クラウドサービスで注目のベゾスの法則、企業独自データセンターを駆逐するか・・
<出所:ギガオム>
クラウドサービスが企業の独自データセンターを駆逐すると言う主張に理論的な重みが加わろうとしています。これまではクラウド推進派の「根拠があいまいな単なる独りよがりな主張」だったのが、今や堂々たる経済理論になり始めています。
■ ベゾスの法則の発見
アップゼロのCEOであるグレッグ・オコーナーさんの指摘から始まったのが「3年単位でインフラコスト(Total Cost of Infrastructure (TCOI))が50%下がるベゾスの法則」です。彼はムーアの法則(18か月から24カ月単位で経済生産性が倍になる経験的な法則)をクラウドサービスに当てはめて調査した結果、3年で生産性が倍(つまり値段が半分)になる法則を発見しました。判り易く言えば、ムーアの法則のクラウドサービス版と言った処です。2006年からのアマゾンAWSにおける値下がり率は、ベゾスの法則に従がっています。IBMが買収したクラウドサービスのソフトレイヤーは、ベゾスの法則を必死で研究しているそうです。
■ ベゾスの法則が企業独自データセンターを滅ぼす訳
1910年代に登場したT型フォードは、大量生産・大量消費時代をもたらし、豊かな社会を実現しました。当時顧客の注文に応じて自動車を生産する一品生産に近い状態の自動車産業は、1920年には200社ありました。しかしフォードの大量生産が普及した結果、1940年には自動車製造企業は8社に減少してしまいました。20年間に約96%も自動車の値段が下がったそうです。これと同じことがベゾスの法則として働き、企業独自データセンターを駆逐すると言う見方が台頭しています。
■ ムーアの法則の風を受けないデジタル産業は崩壊する
4K、8Kテレビに関する放送波の議論も同じなのですが、ムーアの法則(クラウドサービスではベゾスの法則)の追い風を受けない産業は、例え姿や形がデジタルであろうとも崩壊してしまいます。何故ならあまりの生産性差、価格差に市場が崩壊すると見られているからです。
例えば放送波は「アナログからデジタルへの切り替え」により、アナログ一チャネルで3チャネル分のデジタル放送が可能となりました。これは明らかにムーアの法則です。しかしその後の4K、8K放送議論では、ムーアの法則の恩恵はすっかり忘れ去られています。(だからデジタル放送は、デジタルの仮面を被ったアナログ放送と言う見方が成り立ちます)
一方インターネットの風=ムーアの法則の風を受ける通信キャリアは、3G、LTEからあっという間に1ギガから10ギガの回線スピードを実現しようとしています。放送が早晩、インターネットと一体化する必然性が示されています。またスマートフォンの性能向上、デジタルテレビのパネルの値下がりなどもムーアの法則の風を受け、疾風怒涛時代の様相を呈しています。
■ IOTが第三次産業革命を起こす訳
現在、経済学の世界では21世紀の資本論に代表される経済停滞説とムーアの法則を重く見る雇用の破壊説が対立しています。そして産業インターネットを提唱するGEなどは、IOTは早晩、経済成長率を1-1.5%引き上げると主張しています。この根拠がムーアの法則です。クラウドサービスにおけるベゾスの法則も含めてムーアの法則の風を受けるかどうかが企業と業界の勝負と言う事なのでしょう。
サーバー事業、否基幹システムの運営事業に爆弾を投げ込んだベゾスの法則
Year | Price | Reduction | Comment |
---|---|---|---|
20% | |||
2008 | $0.800 | $0.640 | |
2009 | $0.640 | $0.512 | |
2010 | $0.512 | $0.410 | |
2011 | $0.410 | $0.328 | 3 years, 50% reduction |
2012 | $0.328 | $0.262 | |
2013 | $0.262 | $0.210 | |
2014 | $0.210 | 3 years, 50% reduction from 2011 | |
April 1, 2014 | $0.210 | 6 years, 75% reduction from 2008 |
<出所:ギガオム>
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