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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

スマートフォンのネィティブアップスはHTML5に滅ぼされるのか!?

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<序文>
 Webアプリの開発や運用を標準化するHTML5の活用が2012年頃から本格的に始まる見通しがつき(グーグル、マイクロソフト、アップルが支持)、クラウドコンピューティングの支持者、Webアップスの支持者は意気軒昂と言った処です。そしてかれらはiPhoneに代表されるネイティブアップスは早晩、消滅する、絶滅種だと言い出しています。
しかし一方つい先日、ネイティブアップス派に属するワイアードのクリス・アンダーソン氏が逆に「Webの死」を唱えたばかりです。
クラウドコンピューティングのコンセプトの下では、Webアプリが正統でネイティブアップスは異端だとか開発者コミュニティも騒がしいです。
滅びるのは「iPhoneに代表されるネイティブアップス」でしょうか、それとも「Webの死」が来るのでしょうか?

国内ではまともに議論さえされないテーマですが、米国勢は凄い議論をしています。

★ ★HTML5 – The End of Apps?

★ ★ HTML5 Is An Oncoming Train, But Native App Development Is An Oncoming Rocket Ship


★★The Web Is Dead. Long Live the Internet 

<哺乳類型アップスはHTML5の放射能で死滅するのか?>
 2000年代半ばから始まったクラウドコンピューティングの時代には、デスクトップコンピューティングと言うパソコン上で繁茂していた値段が一本2万円程度のオフィス製品も含めて処理用のアップス(恐竜型アップス)は須らく雲の彼方に移動し、机上にはシンクライアントが残って、表示機能を担うブラウザーだけが残るとされていました。しかし恐竜型のアップスは雲の彼方の星に移住を始めるその足元でスマートフォンと言う新たな環境下では一個100円から500円程度の微小アップスがまるで小さな哺乳類のように繁茂し始めています。
 HTML5派の主張だとクラウドコンピューティングに新たな標準化の波が加わる結果、「iPhoneに代表されるネイティブアップス」のような哺乳類型アップスの時代はうたかたの陽炎のようなもの、流れの生じた泡であり、早晩、終焉するとされています。
一方Webの死の宣言は未だ引っ込められておらず、今後の哺乳類型アップスはスマートテレビやタブレットも含めてどんどん伸びると言う予測もあります。

★ ★One Billion TV Apps Downloaded by 2015: GigaOM Analyst Michael Wolf 


<ネイティブアップス派とWebアップスの主張>
 流石に社内でスマートフォンやタブレットなどのネイティブアップス派とクロームOSに代表されるWebアップス派が対立するグーグルでは、両者の主張を一般開発者の前で披露し、結論として両者は並存すると述べています。
1、 Webアップス派の主張
インターネットのWebに関わる標準化が進めばブラウザーが強力になり、ネィティブアップスへの依存が減る。プラットフォームの乱立状態ではオープンインターネットは実現されない。その点、ブラウザー中心のWebアップスは、汎用的であり、解である。

2、 ネイティブアップス派の主張
HTML5に代表される標準化はスピードが遅すぎる。多様なハードウエアの進歩についていけるのはネイティブアップスだけである。変化は現場で起こる。

<実態は両者の並立と補完関係だろう>

調査のフォレスターリサーチなどは明らかに両者は並存すると見ています。またHTML5に賛成しているグーグルもアップルもアップストアやアンドロイドマーケットを縮小する動きは全く見えません。現在、拡大しているデジタル家電の世界(スマートフォン、タブレット、スマートテレビ、スマートカー、スマート照明など)は飽くまで家電であって、パソコンではありません。従ってボタン一つで動くアップスは非常に魅力的です。そして効率化、標準化が成果を挙げればアップスからブラウザーをサブルーチンのように呼び出して活用する方策が多く採られると考えられます。またクロームOSやファイアーフォックスなどもアップストアを立ち上げています。
それにしてもこう言う議論を戦わして技術の方向性や歴史的視点を養いあっている米国の技術環境はうらやましいですね。

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