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女性ボーカルの新基準は青山テルマになる

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 宇多田ヒカルが登場したときは衝撃的でした。“Movin' On Without You”を聴いたとき、これほどリズムにうまく乗せて歌えるボーカリストが出てきたのだ、とカミサンに話したことを憶えています。ファルセットへの切り替えポイントがうまくて、これは従来の日本人ボーカリストにはなかったものだと。そういえば、最初に買ったMP3プレーヤーに、最初に入れたのはこの“Movin' On Without You”。

 それまでJ-POPの大勢を占めていて聴く気が起きなかったエセR&Bが、宇多田ヒカル以降の一群により淘汰されて、現在のレベルまで到達したわけですが、若干20歳の青山テルマは、さらに基準を引き上げてしまった感があります。

 ファーストアルバムである“DIARY”は、極上の80年代AORを思わせる作り込みで、カットオフフリーケンシーを絞り込んでポルタメントを効かせた甘いモノシンセが随所にちりばめられたサウンドもいいのですが、それ以上に圧倒的なのは、彼女の声の表情の付け方。デビュー曲の“ONE WAY”を聴いてみてください(iTunes Storeへのリンク)。

 声の絞り方、ブレス成分、圧縮度合といった要素を変えた3〜5種類くらいの声のトーンを1曲の中で巧みに切り替えながら歌っているのを聴くと、「これはVOCALOIDでパラメータに置き換えたい」と思ってしまうのです。無理だろうけど、近づこうと努力すれば、自分のボカロ使いとしての力量は相当に上がるはず(言うだけならタダなので)。

 まあこれも、CrossOver Mac 6.3で、Macでもパラメータがきちんと表示できるようになったから、ですが。

 ふつう、ここまで歌い込むことができれば、トップノートで深いビブラートを多用したり、パワーバラードばかりを歌うようになるものでしょうけど、新人ということで、表情変化と細かいビブラートだけで聴かせています。そこがいいのです。

 パティ・オースティンって憶えてますか? シンセとか、彼女の「デイライトの香り」に、感じが似てるんですよ。あの時代がそうなのかもしれないですけど。“Do You Love Me?”とかのアップテンポの曲も、青山テルマに合うような気がするのです。

 ああ、彼女でVOCALOID出ないかなあ。英語ももちろんバッチリなんで、ぜひお願いしたいです。

 とにかく、ひさびさに買いたいと思った日本人歌手なので、熱く語ってしまいました。

 ところで、パティ・オースティンがガーシュウィンをカバーした曲を自ら解説するポッドキャストを見つけました(iTunesへのリンク)。彼女のライブでのトークはおもしろいですよ。男性R&Bシンガーの物まねをするところとか、機会があったらぜひ聴いてください。あ、今年のグラミーでベスト・ジャズ・アルバム受賞してたのを今知った……。

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