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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

クラウドビジネス再入門(1)改めてクラウドコンピューティングとは?

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2013年7月23(火)に、JASIPA第43回定期交流会にて、「クラウドビジネス再入門」というタイトルでお話しをさせて頂きました。

今回の講演概要は以下のとおりです。

2009年2月に「クラウド・ビジネス入門」を上梓してから、クラウドコンピューティングの導入が本格的に普及し、ビジネスにも大きな変 化が生ま れ、クラウドはテクノロジからビジネスに視点が大きくシフトしつつあります。
「クラウドコンピューティングとは何か?」という基本なところから改めて整理をし、業界構造やサービスモデル、事業ドメインやオープン化など の動向を踏まえ、今後のクラウドを取り巻くビジネスの展望について、解説をします。

当日は、ゲリラ豪雨でしたが、会場が満席となるほど、多くの方がJASIPA定期交流会に参加されていました。

一部では、クラウドコンピューティングが浸透しつつあるものの、まだまだ認知度や普及は十分な状況にあるとはいえず、今回、私自身もあらためてクラウドコンピューティングとクラウドビジネスを整理し、お話しをさせていただいました。

■改めてクラウドコンピューティングとは?

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■クラウドコンピューティングの由来

クラウドコンピューティングの由来は、グーグルCEOのエリック・シュミット氏が、2006年8月9日、 米国カリフォルニア州サンノゼ市で開催された「検索エンジン戦略会議」の 講演ではじめて「クラウドコンピューティング」という言葉を使っています。

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今の最大の関心事は新しいモデルが生まれることだ。 (中略)大前提にあるのは、データサービスとアーキテクチャーがサーバー上にあるということだ。これを「クラウドコンピューティング」と呼び、すべてはクラウドの中にある。そして、パソコンやマックや携帯電話などの端末を意識することなく、クラウドにアクセスすることができる。グーグルやヤフー、イーベイ、アマゾンなど多くの企業が(そこから)利益を得ている。(中略)クラウドコンピューティングは、ソフトウエアのイノベーションを起こす。

クラウドコンピューティングは、ソフトウェアのイノベーションを起こし、新しいモデルを生み出しています。グーグルでは、半年後には、自らがデータセンターを建設し、規模の経済(スケールメリット)を生かしたクラウドビジネスを展開しています。

■クラウドコンピューティングの概要

クラウドコンピューティングは、インターネットのあちら側を気にすることなく、必要なときに必要な分だけサービスとして利用できるもので、自社で次ステムを「保有」するこからサービスとして「利用」するというのが大きな特徴となります。

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クラウドコンピューティングのNISTの定義

クラウドコンピューティングには、様々な考え方がありますが、ベースとなっているのは、NIST(National Institute of Standards and Technology、アメリカ国立標準技術研究所) が定義する「Defenition of Cloud Computiing」です。

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http://csrc.nist.gov/publications/nistpubs/800-145/SP800-145.pdf

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NISTのクラウドコンピューティグの定義では、

クラウドコンピューティングとは、自由に設定可能な共有のコンピュータ資源(ネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーションサービス等)の集積に対する利便性の高い、オンデマンドベースのアクセスを可能とするモデルであって、最小限の管理努力やサービス提供者とのやり取りで、迅速な提供や回収が可能なもの

としています。

5つの要素は

・オンデマンドベースのセルフサービス (必要な時に必要なコンピューティングモデル)
・広域ネットワークアクセス (モバイル等様々なデバイスからサービスにアクセス)
・ロケーションに依存しないリソースプール (マルチテナントで場所を意識しない)
・迅速性・柔軟性 (必要に応じてスケールアップとスケールダウン)
・計測可能なサービス (従量制で課金を行う)

クラウドコンピューティングは、オンデマンドベースでセルフサービスとして利用でき、マルチデバイスで好きなところからアクセスできる、そして必要に応じて必要な分だけリソースのスケールアップやスケールダウン、そして利用した分だけ課金される従量制課金が主な特徴となっています。

サービスモデルには、

・SaaS(Software as a Service)
・PaaS(Platform as a Service)
・IaaS(Infrastructure as a Service)

の3つのモデルがあります。

SaaSは、アプリケーションの機能をサービスとして提供
PaaSは、アプリケーションを開発・実行するためのプラットフォームを
サービスとして提供
IaaSは、ハードウエアやネットワークインフラをサービスとして提供

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現在、クラウドコンピューティングの進展に伴い、純粋にこのようにモデルとしてレイヤを分類することは難しくなっていますが、まずは、SaaS、PaaS、IaaSの3つのモデルを抑えておくと良いでしょう。

利用モデルには、

・プライベートクラウド
・コミュニティクラウド
・パブリッククラウド
。ハイブリッドクラウド

の4つのモデルがあります。

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パブリッククラウド
企業のファイアウォールの外側に構築される形態で、公衆のインターネット網を介して不特定多数の企業や個人ユーザーに提供されるクラウドサービス。企業ユーザーの利用形態は、クラウドの最大の特徴である「保有」から「利用」に変わり、サービスとして導入できる

プライベートクラウド
顧客または提供事業者側のデータセンターに、「仮想化や標準化、自動化などクラウド技術を活用し、自社専用の環境を構築することによって、コンピュータリソースを柔軟に利用できるシステム。 企業のファイアウォール内に構築される形態

コミュニティクラウド
共通の目的を持つ特定企業間によって形成される「コミュニティー」がデータセンターで共同運用されるシステム。プライベートクラウドとパブリッククラウドとの中間的な形態

ハイブリッドクラウド
プライベートクラウド、コミュニティークラウド、そしてパブリッククラウドなどを連携させて活用するシステム/サービス

仮想(バーチャル)プライベートクラウド(NIS定義外)
IP-VPNや広域イーサネット等の閉域網やインターネットVPN等のクローズドなネットワークを経由してパブリッククラウド利用

 

クラウドビジネス再入門(1)改めてクラウドコンピューティングとは? 2013/07/29

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