ポッドキャストで商用音楽を流すことが可能になる?
今の日本の音楽著作権法では、自分で完全にコピーライトを持っていない限りは、ポッドキャストDJは不可能だと言われています。音楽著作権、著作隣接権は、ストリーミングラジオですらきつく制限されており、さらにグレーゾーンに踏み込むポッドキャスティングに至っては、「ぜったいに許さないだろうな状態」といっていいでしょう。
「えー、それでは昨日ぼくがiTunes Music Storeでダウンロードした椿屋四重奏の『プロローグ』。聞いてください。【♪『プロローグ』流れる。】いい曲だね。ギターのサウンドがオールドスタイルだけど、アルペジオをメロディアスに使っていてスゴク気持ちいいよ〜」といったことはできないのです。
そこで、どうしたら著作権問題を回避できるか、方法を考えてみました。
音楽についてはiTunes Music Storeをそのまま利用するのです。視聴の30秒を使って、曲の紹介が終わったら視聴ページにジャンプして再生、そしてポッドキャストに戻る、ということが「自動的に」できればいいわけです。では、どうすればそれが可能になるか?
拡張 PodcastはAppleが提唱しているポッドキャスティングの拡張仕様ですが、これには便利な機能が1つ備わっています。それは、ソングアートビューア(画面左下にある、ジャケットスリーブを表示させるところ)に、指定したタイミングで画像を表示させる機能です。
と、ここまでが、わたしが9月5日に書いた、[CloseBox & OpenPod]エントリーの下書きです。
このあとをどうしようか、と考えていたんですが、iPod nanoやiTunes 5.0の発表を9月8日に迎えてしまったわけで、続きは書かれませんでした。ところが本日、そのアイデアを実現に近づけるデモが、アップルコンピュータ本社で行われたのです。
開発したのは、AppleScriptマスターで、ぴよまるソフトウェアを主宰する長野谷氏。彼がApple Users Grouop Meeting in Tokyoで、そのデモを行いました。
彼がデモしたのは、自分が録音した音声の後で、iTunesのライブラリに入っている(HDDに入っている)ハマショーの「J.BOY」を40秒再生し、その後で自分のDJに戻る、というものです。「自分のライブラリにその楽曲を持っている」という前提に立てば、ポッドキャスターの音声と「自分が持っている」iTunesライブラリでポッドキャストDJを実現できることになります。
任意の場所を再生することができるので、例えばビートルズの楽曲をすべて持っていることを前提に、ビートルズの細かいフレーズや歌詞の内容、使用楽器などについてウンチクを繰り広げるような、「ビートルキャスティング」も可能になります。「“Let It Be... Naked”の12曲目に入っている“Fly On The Wall”、この13分から14分にかけて、ある聞き覚えのあるフレーズが入っています。【♪“Fly On The Wall”13:00〜14:00流れる】さて、これは何でしょう?」とか。ああ、書いててやりたくなってしまった。
とまあ、長野谷氏がデモした非公開β版「PiyoCast」では、こんなことが可能です。
追記:PiyoCastに関するプレゼン資料が公開されました。Flash形式です。
実はこの「PiyoCast」、彼が9月13日に元になるアイデアをmixi日記で出し、それに対するレスなどからその可能性について盛り上がり開発に着手、わずか4日で公開にこぎつけたのです。
次の課題は、iTunes Music Storeの30秒試聴をPiyoCastで再生し、ポッドキャストに戻ってくることですが、「困難な面はあるが、努力してみる」そうです。これがあれば、おそらく著作権絡みでスタートできない「iTunes Music Tuesday」みたいなことをそこらじゅうでできるようになるのです。
ただし、PiyoSoftを利用するためには、リスナーが「PiyoSoft」ヘルパーアプリをインストールする必要があります。AppleScriptで動かしているので、Mac専用なのです。Windowsではどうしたらいいんでしょうね? いいアイデアがあったらどうぞ。
追記:トラックバックしていただいたGNUEさんのエントリーによれば、同様のアイデアがのまのしわざさんのブログとGNUEさんによるコメントで既に提案されていたようです。それからちょうど1カ月で実現への一歩、というのがおもしろい!