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クラウドビジネス再入門(5)中小SI事業者の現状とクラウドビジネスへの展開

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クラウドビジネスの進展に伴い、事業の転換が必要とされてきているのが、中小SI事業者です。

中小SI事業者の置かれている現状

中小SI事業者は、多くは大手SI事業者の受託開発案件の下請け業務や、地場企業や中小企業へのソリューション提供などがメイン事業になっているとと考えられます。

近年、下請け案件数の減少や構築単価の減少傾向に加え、クラウドサービスの普及に伴い、システム構築運用案件の減少が見込まれています。さらに、大手SI事業者は、中小ユーザの開拓も強化していることから大手SI事業者との競合も増えるなど、中小SI事業者の取り巻く環境は厳しさを増しています。

中小SI事業者の既存の受託開発案件の下請けなどをクラウド事業にシフトさせていくには、多くの案件を対応し、ノウハウを蓄積していく必要がありますが、大手事業者と比べると多くはノウハウは十分であるとはいえないでしょう。

また、中小SI事業者が自社がクラウドサービス事業者としてクラウドサービスを提供する事業者になることは、人材、資金、情報などが不足し、数年スパンでの投資回収が必要となるため、企業体力的には厳しいと考えられます。

中小SI事業者の選択肢(例)

中小SI事業者が今後事業を拡大させ収益をあげていくためには、クラウドを絡めたいくつの選択肢が考えられます。

■プライム案件受託獲得

競合にない付加価値、たとえば、クラウド関連のコンサルノウハウ、スマホやタブレットなどの分野に特化した強みを打ち出すことで、案件を獲得することができるでしょう。

クラウドサービスを基盤にしたシステム構築や運用保守は負担が低減するため、中小SI事業者にとっては、従来受注が困難であったプライム案件として案件を獲得することも可能となるでしょう。

■クラウド関連サービスの提供

人材、資金、情報などが不足し、数年スパンでの投資回収という厳しい環境にあえてチャレンジし、自社がクラウドサービス事業者になるという選択肢も考えられます。自社が他社にないソフトウェアを保有している場合、クラウド化してサービスを提供するという選択肢もあるでしょう。

クラウドサービスを提供することで、新たなニーズ開拓など新規獲得、さらには、毎月の継続的な収入源を獲得できるメリットも 大きいでしょう。また、ユーザにクラウドサービス提供を行うことで、既存顧客を守るというアプローチも考えられます。

■クラウド事業者と連携する(クラウドエコシステムの枠組み)

大手のクラウド事業者のクラウドエコシステムの枠組みに入り、クラウドを基盤として自社サービスやインテグレーションモデル、代理店モデルなどの選択肢が考えられます。この連携については、改めて整理をしてみたいと思います。

■他の業務(新事業)への進出

既存の事業に加えて、関連した付加価値の高いサービスやソリューションの提案など、より上位レイヤへの対応や、スマホやタブレットなどのサービスやソリューションといったように、新たな事業へと展開していくこともアプローチとして考えられます。

 

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