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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

スマート革命の意味、スマートグリッド、スマートコミュニティ、スマートカー、スマートフォン、スマートテレビ、スマート家電などは何が共通で何が違うのか??

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<序文>

 2010年代のインターネットの世界は「コネクト(繋がり)革命」と「スマート(賢い)革命」と言う二つのキーワードが注目されており、スマートグリッド、スマートコミュニティ、スマートカー、スマートフォン、スマートテレビ、スマート家電など諸々のスマートデバイスなどが提唱されています。筆者も良く質問されるのは、「もろもろのスマートデバイスやコネクト(繋がり)と呼ばれるサービスには、果たして共通点があるのか無いのか」と言う点でした。

確かにこれは米国の議論の流れなので日本から断片的に見ているだけでは、全体が良く分からない点があります。

少し理論的かも知れませんが、本日はスマートとコネクト(繋がり)について書いてみたいと思います。

 

 世界ICTサミット2012 スマート革命が促す新成長戦略

 

★★ 「スマート革命」の衝撃図解スマートグリッド

 

 

★★ The Internet of Things

 

 The Internet of Things

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<出所:http://technode.com> 

 

<モノのインターネットが起源>

 さて米国の議論を見ていると明らかですが1999年頃、家庭用品のメーカーであるプロクター&ギャンブルのために商品の物流や生産の改革のためのRFIDによるタグ付けで成果を挙げた英国出身のケビン・アシュトン氏は、その成果を論文にまとめました。そしてそこでモノのインターネット(The Internet of Things)と言う概念を提唱しました。そこにおいては人の代わりに多くのモノがインターネットに繋がり、また自律して判断するAI要素を持った機器として描かれていました。このモノのインターネットはゼロックスのパロアルト研究所のマーク・ワイザー氏が提唱したユビキタスコンピューティングの具現化形態として注目され、その後RFIDによるタグからセンサーへとビジネスの領域で広がり始めました。

繋がり革命とはThe Internet of Things(ネットと繋がる機器)の中のコネクト(繋がり)に注目された概念であり、一方スマート革命とはモノのAI要素に着目したコンセプトであると考えられます。The Internet of Thingsは産業界ではM2Mとしてタグからセンサーへとビジネスへと次第に広がりました。

 

そしてその後ブロードバンドやワイアレスの世界でインターネットが高速化した処で二つの新しいトレンドが現れました。

 

一つがスマートグリッドであり、もう一つがスマートフォンでした。

 

<社会課題の解決を掲げるスマートグリッド、しかし面白みが無い>

 スマートグリッドは2007年頃から米国で提唱され始めたコンセプトであり、カリフォルニア州の電力危機ニューヨークの大停電を背景に社会的な課題としてエネルギーや電力問題を認識し、その延長線上に車の排気ガスなど低炭素社会対策のような環境問題などをとらえ、エネルギーと交通システムを中心とする社会インフラをThe Internet of Thingsで解決しようとしたものでした。

従ってそこでは電力や自動車、更には水資源関係などの関連機器がインターネットに繋がり、また相互に繋がる、繋がり革命が提唱され、同時にスマートメーターのようなAI要素を持った電力計がインターネットに繋がるとされてきました。当然、家庭内の家電製品もスマートメーターに繋がります。

 

また低炭素社会実現の為には電気自動車の促進、更には社会的課題である交通事故撲滅など、交通システムの刷新へと発展し、スマートグリッドはスマートシティやスマートコミュニティへと拡大しました。そして政府や自治体の政策や政府、自治体のあり方=電子政府まで議論が及びました。

 

しかしこのアプローチの欠点は、「社会的課題の解決」が目的の為、生活者から見て電気料金節約以外にほとんど魅力が無い点でした。東日本大震災で社会課題だということで一時的に節電に協力しても、何時の間にか忘れ去られているように「社会課題とは面白くもおかしくも無いテーマ」なのです。確かに年末には、赤い羽根募金に応募しても、日常的には興味無いのが普通でしょう。

 

 

<生活者を魅惑するスマートデバイスの登場>

 一方The Internet of Thingsから派生したコンセプトで生活者を魅惑したのはスマートフォンやタブレット、スマートテレビ、スマートカーなどの娯楽要素の強いサービスでした。2007年に故スティーブ・ジョブズ氏がIPhoneを開発して以来、スマートフォンの時代、スマートデバイスの時代が始まりました。そして2011年のICloud発表以来、一人一台のパソコン活用時代は終焉し、代わって一人が七台のスマート機器を使い分けるポストPCコンピューティングの時代(新しい個人コンピューティングの時代)が始まりました。また同時にもの=機器の機能に価値を置くモノ支配論理からサービス支配論理への移行という新しいイノベーションの時代が始まっています。

個々の機器は大したことが無くてもその上にインターネットの根と茎が生えて茂ったサービスの森が生活者を魅了しています。国内でも先日、グーグルがネクサス7の発売とグーグルプレイの充実を発表しました。これは明らかにサービス支配論理に基づく囲い込み運動です。

 

一方モノとしての機器はアプリとクラウドサービスが一体化して話始めるなど「まるで人の友達」と思えるほど賢くなります。

 

<生活者のスマートデバイスとスマートグリッドやスマートコミュニティは一体化へ>

 今後スマートフォンやスマートテレビなどの生活者領域のスマート機器+サービスは、スマートグリッドやスマートコミュニティを魅力の面から支え、全体が大きく一体化の方向に進むと考えられます。

 スマート家電はスマートグリッドの視点から見れば省エネ目的です。これはあまり魅力がありません。しかし旅行中に庭の水撒きを指示できたり、ホテルの高いビデオの代わりに取り貯めたビデオをホテルで視聴できれば、これはサービスとして魅力があります。

スマート革命と繋がり革命として多様なテーマがばらばらに議論されてきた日本ですが、2013年あたりからは急速に一体化するでしょう。

 

 

 

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