スマート敗戦の負の連鎖、再度、大赤字のシャープ、パナソニック、ソニーはどうなったのか?
<序文>
2012年3月期にパナソニックは7,721億円の赤字 、シャープは3,760億円の赤字 、ソニーは4,566億円 と報道された情報家電主体の各社の収益が一向に回復しません。2012年の上期は3社とも赤字であり、ソニーが2013年3月までの通期は黒字見通し(上期は401億円の赤字)と強気な発言をしていますがエレキ事業では無く、好調な金融事業が頼みです。また他の二社は、シャープは今期最終赤字4500億円、パナソニックは今期7700億円程度赤字の見通しです。
2012年3月期で各社、損失を出しきったのかと思えばそうでもないようです。例えばパナソニックの場合「白物家電などで業績を保っていた印象だが、液晶テレビ事業などの悪化が止まらないのだろう」と言った声が投資家筋から出ています。(カブドットコム証券マーケットアナリスト)
スマート革命(ポストPCコンピューティング、from one screen to multiscreens)の時代には、優勝劣敗(勝ち組と負け組の差)が短期間に明確に分かれます。そして反撃するならば即、対応しないと二度とふたたび市場に登場できなくなります。嘗ての携帯電話の雄であったフィンランドのノキアは既に9位です。
景気の変動局面や事業から敗退する局面で「一時的な大損の計上は避けられない」にしても、嘗てヒットした加山雄三の歌のように「何時までも何時までも忘れられない何時までも・・・・赤字が続く」日本家電は相当やばい気がします。
★★ シャープ、今期最終赤字4500億円に 2期連続で最大
★★ パナソニックが2年連続の巨額赤字へ、63年ぶり無配転落
★★ ソニー、4~9月最終赤字401億円 通期黒字予想は維持
<モトローラのリストラでサービス支配論理への切り替えを急ぐグーグル>
さてスマート革命(ポストPCコンピューティング、from one screen to multiscreens)の時代を迎えて、古い広告モデルからの脱却を図るグーグルは、映画やドラマに関して嘗て対立した(YouTubeの著作権違反問題、グーググルテレビ阻止問題)20世紀フォックスやワーナーミュージックと和解をしてグーグルプレイの内容を充実させ、アップルやアマゾンを追撃する体制を整えました。スクリーンの数が一台から七台に増加すると言われるスマート革命時代のサービス支配論理を着々と充実しています。その間約1年弱でグーグルプレイを充実させ、アップル、アマゾンに追いついています。
そしてスマートデバイスビジネスに本気で進出し、その過程で買収したモトローラモビリティのリストラを断行しています。モトローラモビリティの買収で2012年第三四半期には経費が大幅に膨らみました。(モトローラ分だけで1億8200万ドル計上)またモトローラの営業損失は5億2700万ドルに上っています。
グーグルは一挙にモトローラモビリティのリストラを行って同じような損失を二年も続ける愚は決して起こさないと考えられます。もしモトローラモビリティのビジネスに競争力が無ければ、デザイン設計チームだけを残し、会社を売却するでしょう。そしてスマートフォン、スマートタブレット、スマートテレビなどはサムスンやLG、エイスースなどのパートナー企業に生産委託すると思われます。問題をさっさと処理しなければ、甘くない米国の投資家は許してくれません。
<サービス支配論理への切り替えどころでは無い日本家電の台所事情>
一方日本の大手家電メーカーはモノ支配論理からサービス支配論理への切り替えどころでは無いようです。何故なら未だにリストラが終わっておらず、攻めに出られていません。これではまるで日本の都市銀行などの大手金融機関が何時までも不良資産を持ち越して、挙句の果てに倒産や合併の大騒ぎとなり、失われた10年と言われた90年代にそっくりです。「ずるずるずるずる」です。
日本の大手家電はこのままずるずると隠れた損失を持ち越して毎年、赤字を流し続けるのでしょうか?例えばNECは4年ぶりに上半期が黒字です。同様に日本の大手家電も四年も赤字をずるずると続けるのでしょうか?
日本的経営の遅い速度でも十分対応できる重電の世界(B2Bの世界)ならまだしも、甘い投資家の態度と日本的経営の遅い動きでスマート革命が進行するデジタル家電事業についていけるとは到底、思えませんが。