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増加する「ゾンビ企業」は18.8万社に~帝国データバンクから

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ゾンビ企業が一段と増加しています。

ゾンビ企業は、経営が破綻しているにもかかわらず、金融機関や政府機関の支援によって存続している企業を出します。

帝国データバンクが2023年1月13日に公表した「ゾンビ企業」の現状分析(2022年11月末時点の最新動向)によると、2022 年 11 月時点で判明している 2021 年度(2021 年4月期~2022 年3月期)のゾンビ企業率は 12.9%に上昇し、推定される全国のゾンビ企業数は約 18.8 万社に達し、比率、社数ともに、前年度から一段の増加となっています。

帝国データバンクが保有する企業財務データベース「COSMOS1」(2022 年 11 月時点)において、「3 年連続でインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)が判明、かつ設立 10 年以上」の企業は 9万 4,885 社あります。

そのうち、「3 年連続でインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)が 1 未満、かつ設立 10 年以上」の企業は1万 2,256 社で、その割合がゾンビ企業率 12.9%となる。2020 年度
と比較すると 1.5 ポイントの上昇となった。同様の手法で算出した 2007 年度以降のゾンビ企業率の推移を下表に示しています。

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出典:帝国データバンク ゾンビ企業」の現状分析(2022年11月末時点の最新動向) 2023.1
※ゾンビ企業の定義は、国際決済銀行(BIS)が定める「ゾンビ企業」の基準に準拠

2021 年度のゾンビ企業率 12.9%を TDB の企業概要データベース「COSMOS2」収録の約 147 万社を母集団として当てはめると、2021 年度の「ゾンビ企業」数は推定 18.8 万社にのぼています。2020 年度の約 16.6 万社から 13.3%の増加となり、ゾンビ企業数は2年連続で増加となっています。

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出典:帝国データバンク ゾンビ企業」の現状分析(2022年11月末時点の最新動向) 2023.1

ゾンビ企業と推定される 18.8 万社を業種別にみると、「建設業」が約6万 2600 社、構成比 33.3%で最多。次いで「製造業」が約3万 9600 社、同 21.1%、「卸売業」が約3万 4400 社、同 18.3%を占めています。

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出典:帝国データバンク ゾンビ企業」の現状分析(2022年11月末時点の最新動向) 2023.1

売上規模別の分類では、「売上高1~5億円未満」が約8万 3500 社、構成比 44.4%で最も多い。売上高5億円未満の中小・零細企業で約 12 万 8200 社、全体の7割近くを占めています。

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出典:帝国データバンク ゾンビ企業」の現状分析(2022年11月末時点の最新動向) 2023.1

「ゾンビ企業」の8割近くがコロナ関連融資を受け、約2割が返済に不安という状況です。

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出典:帝国データバンク ゾンビ企業」の現状分析(2022年11月末時点の最新動向) 2023.1

18.8 万社について、収益力・過剰債務・資本力の 3 視点から分析、経営上の課題を分析したところ、経常赤字となっている企業は約 11 万 2,000 社で全体の 59.8%。収益力に課題を抱えています。

また、有利子負債が月商の 8.5 倍以上に達しているのが約 8 万 3,000 社で全体の 44.4%。過剰債務の解消が課題となっています。

一方、債務超過は約 6 万 8,000 社で全体の 36.4%。資本力に課題があるとみられています。

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出典:帝国データバンク ゾンビ企業」の現状分析(2022年11月末時点の最新動向) 2023.1

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