サムスンの衰退は韓米の内部対立が原因との見方
美しいサムスンギャラクシーS6の発表(バルセロナMWC)
その陰には克服できない組織的対立が・・・・
Galaxy S6
<出所 テッククランチ>
サムスンのイベントは女性をモノ扱いしている 何か変だ、サムスンは奇妙だと言う批判が出たS4の発表イベント
<出所:ビジネスインサイダー>
MWCで華々しくギャラクシー6の発表がなされています。
一時はアップルとスマートフォンビジネスの収益を二分していた韓国サムスン電子ですが、スマートフォンビジネスの市場シェアでは現在でも世界一位にいるものの、米国では2014年第四四半期アップルに抜かれ2位、中国でも小米に抜かれ3位と振るいません。また収益面では大幅に後退しており、早晩、追い上げる中国勢に抜かれると言う見方が強いです。
確かに追う側のコストの安い中国勢と追われるコスト高の韓国企業と言うアンドロイドOS勢の中での構造的な争いの面はあります。しかしビジネスインサイダー紙などは、サムスン内の韓国本社と出先の米国子会社の内部対立と言った克服できない組織面の弱さ側面も原因との見方を取り上げています。(これは日本企業の持つグローバル展開の弱点と同じ問題だと思われます)
良く見ればこれは嘗ての日本の大本営と出先の満州関東軍の対立、満州事変に至るプロセスとよく似ています。サムスンは日本の家電メーカー、日本企業を超えていないと言うことの証拠だと思います。
■サムスンの台頭
韓国サムスンの台頭は以下のようになっています。
2010年頃、韓国政府は「スマートフォンなどで韓国勢がアップルのような凄い製品を開発できなかった、遅れを取った」点を盛んに嘆いていました。
2011年Galaxy S IIと言う4G対応のスマートフォンが米国で発売
"Next Big Thing"のテレビCMが全米でヒットし、Galaxy S IIが売れる
2012年IOS6でアップルの地図の大失敗
2012年末までにサムスンの利益は76%増
2013年1月アップルはサムスンに負けたと言うウオールストリートジャーナル記事が注目を浴びる
2013年3月Galaxy S4、サムスンはアップルに勝てるただ一つの企業と言うイメージ定着その後一年でサムスンは急落が始まる・・・・
とまあこういう経緯でサムスンの栄枯盛衰は描くことが出来ます。
■表沙汰になった韓米内部対立
ビジネスインサイダー紙の調査では、2011年のギャラクシーS2の成功の時点で早くもダラスにある出先のモバイル米国勢と韓国本社の対立が始まったそうです。
一言で言えば「米国勢が成功すればするほど韓国本社が文句をつけ、嫉妬していた」という事のようです。成功すれば信用を得るのが普通ですが、逆に米国勢が勝手にやったと言ったイメージで韓国本社は反発しています。野球で言えば「ベンチがバンドのサインを出したのに勝手にホームランを打ちやがって」と言ったところでしょうか。
2012年には本社から多くの役職者がダラスにやってきて3週間も監査を行い、収賄容疑とか架空売り上げとか散々米国勢は叩かれたそうです。オフィスの外ではアップルと並び称されていたダラスのサムスンオフィスは、サムスンの内部では逆に反逆者扱いだったそうです。これがすっかりサムスンの米国モバイル部門を傷つけました。
結果として米国勢に大した瑕疵はなく、内部の不信感だけが残りました。その結果、米国での成功ノウハウは欧州など他のオフィスには移転することなく終わりました。世界中の海外オフィス勢が集まる社内イベントでも米国サムスンは「駄目ら奴ら」と叱責されました。誰が見ても彼らが一番の成功者であるにも関わらず・・です。
そして2013年にはブロードウエイスタイルでの Galaxy S4紹介イベントが実施され「サムスンは女性をモノ扱いしている」と言う批判が出始めます。この頃からサムスンはちょっとおかしいと言う見方が各方面から出始めました。そして2014年の没落へと道は続きます。
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これは満州事変なのか
韓国本社は米国モバイル勢のダラスのオフィスの成功を「大本営の目に映る満州事変」と見ていたようです。現地の判断で勝手に兵をすすめて勝手に領土を広げる成果を出したと言ったところでしょうか。日本でも管理野球の盛んなころ、大阪PL学園のバッターは一球ごとにベンチのサインをみていました。これは日本の家電メーカー、否日本企業全般に言える点です。本社判断重視、本社が理解できる戦略の採用以外、現地の子会社は打つ手を認められません。それが普通の日本企業です。結局、韓国企業サムスンもアップルを超えられなかった理由の一つはここにあるようです。
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