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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

インターネット地震特番は国内放送業界の歴史的姿勢を塗り変えるのか、モバイルテレビ、スマートテレビが促進される可能性

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<序文>

 311日の午後に起きた東日本の大震災(東北地方太平洋沖地震)で死亡された方々にお悔やみを述べると共に被災された方々の一日も早いご回復と生活の建て直しを御祈り致します。

さて当日は筆者も小田急線が動き出す深夜までオフィスに留まり、帰宅が3時過ぎになりましたが、その間、TBS地震特番のインターネット再送信放送を見ていました。今回の地震ではNHKTBSなど一部の局が特番のインターネット再送信を実施しました。災害時の特例とは言え、これは「ロケーションフリー裁判」で示された「インターネットの放送利用反対」、「著作権違反だ!!」と主張した各局の基本姿勢とは明らかに矛盾します。筆者は今回の大震災をきっかけに国内放送業界のインターネットに対する基本姿勢が変化し、モバイル放送やスマートテレビに対して積極的に動き出すきっかけになるのではないかと期待しています。

 

 

<正式チャネルの方向に進むか、クラウド放送=インターネット放送>

 今回ニコニコ生放送やUstereamから地震特番の再送信放送を実施したのはNHKTBS、テレビ朝日、フジテレビの各局でした。NHKの場合には「個人による番組の再送信放送」すら認めていました。今回の大震災が放送各局に与えた衝撃の大きさが判ります。

 

最近の歴史哲学の主流派の見解では「歴史にはある決まった方向性があるのではなく、具体的なイベントによって歴史は動きだす」と言われています。その仮説に則って考えれば、「尖閣列島のビデオ流出」、更に「東日本大震災」と言ったイベントにより、日本のテレビ業界は衝撃を受け、明らかに一部局のインターネットに対する姿勢が変化し始めていると言う気がします。

 

今回は災害時の緊急措置対応とは言え、筆者はクラウド放送=インターネット放送が国内放送業界にとり、公式チャネルの一つとして認知されるきっかけになる可能性が高くなったと期待しています。これをきっかけに放送業界の内外から米国CBS放送のように「クラウド放送=インターネット放送を恒常化せよ」と言った動きが出てくるでしょう。

 

しかし一方で永野商店による「ロケーションフリー裁判」では、あれだけ「放送におけるインターネットの利用反対」、「公衆放送にあたり著作権違反!!」と叫んでいたテレビ各局に一体、何が起こったのでしょうか。

 

引用

 

USTREAM
TBS
http://www.ustream.tv/channel/tbstv

NHK
http://www.ustream.tv/channel/nhk-gtv

NHK
高画質版
http://www.ustream.tv/channel/nhk-gtv2

テレビ朝日
http://www.ustream.tv/channel/annnews

フジテレビ
http://www.ustream.tv/channel/japanhelpchannel


<ニコニコ生放送>
NHK
http://live.nicovideo.jp/watch/lv43018790

フジテレビ
http://live.nicovideo.jp/watch/lv43019860

 

引用終わり

 

★★★★NHK、TBSなどの地震特番:ニコニコ動画、Ustreamでネット配信中  

 

 

テレビはオフィスに無い、外出先にも無い、家庭にしか無いと言う事実

 テレビ業界の一部は今回の大震災で「テレビはオフィスに無い」、「外出先にも無い」と言う重要な盲点に直ぐに気がつきました。テレビは家庭にしか無いため、外出中のモバイル機器やオフィスのパソコンにはテレビ放送が届かないと言う事実が明らかになったのです。また家庭でもNHKの放送文化研究所の調査では29歳以下の約20%弱がテレビを見ておらず、一方ニコニコ動画は20代の約6割が視聴していると言っています。また明らかに時代はタイムシフト、プレースシフト、更にマルチデバイスでニュースを視聴する「ユビキタスネットワーク視聴」の方向に向かっています。しかもテレビはあっても精々家庭にしかありません。そうなればテレビ各局は「インターネット放送=クラウド放送」を活用するしかありません。さもなければ今回のような緊急時に社会の役に立ちません。

 

それに気がついた「緊急番組=ブレーキングニュースを届ける」と言った放送の社会的意義=社会貢献を十分意識している一部の局は非常に早い対応を示しました。

 

<放送の公共性とツイッターの迅速性の両立課題>

地震特番のインターネット放送は「放送の公共性とツイッターの迅速性の両立課題」に対する放送業界の回答も明確にしました。ツイッターには放送以上に早い情報の伝播と言う長所もありますが、今回の大震災でも見られた「デマや不正確な情報の伝播」と言う欠点もあります。そこで次に出てくるのが「公共性や一定の客観性を持ったテレビ放送と個人視点のツイッターの両方をテレビで見たい。」と言うソーシャルテレビに対するニーズでしょう。その為にはテレビ受信機の上での「放送とインターネットの融合」が求められます。

地震特番は明らかにソーシャルテレビ、スマートテレビの促進要因となる可能性が高いです。

 

<放送とソーシャルビジネス、社会貢献の意義>

 2010年代は明らかにマスメディアからインターネットメディアへのメディアの歴史的転換の時期であり、テレビのデジタル化が日本でも数ヵ月後に迫っています。

メディア論によればメディアが大きく変化すれば社会も大きく変化します。当然、NHKの言う無縁社会を克服する、例えばオバマ政権後の米国のような人種差別を克服した新しい市民社会も誕生し、何が正しく何が悪かという「社会的規範」も変わります。その中でグローバルに注目されているのがバングラディシュで始まったソーシャルビジネスであり、それが米国に伝わってマーケティングにも社会貢献重視の風潮を惹き置きしています。

欧米と異なり国内のツイッターのマーケティングに最も欠けていたのは社会貢献やソーシャルビジネスの視点でした。

今回の放送特番で国内の放送業界にも「放送の社会的使命や社会貢献」と言った視点が大地震により突然、鋭く突きつけられました。それに一部の局は積極的に立ち向かう姿勢を示し、他の局はインターネット放送に対する地方局の反発などを考えて躊躇したということなのでしょうか。

 

今回の大震災の反省の中から21世紀視点での「放送の社会的使命や社会貢献」を是非、各放送局が鑑みられ、インターネットテレビ(モバイル放送、スマートテレビとテレビアップスの採用)に対して(グーグルテレビなどに対する)従来のような後ろ向き姿勢を転換し、前向き対応されることを切に願います。

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