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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

スマート革命がもたらすWeb進化論時代の終焉

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<序文>

総務省の情報通信白書が故スチーブ・ジョブズ氏の唱えたポストパソコン時代の到来を「スマート革命」と呼んでいます。そこで筆者も強烈な問題意識を持っているスマート革命に関して書きます。今回の情報通信白書は問題の立て方が面白く「何故ガラケーはスマフォに負けたのか?」と言った視点に特徴がありました。

スマート革命においてはアップルやアマゾンに代表される機器とサービスの垂直統合モデルが主役です。

筆者はスマート革命の本質は「モノ支配論理」から「サービス支配論理」への移行の失敗、それがスマートテレビの入り口で「日本家電崩壊」と言う大赤字の原因と考えています。一人一台のパソコンとブラウザーとWebに基礎をおく古い個人コンピューティングが支えたWeb進化論時代は終焉し、一人複数台のスマート機器群とアプリとネットサービスが支える新しい個人コンピューティングの時代が始まります。同時にオープンなインターネット時代は終焉し、オープンと閉鎖性の微妙なバランスに基づく囲い込み型の時代が始まります。

 

<フリーの終焉>

スマート機器+アプリ時代の特徴は広告モデルの効果が効かなくなり、その結果、お金はマイクロ取引とネット通販に頼らざるを得ない時代が来ています。そして各企業はパソコン+ブラウザーが保証したオープン姿勢を次第に放棄し、閉鎖型に向かい始めました。

スマートフォンなどの広告モデルに対しては画面が小さいなどの理由で広告主が懐疑的であり、パソコン+ブラウザーと比べてCPM単価が五分の一という試算が出ています。

その結果、フェースブックやグーグルの決算に於いて「スマート機器で如何に稼ぐかプランを示せ!!」と投資家から鋭い指摘が出始めています。グーグルやマイクロソフトが自社機器の開発に踏み切り、一方フェースブックの自社機器スマートフォンの開発は、フェースブック最大のリスクと言われています。国内のミクシィの収益もガラケーからスマートフォンへの転換に伴う広告売り上げの低下が指摘されています。

 

平成24年 情報通信白書のポイント

情報通信白書

 サービスとスマート機器群の垂直統合モデルの代表

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<引用元:フォレスターリサーチ>

 

 

 

 

<国内家電の崩壊>

スマートテレビの入り口で大赤字を出した国内家電の「メードインジャパン崩壊」の理由はスマート革命に伴う「モノ支配論理」から「サービス支配論理」への移行の失敗であると言う議論が米国で出ています。既に「スペック(仕様)の死」など機器の性能や機能では無く、その上に生えでたサービスの森が勝負の決め手になる時代の勝者はアップル、アマゾンであり、サムスンやグーグル、マイクロソフトなどが必死で追いかけています。

日本家電は「エコシステム」やサービスを意識しないでデジタルテレビを売りに売った結果、モジュール部品化で作り上げた製品価格の叩き合いと言うハード機器で勝負して全社がテレビ赤字に陥りました。

 

<通信キャリアの土管屋化>

ラインやスカイプの隆盛を見れば明らかですが、通信キャリアは既に音声通話では稼げません。そしてアップルのアイチューンズストアなどの台頭で日本の誇るアイモードやEZWEB、ヤフー!ケータイなどは「ネアンデルタール人」化して現生人類のアップル、グーグルの閉鎖的なスマート機器+サービスの森に滅ぼされつつあります。(機器販売に出たグーグルは半分オープンを放棄する方向です。)

実質的にiモードのスマフォ版の復活を決意したNTTドコモがアップルと土管屋阻止、サービス総合企業を掲げて戦うのも無理からぬところがあります。

 

<メディアの翻弄>

 音楽、テレビ、電子書籍、ゲームなどのメディアがスマート革命に翻弄される様は、既に色々と論じられているのであまり申し上げません。ここでは2012年7月の電子出版EXPOにおいて見られた国内出版業界が真っ二つに割れた点だけを申し上げます。楽天、アマゾン、KDDI系のブックライブは自社の電子書籍リーダーを披露し、スマート機器から店舗サービスの垂直統合モデル=サービス支配論理を提示していました。

一方ヤフー!ブックスはHTML5を前面に出して「オープン!!」の重要性を強調していました。しかし欧米ではスマート機器と店舗サービスを閉鎖的に垂直統合するモデルが主流になっています。

<通販と店舗の連携も囲い込みへ>

アマゾンや楽天の動きは当面、電子書籍から始まりますが、早晩、メディア全般に広がり、その次はスマート機器からのネット通販に機器による囲い込みを始めるでしょう。アマゾンは既に始めています。

面白いのはショールーミングで注目される物理店舗とネット店舗の統合、会員制度による囲い込みでの動きでしょう。既に日経新聞にも出ていましたがヤマダ電機がプライベートブランドのタブレットを出して、機器による囲い込みを開始する可能性があります。(但し、ヤマダ電機の正式発表ではありません。)

 

<新しい個人コンピューティングの形>

2015年には一人が7台のスマート機器を使うと米国ベライゾンは述べていますが、パソコンとブラウザーに代わる新しい個人コンピューティングの形が登場し始めています。この動きはスマートテレビ、スマートカー、スマートハウス、スマートフライト、スマート店舗へと広がっています。

 それにしても面白くなってきました。わくわくしますね。

 

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