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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

グーグルテレビ、アプルテレビによる日本素通りは歴史的敗北!!

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<序文>

 2010年9月末にアプルTVの改訂版が出荷され、10月にはグーグルテレビが出荷されると言われています。まあアプルはいいとして日本のソニーが出すグーグルテレビさえ何故か「黒船」と言う印象が拭えません。両社とも日本は後回しにし、欧米が先ということのようです。韓国ではサムソンがインターネット対応テレビ(コネクトテレビ)のアップスコンテストを2010年春に実施しました。このジャパンパッシングは日本のテレビ業界とインターネット業界にとって歴史的な敗北だと見ています。一体、何のためにニコニコ動画を体験し、USTREAMであれだけ大騒ぎしたのでしょうか?

 

<表面的な社会現象しか捉えられない日本のIT関係者>

 確かに科学技術を見れば日本は昔から一定の国際貢献をしてきました。しかし社会現象の捉え方は相変わらず弱いですね。元々神様の把握が「商売繁盛」「家内安全」「学業授受」とコンセプトの把握が弱く、現世利益追求中心で、それもビジネスと教育とセキュリティが縦割りで相互に壁があるというのが日本ですから。

 

 さてサムソンとソニー、LG、ビジオが採用したヤフーコネクトテレビ及びグーグルテレビにCPUのアトムを提供しているのがインテルです。判りやすく言えばコネクトテレビ=アップス中心のネットテレビに火をつけたのはインテルな訳ですね。

 

 筆者が読んでいるインテルの「Screen Futue」はテレビの未来をインテルが企業として語ったものですが、著者はテレビチームのリーダーであり、ITに詳しい人類学者です。

 

テレビのデジタル化は「テレビ信号の単なる変換ではない、情報処理=アップスによる付加価値だ!!」と言う主張をデジカメなどの事例を持ち出して同社は説明しています。

 

そしてアップスや映像コンテンツ販売の鍵はソーシャルテレビ=ソーシャル視聴が握っていると主張しています。

 

こう言うコンセプト視点で考えるとニコニコ動画やUSTREAMで野球や音楽のパフォーマンスを経験すれば「次はテレビだ」と言うことは自然にわかりそうなものなのに日本ではリアリティが無く、殆ど理解されていません。サッカーも野球も音楽も中心はテレビですから、ちょっとコンセプトが応用でき、先を見る目がある人々ならば、インターネットのライブで盛り上がった人々が「テレビはアップスでソーシャルテレビになる」と考えても全く不思議は無いですね。日本はそういった盛り上がりがあまりにありません。iPadやiPhoneなど新しい製品は大騒ぎしても、既存の歴史がある製品には全く興味も無いようです。(これでは幕府は倒せないですね。)

 

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 セカイカメラのARであれだけ盛り上がるのにスマートフォンであれだけのるのに「アップスでテレビ動画を解析して新たな娯楽を生成する」と言ってもインターネットテレビに乗ってこない日本の不思議は一体なんでしょうか。

 

<放送関係者は視野が狭い>

 

 何故日本をアプルテレビもグーグルテレビも素通りするのか、後回しにするのか。理由の一つは欧米、韓国と全く違う見逃し放送の普及の遅れです。見逃し放送に対して最初から有料のアプローチを護送船団方式で取った為にタイムシフト視聴が普及せず、結果として一部の視聴者にテレビ離れ、ガラパゴス型ネット依存を招いてしまった訳ですね。テレビの歴史が一番長い欧州のように放送局もメーカーもネット関係者も一緒になってHbbTVなどを検討する視点の高さ視野の広さを業界として欠いているような気がします。欧州は3Dテレビは2012年ごろと言っていますがインターネットテレビには標準化基準作り(HBBTV)まで実施しています。

 

<日本はインターネットで歴史を切り開けない国なのか?>

 

 iPhoneやタビュレットでは追随できた訳ですがインターネットテレビでは欧米はおろか韓国にも明らかに遅れを撮り始めている日本の状況は、テレビが既存の体制であり、長い歴史を持つだけにインターネットが作り出す変化の胎動が弱いということなんでしょう。昔の堺や博多の会合衆による自治都市や海外の日本人町は江戸幕府の鎖国で消え去りました。一方西欧の自治都市は成長を続け、市民革命を引き起こしました。

 

またぎりぎりになって「坂本竜馬」にでもインターネットテレビの成功をお願いに行くのでしょうか。もしかすると日本はインターネットで歴史を切り開けない国なのかもしれません。

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