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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

非アップス方式の電子書籍キンドルが衰え、アップス方式のiPhone、iPad、アンドロイド書籍や読書が成長する訳

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<序文>


 現在の読書をそのまま電子書籍に置き換えた方式ではキンドルの方が優れているかもしれません。しかしアップスの時代を迎えて電子書籍が新しいライフスタイルを生み出す可能性がはっきり見えてきました。典型的にはグーグルテレビなどで議論されているコネクトテレビ(ネット対応テレビ)が判りやすい例でしょう。番組動画コンテンツも文書も写真も必要に応じてマッシュアップして提供されます。この流れに電子雑誌や電子新聞、電子書籍ものろうとしています。


メディアは新しいライフスタイルを提供します。アップス型の電子書籍は超書籍と言ったイメージであり、超電話や超新聞、超雑誌、超テレビなどのアップス活用の流れに乗って新しい読書スタイルを生み出しそうです。(アメリカでは超書籍について一部が強化版イーブックと呼びはじめています。)

 

<新しい電子書籍は超書籍、超読書>

 

 キンドルはアップスを活用しておらず、動画なども活用できません。PDFとブラウザーを中心とした読書です。キンドルの良さはIT活用始点で言えばネットによる現在の読書スタイルの「そのまま置き換え」という点にあります。ある意味で非常に判りやすいですね。

 

 (以下Wikipediaより引用)


引用

· サポートするファイルフォーマット: AZW(キンドル専用), TXT, PDF, MOBI, PRC ".MOBI"および".PRC"はフランスで開発されたMobipocket形式の電子ブックファイル)

· 付属辞書: The New Oxford American Dictionary.

· ウェブブラウザ: Basic Web JavaScriptSSLをサポートするがFlashには対応していない)

引用終わり

 

 一方iPhoneiPad、アンドロイド書籍はアップスを駆使しており、超読書とも言える新しいライフスタイル、読書スタイルを齎そうとしています。学校の授業で言えば単なる教科書棒読み的な読書を超えて、視聴覚教室を始めたようなものです。

例えばキンドルの読書は「白雪姫」の絵本の置き換えだとすれば、アップスによる超読書は白雪姫のテキストにナレーションや音楽、映画やアバターゲームまで伴ったものになり始める可能性が高いです。

 

 

<超書籍=強化版イーブックの事例>

例えば出版社のScribner and Simon & Schuster DigitalRick Perlsteinが書いたNixonlandの強化版をApple’s iBookstoreからアップスの形で販売します。(May 2008Nixonlandは紙の書籍化されました。その電子版ですね。)アメリカでは超書籍=アップス版の電子書籍のことを一部で強化版のイーブックと呼んでいます。

 どこが強化版かといえば著者とのオリジナルインタビューやCBS Newsが製作した27本の 歴史ビデオが本文のテキスト中に埋め込まれています。CBS Newsと紙の書籍のコンボにより電子書籍の強化版を作成したことになります。

またキンドル用にはビデオをはずした版を出します。(これは通常の電子書籍ですね。)米国ではこう言った動きが静かに広がり始めています。

 

 http://mashable.com/2010/07/30/nixonland-enhanced-ebook/



 

例えば日本でも作家の村上龍氏は長編小説「歌うクジラ」のiPad向け電子書籍をアップスとして提供し、それに「音楽とアート」を加えています。

 

 こう言ったアップスを絡ませて電子テキストと音楽やビデオ、アートの写真、音声などを組み合わせた超書籍=強化版電子ブックは、今後色々な試みがなされて来るでしょう。

 

 引用


「村上龍 歌うクジラ」は22世紀を舞台にした冒険小説で、音楽家の坂本龍一氏が新たに書き下ろした荘厳な音楽と、美しいアートワークを加えた、単なる電子書籍ではない全く新しい形の小説です。美しい曲線を描きながらアニメーションするページターンや、物語を快適に読むための格納型操作メニューを有し、巻 末には本作品のアートワークを担当したグリオ所属のアーティスト篠原潤が、制作の過程で書き下ろしたアートワーク集を収録しています。

 

引用終わり

 ★★ 村上龍氏の最新長編小説「歌うクジラ」をiPad向け電子書籍アプリとして提供開始


 

<まとめ>

 

 進化心理学によれば人の心の仕組み(脳の仕組み)には読書モジュールは無く、視聴覚のモジュールはあると言われています。理由は「読書は高々5千年前に始まった習慣」であり、人類の心の仕組みに遺伝的に反映されるには歴史の長さが足りないと言う学説です。


そうなれば読書よりも視聴覚教室型の読書コンテンツの提供(テキストやナレーション、ビデオの組み合わせ提供)の方が、「理解が早い」し、「理解が楽」と言うことになります。タブレットの値段もどんどん下がっている点からしても、大きくはアップス方式のiPhoneiPad、アンドロイド書籍や読書が成長すると考えられます。


こうなってくればどのアップスを中心におくかによって、それが書籍の読書なのか、雑誌を見ているのか、テレビなのか、電話なのかなどが決まってきます。


いよいよ読書が未来型に変わり始めました。

この見方はいかがでしょうか?

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