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生成AIは、今後7年間で「三つの波」により4500億ドル以上の市場創出へ

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生成AIは、ChatGPTやStable Diffusionなどのアプリケーションやサービスの登場により、企業に急速に普及・拡大しています。

ABIリサーチが2023年7月27日に発表した調査によると、生成AIの成長はエンタープライズ市場が多くを占め、今後7年間で12の業界において、少なくとも4500億ドル以上の市場を創出すると予測しています。

Generative AI will Create at Least US$450 Billion in the Enterprise Market Across 12 Verticals Over the Next 7 Years, But Sizeable Commercial Challenges Remain

4500億ドルを日本円に換算すると、約65兆4,662億円となります(2023年8月16日時点のレートに基づく)。

生成AIは「三つの波」で進展

生成型AIの導入は、「三つの波」で進展すると予測しています。

第一波:
マーケティングや教育などのコンテンツ重視の業界での採用が始まり、広告やソーシャルメディア管理、個別化されたカリキュラムの開発などに利用される

第二波:
信頼性が高まるにつれて、医療や法律などのサービス業界で、ミッションクリティカルなサービスの構築に利用されるようになる

第三波:
製造業や物流業界でのプロセスの自動化と最適化に利用される段階で、最も価値を創出するとされているが、リスクも伴う

生成AIは、個人的にもマーケティングの領域で普及が進むと予想されます。段階的に、ミッションクリティカルな領域で利用されるようになり、中長期視点でみると、サプライチェーンにおいても重要なツールとしての位置づけとなっていくでしょう。

そして、企業における生成AIの導入や組織の展開にあたっては、企業は全体で戦略を策定し、全社的に推進する必要があるとしています。

また、個別の事業部門での単独した導入は、ビジネスプロセス間の断片化を引き起こすリスクがあるため、利用、ガバナンス、法的アプローチ、期待されるビジネス成果などの全体視点での戦略策定と推進が重要になるとしています。

まとめ

生成AIのエンタープライズ領域は非常に可能性があり、多国籍企業やスタートアップなどが積極的に取組、業務改善だけでなく、新しい市場創出が期待されます。

しかしながら、現在の導入状況は実証段階が多く、事業へのインパクトを評価している状況が多いとしています。G7などでも議論されていますが、AIに関する規制やガバナンスなどの政策的な判断がどのような影響をもたらすかは不透明な部分もあります。

ABIリサーチでは、こういった状況の中においても、「三つの波」の進展でもあるように、特定の業界において導入が進み、市場のポテンシャルなどを考慮すると、生成AIは今後7年間で業界全体に広く展開され、ほとんどのビジネスプロセスに統合されていくと予測しています。

生成AIは今後の企業戦略において重要なテーマとなり、企業は試行錯誤も繰り返しながらも、その潜在能力を最大限に引き出し、新しいビジネスを創造するための戦略的な取り組みがますます求められる時代となるでしょう。

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