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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

グーグルテレビが火をつけ、日米韓欧各メーカーが迎撃体制を整えた「スマートテレビ戦国時代」を制するのは誰か!!!?

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<序文>

 遂にグーグルテレビ(ソニー版とロジテック版)の正式出荷が発表され、プレオーダーの受付を始めました。iPadほど派手ではありませんが2010年晩秋のホリデーシーズンにスマートテレビの勝負が決まります。既に米国で販売されるテレビの25%はインターネット対応テレビになっています。フォレスターの調査によれば、その25%位は全く使われていないと言う否定的報道もありますが、ソニーとグーグルが市場を立ち上げたのは間違いないでしょう。2011年にはスマートフォンが米国市場の半分になるというニールセンの予測に従えば、来年は一挙にアップス活用文化が全米に広がり、確実にスマートテレビの活用にも波及するでしょう。

Googleukreuters

 <出所:ロイター>

 

★★ ソニー、「Google TV」搭載のネットテレビを発表 600ドルから


 


 

 ★ Smartphones to Overtake Feature Phones in U.S. by 2011



 

<スマートテレビの活用状況>

 既に欧米の有料テレビの一部(AT&Tユーバーステレビ、べライゾン・ファイオステレビ、衛星放送のDIRECTVなど)は2009年夏ごろからセットトップボックスに多くのアップスを配置し、スマートテレビ普及に成功しています。見逃し放送や、マスターズゴルフ中継や大リーグ中継(DIRECTVでは百万回近いダウンロード)の番組連動型アップス、子供達の喜ぶサンタ追跡アップス、ツイッターやフェースブックやコーラーIDと言うテレビ電話を使ったソーシャルテレビアップスなどで成果が出ています。

そういった背景を前提として考えれば、フォレスターリサーチのスマートテレビ再評価も納得がいきます。一般テレビにおけるスマートテレビ活用は、フォレスターの言うようにこれからですが。

 

 

<スマートテレビ市場への準備>

 3Dテレビ市場がメガネ問題やコンテンツの問題で広がりが遅い中、3Dテレビに否定的な欧州の放送業界も独仏のHbbTV、英国のYOUVIEW(旧プロジェクトキャンバス)、イタリアの動きなどアップス活用型のインターネットテレビ=スマートテレビを前提とした動きを既に実践しています。その結果、世界中のメーカーは既にデジタルテレビにアップスを投入し、ネットと電波をマッシュアップするスマートテレビへの準備を整え終わっています。


それではまず日本メーカーから見てみましょう。但し、対象市場は欧米ですのでお忘れなく。日本メーカーの国内市場での対応との大きなギャップに驚いていただけたら嬉しいです。これは日本市場の後進性を意味します。

 国内メーカーは国内市場では3Dテレビと録画時間しか言わないですよね。

○ 国内メーカー      採用しているスマートテレビサービス

■ 東芝        ヤフーコネクトテレビ

■ 三洋電機      VUDUのサービスとアップス活用開始

■ 三菱電機      ストリームテレビ 100個のアップス

  三菱電機 ストリームテレビ

■ パナソニック    ビエラキャスト

■ シャープ      アクオスネット 多数のアップス

  シャープアクオスネット

○ 米国メーカー

 

■ビジオ       ビジオインターネットアップス (ヤフーコネクトテレビ)

 

 韓国メーカー

■ サムソン電子   インターネット@TV (ヤフーコネクトテレビ)

 サムソン電子インターネット@TV

■ LG電子     ネットキャスト(ヤフーコネクトテレビ)

 

 欧州メーカー

■ フィリップス   ネットテレビ

 http://www.philips.co.uk/c/televisions/33092/cat/#/difference/nettv

 

 ご存知でしたか。ソニーだけでは無く、他の日本メーカーも完全に日本パッシングの状況です。それは日本市場に先進的サービスへの先駆的な市場性が無いと判断したからでしょう。

 欧米市場を立ち上げれば 確実に日本は「物真似フォローする」と言う判断ですね。スマートテレビで日本を後進市場とみなすと言うことはインターネットでも遅れていると言う意味でもあります。何故ならばUSTREAMなどで立ち上がった「ソーシャル視聴などがテレビに広がらない、ネットに閉じた閉鎖的な縦割り文化の日本社会だ」と見ているからでしょう。欧米ではソーシャル視聴はネットだけのものではなく、スマートテレビ用アップスのキラーアプリの一つに考えられています。


 

<スマートテレビ戦国時代の始まり>

 約1000年前、貴族政治に反対して武士の世を作り上げた鎌倉幕府は良く知られています。しかし戦いの最初の狼煙を挙げたのは、平家に仕える三位源頼政でした。この平治の乱により全国の源氏が立ち上がりました。その中に信州の木曾義仲や伊豆の源頼朝がいたのです。さて既に各地の源氏=テレビメーカーはスマートテレビへの準備を整えています。そして最初に狼煙を挙げたのはアプルテレビ改訂版とグーグルテレビでした。iPadほど派手ではありませんが2010年晩秋のホリデーシーズンにスマートテレビの勝負が決まります。テレビの世界でアンドドロイドのようなオープンソースの強さやアップスの有効性が問われる訳ですね。


2010年秋からはいよいよ本格的なスマートテレビ戦国時代が始まります。


そして名門のテレビメーカーは、それぞれが組み手を決めて準備を整えています。一方ロクやポップボックス、BOXEEBOXなどのベンチャー企業もいます。クラウド放送の台風の目となっている、アプルのように「放送をマイクロ取引に分解する」と有料テレビの仇役として睨まれているネットフリックスなども源氏=名門のテレビメーカーではありません。アメリカと言うグローバル共和国の首都での戦いは既に始まっています。


そして2011年春にもグローバル共和国の辺境である、スマートテレビ後進国の日本での戦いが始まります。IPadはコンテンツでは書籍業界が関わったとはいえ、まだまだ新規領域の戦いでした。しかしスマートテレビは既存のテレビメーカー、テレビ業界と言う言わば倒幕が関わります。書籍業界の次は確実に放送業界でしょう。そして戦いの大変さはUSTREAMの比ではないでしょう。逆黒船である青い眼のソニーが担ぐグーグルテレビは、太平の眠りに付く日本国内にどんな影響を与えるのでしょうか。楽しみですね。

 

 

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