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人間が持っている三つの“福”

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いよいよ2008年が始まりました。広告のチラシを見ると、“福袋”や“福箱”の新春初売りの広告が載っており、中にはたくさんのチラシ見るだけでも大変です。

 
休み中に、『人間力を高める読書案内』を読んでいます。著者の三輪氏がこれまで読んできた中で「生き方論」焦点をあてた本を紹介しています。最初に紹介されているのが幸田露伴氏の『努力論』です。この本の初版は約百年前の大正二年(1931年)に出されているものですが、温故知新というように今の我々にとっても価値のある本に見えます。

 
幸田露伴は、この本の中で、「幸福三説」というものを唱えており、「惜福」、「分福」、「植福」の三つとし、人生の指針としていくことの大切さを述べています。その三つの福とは、

  • 「惜福」とは、めぐってきた幸運を一挙に使い果たさないこと
  • 「分福」とは、天から与えられた福を他人にも分け与えること
  • 「植福」とは、人のためになる「福の創造」を行い、世話したり改良したりすることによって「福の増殖」を行うこと

としています。

 
2008
年の正月早々、“Web2.0”という言葉を使うのは、少々時代遅れかもしれませんが、あえて取り上げてみたいと思います。“集合知(Collective Intelligence)”や“群衆の叡智(Wisdom of Crowds)”という言葉を皆さん耳にしたことがあるかと思います。これらの考え方を「幸福三説」にあてはめて、“福”を“知”に置き換えてみてみるとどうでしょうか?

 
自分の知恵を一挙に使い果たさず(段階的に)、自分が得た知恵を他人にもオープンにしておくこと、そして自分の知恵の創造から知の増殖を行うこと。これらが集合知や群衆の叡智となり、ネットの世界そしてリアルの世界において大きな影響をもたらすこと。

 
つまり、個々がもつ“知”は“福”をもたらすものであり、“知”はより自由にオープンに開放される時代への移ってきていると言えるでしょう。

 
この『努力論』にも書かれているように、世の中は幸運に恵まれる人もいる一方、いつも不幸に見舞われる人もいます。“格差社会”と言われる現代もまさにその格差(幸福と不幸の差)が広がってきていると言われています。

 
ビジネスの世界は、成果主義が導入され、自分自身の領域(ミッション)のことしか考えない人が増えてきたように感じています。最近、その成果主義が見直しされ、チーム力や部下を育てるプロセスを重視する評価制度のあり方も議論されるようになってきました。社内SNSやイントラブログ等のやわらかなコラボレーションもそれを補完する仕組みと言えるでしょう。

 
人間は三つの“福”と“知”を持ち、そして努力する動物であるとすれば、今の世の中は少しずつ良い方向に向かっていくのではないかと、2008年に期待をしたいと考えています。

 

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