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クラウドビジネス再入門(3)クラウドビジネスを取り巻くプレイヤー

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クラウドビジネスにおいては、様々な事業者が連携することで、ビジネスが成り立っています。

NIST クラウドコンピューティングのリファレンス・アーキテクチャモデル(SP500-292) では、Cloud Consumer、Cloud Provider、Cloud Auditor、Cloud(Service)Broker、Cloud Carrierに分類しています。

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このモデルに、Cloud Community、Cloud Integrator、Cloud Enablerも加えてみます。これらの事業者(プレイヤー)がユーザニーズにあわせて、様々なビジネス連携やサービス連携をすることで、クラウドエコシステムを形成します。

Cloud Consumer

クラウドサービスの利用者、および組織に属する管理者

Cloud Provider

クラウドサービスを提供する事業者および組織

Cloud Auditor

クラウドサービスの運用やパフォーマンス、セキュリティーなどのアセスメント(評価)を第三者機関として
Cloud Consumerに提供する組織

Cloud Service Broker (Adapter)

クラウドサービスの管理や、Cloud Consumer と
CloudService Provider間の契約締結の仲介事業者

Cloud Carrier

クラウドサービスの利用に必要なネットワークを提供する事業者

Cloud Community

特定のクラウドサービスや技術の利用者が中心の情報交換を主目的とした組織やコミュニティー

Cloud Integrator

クラウドサービスの導入支援を行う事業者

Cloud Enabler

クラウドサービス基盤を構築するために必要なIT 製品およびサービスの提供者

 

■クラウドによる事業者のビジネス変化

エコシステムを取り巻くプレイヤーは、エンドユーザにサービスを提供するクラウドサービス事業者、Cloud Providerへとシフトしていくケースが見られます。

通信事業者及びデータセンタ事業者

多くの通信事業者およびデータセンタ事業者では、 IaaS提供をベースにサービスを展開しています。これらの事業は元々、通信などをサービスとして提供していること、そして、ネットワークやネットワークの資産を生かして、ビジネスを展開できる強みがあります。

ソフトウェア事業者

ソフトウェア事業者はライセンス提供からクラウド上でソフトウェアを提供するSaaSモデルとしてのサービス事業者へとシフトしつつあります。さらに、BYOL(Bring Your Own License)と言われるように、自社で購入したソフトウェアライセンスをクラウドに持ち込めるような動きも進んでいくでしょう。

ハードウェア事業者

ハードウェア事業者は、自社が持つサーバやストレージなどの個々の機器を企業ユーザに提供するのではなく、自社がそのものがシステムを組み合わせで構築してクラウド事業者となり、ハードウェア事業者として強みを生かした価格競争力のあるサービス展開をできる強みがあります。

SI事業者

SI事業者は、クラウドビジネスへシフトしていくことで、事業の構造転換を余儀なくされる可能性は高いと考えられます。SI事業者は、クラウドサービスをひとつの部材とし、オンプレミスに残すものとクラウドへ移行するシステムと、企業ユーザのアセスメントを行うとともに、複数のクラウドサービスから最適なサービス選定のコンサルや、調達・構築・運用といったように、クラウドインテグレーションモデルと転換することで、新たな収益モデルを確立していくことが重要となっていくでしょう。

情報システム部門

情報システム部門は、各事業部門からの仕様の要件に応じてシステムを構築・運用するといったことが主流でしたが、情報システム部門そのものが、各部門にITリソースを提供するクラウドサービス事業者となり、余剰リソースはグループ会社もしくは、外部の企業ユーザに展開するといったように、クラウド事業者として進化していくことで、情報システム部門としての価値を高めていくことができるでしょう。

 

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