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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

USTREAM等ソーシャルテレビは「衛星放送」や「テレビ会議システム」ビジネスを価格破壊するだろう

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 昨年末に2010年は国内でもソーシャルテレビが大爆発すると予測した筆者ですが、見事に的中してすっかり喜んでいます。

 

★★  日本の主流は「ユーストリーム+ツイッター」か「ニコニコ動画か」?

 

 20117月のテレビの完全デジタル移行を控えて、20102月、USTREAMの総代理店にソフトバンクがなり、同4月、ニコニコ生放送が黒字化を発表するなどなどソーシャルテレビのビジネス活用の動きが国内でも活発になっています。

 

注目すべきはUSTREAMには広告の付かないプライベート活用と言うオプションがある点でしょう。それを企業内やグループ内のセミナー、会議に活用する動きも既に米国で出始めています。理由は衛星放送や社内のテレビ会議システムの費用を大幅に削減できる可能性があるからです。(無論、これからUSTREAMなどの一般的な実験がもっと行われて規模や会話のあり方など色々と改善点も出てくるでしょうが)

 

昔同じことは仮想社会サービスのセカンドライフやオープンシムで盛んに試みられました。従ってソーシャルテレビの充実と共に同様の動きは当然、企業内やグループ内、代理店内の活用として出てきます。2009年秋のオラクル・オープンワールド実施やシスコの代理店会議などがもう少し規模を縮小した内部活用の可能性を示しています。

ソーシャルテレビには既存のテレビ等マスコミに対する補完在効果と代替財効果がありますが、大きくは音楽CDと音楽ダウンロード=一曲売りのマイクロ取引の関係のように代替財効果がより強く働き、業界の規模が縮小すると考えられます。それと同じことが企業内用のテレビ会議システムや衛星放送にも起こるだろうと言うのが筆者の仮説です。

 

以下では大雑把なコスト比較をしながら具体的に論じてみましょう。

 

USTREAMの企業内プライベート活用>

 

★★Ustream Introduces Watershed: White-Label Video Streaming

プライベート活用の特徴はクラウド・コンピューティングサービスを活用する為、料金が馬鹿安い点です。

 

例えばUSTREAMのオプション1の場合、月額が49ドル(視聴時間合計が500時間以下の場合と保存ビデオが500GB以下の場合)、月額179ドル(視聴時間合計が500時間から2000時間以下の場合と保存ビデオが500GB以下の500GBの場合)というのがプライベート活用した場合の料金です。良いですか、わずか5千円弱とか2万円弱でサービスが利用できる点です。

 

Ustreamwatershedplans1

Ustreamwatershedplans2

Ustreamwatershedstorage

<引用元:USTREAMBLOG>

一方月額350ドル(3000時間と保存ビデオが1000GBの場合)、一年に3500ドル(同)と言った安いサービス料金はUSTREAMのライバルのlivestream.TVのものです。これでも月額35千円とか安いですよね。受け側の仕組みは社員のパソコンで十分です。

後の放送時の機器は、極端に言えばiPhoneWebカメラがあれば可能です。

 チャネル数が1本の場合

Livestreamselect350

Livestreamselect3500

<引用元:LivestreamTVブログ>

 

この位料金が安ければ衛星放送や「テレビ会議システム」をリプレースするコスト圧力がが必ず企業には働きます。以下に見るように衛星放送利用料金やテレビ会議システムなどは導入費も月次料金も高いですから。

 

判り易く申し上げればソーシャルテレビの活用はコストが1桁違います。

これはテレビや紙新聞の高い広告費とインターネットの安い広告費の関係と同じですね。

 

 既に一部米国企業ではUSTREAMの企業内プライベート活用などは、社内や代理店との間で始まっていると考えられます。

 

★★ ヒットポップス、通信衛星を利用したビジネス用コンテンツ配信サービス「ヒットエンタープライズ」を4月1日より提供

以下引用です。

 

導入費用については現時点では予定価格となっているが、初期費用(衛星受信機+サーバ導入費用)が1拠点あたり128万円から、月額利用料が1企業で5拠点に展開した場合40万円から(基本コンテンツ料金含む)としている。

 

引用終わり

 

★★ 導入事例キヤノンマーケティングジャパンの導入効果(テレビ会議システム)

上記によれば全国50拠点の導入初期費用は5000万円となっています。

 

<社内SNSとの一体化の動き>

 

 これは既に米国IBMなどのロータスセームタイムや構内電話をIP化するユニファイドコミュニュケーションの動きを見れば明らかですが、電話帳とのリンクをする企業内SNSのプロフィールやブログとテレビ会議などを一体運用する動きがアメリカでは顕著です。早晩、日本でもそうなるでしょう。

 

もっともロータスセームタイムの場合にはアバター会議が主に想定されていましたが、それがテレビ会議などに代わっても同じことです。

 

その内、企業内SNSにも米国フェースブックのような「ライブストリームボックス」が付いて企業内SNSやグループSNSのコミュニティ上でUSTREAMなどのソーシャルテレビが衛星放送に代わって活用されるようになるでしょう。

 

<ソーシャルテレビの社内導入の課題>

 

ではustreamなどを社内やグループ内導入する場合の課題は一体、何でしょうか。

 

 まず最初に挙げられるのはVOIPなどの社内電話の活用、もしくはスカイプ利用との組み合わせ利用の仕方でしょう。それからUSTREAMなどの多元放送の規模拡大が出てくるかもしれません。また文字チャットに関しては企業内SNSとのリンク、ソーシャルストリームの受け皿リンクも出てきます。

 

しかしテレビ会議の仕組みや衛星テレビの仕組みと比較してセキュリティ面が充実すればUSTREAMなどのクラウドコンピューティングは大きな魅力です。

 

2010年秋または2011年には始まるだろう>

 

我が国も20117月にはテレビが完全デジタル移行します。筆者は早ければこの秋、来年辺りからソーシャルテレビの企業内サービスが伸び、テレビ会議システムや衛星放送を置き換え始めると見ています。大手企業の場合はプロジェクトチームから活用が始まり、行けるとなったら中小企業も飛びつくでしょう。

 

この予測は多分当たると思っています。

 4月20日夜には一週間ぶりにUSTREAMに登場します。今回はアバター姿ではなく顔晒し方式ですね。その時こんな話もしようかと思っています。詳細はまたお知らせします。

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