オルタナティブ・ブログ > インターネットの第二の波とソーシャルメディアマーケティング >

テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

YouTubeはソーシャルテレビのライブ中継に出てUstreamのライバルになるのか?

»

<序章>


YouTubeのライブ中継の動きが活発です。20106月だけで音楽ビデオ entertainment VEVOと組んだFIFAワールドカップの前夜祭音楽フェスティバルのライブ中継やIGNと組んだビデオゲームE3 2010のライブ中継が目立ちます。ライブ放送はそれぞれの組み手企業のYouTubeブランドチャネル上で実施されており、組み手がスポンサー企業であると思われます。

 

★★ YouTube Teams With IGN To Broadcast E3, Continues To Ramp Up Live Streaming

 Watch the World Cup Kickoff Concert Live Online

 

 

YouTubeのライブ中継ビジネス展開>

さて書籍「Ustreamと超テレビの時代 ~ユーザーライブ中継の威力~ を書いていて相当調べたのが「YouTubeによるライブ中継進出の動き」でした。色々調査して行くと「YouTubeは一般参加者の手によるライブ中継に進出した場合、一般参加者の1割がライブ中継を視聴すればそれだけでコストが12割膨らむ」と言う試算でした。従って「赤字と黒字すれすれのYouTubeは、大きなスポンサーが見込める大手のショーだけに進出し、一般参加者や一般企業による自由なライブ中継を認める可能性は小さい」と言う見方をしています。

これまでYouTubeはオバマ政権に依頼された政治の中継や映画、一部の音楽、クリケットボールのライブ中継を時々行ってきたと言うのが現状でした。

米国ではUstreamとライバルのLivestreamTVが二強であり、YouTubeは一般参加企業からの依頼をLivestreamTVにアウトソーシングした事例すら過去にありました。

LivestreamTVのように一回の企業ライブ中継で3万円などもらってもYouTubeには割に合わないと言うことだ見られており(マーシャブルなど)、本書でもこの見方を採用しています。

<例外はショーズ&ムービーズ>

しかし「ショーズ&ムービーズ(ショーと映画やドラマ販売)」に関しては、話は別です。広告ビジネスに付加される「ショーズ&ムービーズ(ショーと映画やドラマ販売)」は今後のマイクロ取引(映画やドラマのダウンロードまたはストリーム販売)の収益源だからです。「ショーズ&ムービーズ(ショーと映画やドラマ販売)」においてYouTubeは見逃し放送のライバルHulu(フォックステレビなどが設立)がソーシャルテレビに熱心な関係もあり、先手を取るためにはライブ中継とソーシャル視聴を見逃す訳には行きません。

スポンサーが付き、最近、UstreamLivestreamTVに押され気味の「ショーズ&ムービーズ(ショーと映画やドラマ販売)」の領域を中心にプレゼンス=ブランド効果を示せるなら高コストのライブ中継を請負うと言う姿勢だと考えられます。スポーツも広い意味では「ショーズ&ムービーズ」の一部です。

結論から言えばYouTubeはテレビと同じ恐竜的な立ち居地にあり、粒の大きなビジネスか、プレゼンス=ブランドを示すマーケティング効果目的でもない限り、行わないと言う見方をしている訳です。そしてライブ中継に関しては「ショーズ&ムービーズ」の領域に集中すると言う発想ですね。


 

 

 

YouTubeの収益面は別としてライブビジネスに出れば、凄いインパクト>

米国におけるソーシャルメディアの識者の多数と筆者の見方は外れるかも知れません。

もし仮にYouTubeUstreamとライバルのLivestreamTVのように多くの生活者や企業の手に自由にライブ中継を委ねた場合、ユニーク参加者数が米国だけで1億を超えている点から見ても凄いインパクトになると思います。もしそうなれば、日本でもソフトバンクのライバル企業もUstream対抗として担ぐ可能性があります。

 

またその規模の大きさ故に米国だけではなく国内のテレビ局にも影響を及ぼす可能性、アンドロイドテレビのようなコネクトテレビの展開にも影響があると考えられます。


 

 

また暫くYouTubeから目が離せなくなって来たようです。

Comment(0)