波形はサイン波、矩形波、鋸波、ホワイトノイズの4種類、スライダーによる周波数コントロール、パニング、音量、再生のオン・オフ。

 カットオフフリーケンシーやレゾナンスはなく、ADSRもないため、音の立ち上がりや減衰も変更できません。が、マルチタッチが使えるので周波数と音量の同時変更といったことが可能です。価格は115円。

 次に、iPhone上で初めてカットオフフリーケンシーとレゾナンスの変更ができるソフト「BtBx」。ビートボックスって読むんでしょうか?

 1オクターブの鍵盤があり、カットオフフリーケンシーとレゾナンスのスライダーを備え、VCOらしきものには、矩形波、鋸波があります。カットオフフリーケンシーとレゾナンスのスライダー当てられるのはその2つだけではなく、トランペット、キック1、キック2、スネア、クローズドハイハット、オープンハイハット、ピアノのパワーコード、カウベル、ハンドクラップ、タムも用意されています。

 これらを鍵盤で演奏できるだけでなく、16ステップのシーケンサーで再生することもできるのです。

 待望のソフトシンセ、なわけですが、フィルターが甘かったりADSRがないのはまあ許せるとして、ユーザーインタフェースがひどくて、ステップシーケンサーに音程を入れるにはいちいち鍵盤画面と行き来しなくてはいけないとか、鍵盤のオクターブシフトが上方向にしかないとか、12鍵でもう1鍵くらい用意しろよ、とかいろいろ文句はあるものの、今後の発展を期待する、ということで。

 そして3つ目の「Noise.io」。これが本命です。

 8月25日に6.99ドルで売り出し予定。いまのところはYouTubeの画像で見るしかないのですが、機能、ユーザーインタフェースともにすごそうなんです。

 特筆すべきは、アナログシンセサイザーではなく、デジタルシンセだということ。そう。待望のFMシンセサイザー登場なのです。

 しかも、サウンドメイキングがほとんどできず、DX7の生福カートリッジを買ってたような人(わたしだ)のために、音づくりしやすい、Enhanced Subspace Frequency Modulation(ESFM)という方式を開発したのだそうで。

 画面キャプチャを見ると、ADSRはデジタルで表示、波形は鋸波などを選び、シスター(自分自身)とブラザーとの乗算が可能みたい。

 プリセットは81種類。タップによるテンポ設定、テープBPMシンク(!)、グリッドベースのモジュレーションマトリックスを装備。

 また、iPhoneを持っていない人向けにVSTi版を年末までに投入するというからその本気度が感じられます。

 Noise.ioはモノフォニックであり、ポリフォニックにする予定はないとのこと。そのかわり、KAOSSILATOR、カオス・パッドっぽいX-Y軸によるControl Surfaceというコントローラがついてきます。

 これはなかなか期待できそうですね。

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