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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

出遅れた日本企業のクラウドビジネスの課題と今後

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2014年10月15日、1時間ほど遅れましたが鈴木逸平氏による次世代ITへの提言ミートアップ【クラウド、モバイル、ビッグデータ、SNS】に参加してきました。

テーマ:BiModal ITの登場(クラウド、モバイル、ビッグデータ、SNSの登場で出遅れた日本企業が取るべきアクションは?)

概要:

BiModal ITは、IT開発/運用方式の違いについて、環境、ツール、等も大きく異なるため、企業としてはそれぞれ異なる組織、取り組みをすべきである、という考え方で、この取り組み方へのアプローチが、日本のクラウド、ビッグデータ、モバイル、SNSへの取り組みに遅れが出ている原因の一つになっています。

クラウド、モバイル、ビッグデータ、SNSの登場によって、日本はむしろUSとのITの差をさらに広げられている、という状況の中、それに対する危機感があまりにも無い事と、ITに対する根本的な考え方が昔とあまり変わっていない、という事、従来型の組織で従来型の考え方でクラウド、モバイル、ビッグデータ、SNSを解釈し、企業に取り入れようとする事は大きな問題となっています。

本イベントではクラウド、モバイル、ビッグデータ、SNSの登場による日米の差の実態、根本原因、そして日本企業が取るべきアクションについて鈴木逸平氏による提言と今後のITの利用方法についてディスカッションをします。

以下、講演メモです。

■日本の課題

IT(モバイル、クラウド、ビッグデータ等)に関する日本の課題。日米格差は年々拡がっており、深刻に考えなければならない。少なくとも2年の差がある。誰かが火をつけなければならない。お客様を骨抜きにしたのはSIの責任。相当啓蒙していかないとその差は埋められない。クラウドの登場によるパラダイムシフトに追いつけていない。ガラパゴスどころではなく、デッド・エンドで、日本はシーラカンスになってしまう。

米国はクラウドファーストの理論で企業がイノベーションを生み出し、体感している。競合他社に対する優位性をITで実現するという意識が日本は低い。日本は人が財産ということを意識しすぎている。人は流動する。企業の価値はITにある。ノウハウをIT化してだれでも使えるようにすることが大切。企業の財産をITでシステマチックにし持続性のあるものにする。

■業界の動き(米国を中心に)

米国では企業の戦略的事業はクラウドファーストで考える。企業でしっかりとしたポリシーを持つ。IBMの売却やEMCの買収、HPの分割など、レガシー系の会社が分割などの動きがある。企業文化とアジリティとレガシーを守っていくパターンは共存する。分離した後は合併が進み巨大な組織の動きが出てくる。レガシー系の会社の統合の動きなどが出てくる可能性。HPは分社化しながらも買収をしていく。ハイブリッドITの時代は到来している。買収関連はアジャイル系を取り込む。買収をしないことには追いつけない。オラクルは自社のクラウドを独自開発している。他の事業者とは異なる動き。オーガニックな成長はありえなく、買収がベースとなる。投資家はアジャイルとレガシー系を分けており、両方やっていく事業は成り立たず、分社化する動きになっている。

■クラウドビジネス

お客様へのクラウドビジネスとオンプレミスのソリューションビジネスは、競合になる。仲良くできるものではない。ハイブリッド・クラウドの潜在的な問題がある。ハイブリッド・クラウド自体の永続性はない。共存は幻想。時間はかけてやらないといけない。セキュリティやコンプライアンスでクラウドか否かの議論は時代遅れ。クラウドでないとできないイノベーション。クラウドでのバックアップなどの冗長性のモデルはあり得るが永続性はない。クラウドでの多重化は1,2年でなくなる。オンプレミス中心でクラウドバックアップの考え方はなくなるだろう。

最後に、日本のIaaS事業者の今後(生き残り)について質問をしてみました。

・縦のセオリーを明確にする
・ハイブリッドクラウドの永続性はない
・クラウドであるべき姿をお客様に説明できること
・コンセプトがはっきりしているところが生き残る
・今後、3,4年後理路整然とお客様に説明できること
・長く使える信頼できる事業者に
・地に足をつけて、お客様目線で提供する事業者が差別化要因になる
・パートナーシップを通して、連携の強いエコシステムを通じて縦割りの提案型のソリューションを提供する
・IaaSだけをやる事業者ではこれからは難しい。時代の変化に対応する
・売れ筋のコンポーネントを揃える

クラウド事業者のサービスの値下競争とコモディティ化が進んでいく中で、クラウドビジネスのあり方も様々な視点やレイヤで考えていく必要が出てきています。今回の鈴木逸平さんの話も参考に、この編の領域は改めて整理をしていきたいと考えています。

 

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