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開発ツールビジネスの再生に格闘。マーケティングの視点で解説

エンバカデロの2008年10大ニュース

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昨年、一昨年に続き日本語Webコンテンツ数の推移と併せて、10大ニュースを紹介します。昨年は、日本語Webサイトのオープンもあって、4月にコンテンツ数が2.5倍ぐらいになっていますが、今年はなだらかな増加です。

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① 2008年キックオフミーティング

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今年も例年どおりキックオフミーティングで開始です。新製品の方向性、営業戦略などが話し合われました。製品の方向性については、その後かたちになっていきましたが、営業戦略などについては、エンバカデロとの合併により、継続する部分と新規に加わってきた部分があり、今から思えば、かなり変更があったといえます。
ちなみに写真はボーリングをするMichael Swindell。当時の写真を探していたら、チームビルディングと称してみんなでボーリングをしたなぁ、と思い出しました。

② デブサミでRubyコミュニティとパネル

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2月には、イベントが続きました。恒例のデベロッパーキャンプに続き、翔泳社主催のデブサミに参加。Rubyコミュニティとオープンソースについて語るパネルセッションを実施し、David Iが登壇しました。このセッションの注目度、満足度は高く、完全満席に加え、後日デブサミ特別賞もいただきました。
ちなみに来年のデブサミでは、PHPコミュニティとDelphi for PHPのアーキテクトJosé Leónが語るパネルを企画しています。

③ Delphi for PHP 2.0発表

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昨年最初のバージョンをリリースしたPHPをビジュアル操作で開発できるWeb開発ツールDelphi for PHPのバージョン2を発表。今回のバージョンからマルチランゲージ版となり、日本語UIが利用できるようになりました。徐々に市場に浸透しつつある同製品のために、書籍出版の企画も立てました。デベロッパーキャンプで実施した高橋君のセッションネタなどを持ちとり、夏休み中にせっせと執筆しまして、9月には店頭に並べることができました。

④ エンバカデロがCodeGear部門の買収で合意

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連休明けに飛び込んできたのがエンバカデロ・テクノロジーズによるCodeGear部門の買収合意です。ボーランドによる開発ツール部門分離の発表以来、ようやく新しいオーナーを見つけたことになります。エンバカデロは、現在非上場で、PEファンドのThoma Cressey Bravoがオーナーです。短期的な株価に左右されず、中長期的な視野でビジネス再生を行うPEファンドによる支援を得られたのは、歓迎すべきことでしょう。

⑤ 3rdRail日本語版発表

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新しいテクノロジーへの投資という視点からすれば、Rubyは有望株のひとつです。特に、メイド・イン・ジャパンの技術でもあり、単に日本語版をリリースするだけでない価値を作ることも重要でした。3rdRail日本語版の発表では、Rubyの作者であるまつもとゆきひろ氏が所属するNaClとそのパートナーOSJとのアライアンスを同時に発表しました。その後、3rdRailの方向性は、まつもとさんやNaClのRubyを育てているエンジニアのフィードバックを受けて、舵取りされていくようになります。

⑥ 新生エンバカデロ・テクノロジーズ始動

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7月1日には、エンバカデロとボーランドの間で買収に関する手続きが完了しました。これをもって、CodeGear部門はエンバカデロ・テクノロジーズの一部となりました。同時に、従来のエンバカデロのデータベースツールをDatabaseGearとしてカテゴリー分けし、CodeGear+DatabaseGearという2つの製品カテゴリを打ち立てました。エンバカデロはこれまで日本法人を作っていなかったので、このタイミングで設立。7月15日には、設立記者会見を行っています。

⑦ Delphi/C++Builder 2009発表

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エンバカデロ・テクノロジーズとして活動を開始する中でも、従来のビジネスの継続は重要な要素です。そうした過程で、Win32ネイティブでUnicodeにフル対応した、待望のDelphi 2009 / C++Builder 2009を発表しました。今回の製品リリースに至るまでに、日本で初めて、グローバルに展開するフィールドテストプログラムへの参加をオープンに募るなど、さまざまな試みをしてきました。こうしたユーザーの皆さんとの距離を縮める努力は、まだまだ継続中です。

⑧ Nickとともにデベロッパーキャンプツアー

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Delphi/C++Builder 2009の発表とシンクロするように、DelphiプロダクトマネージャのNick Hodgesが来日。東京と大阪の2箇所でデベロッパーキャンプを実施しました。大阪は昨年に続き2回目。今回は、Delphiにかなりフォーカスを当てたこともあり、熱いユーザーの皆さんに集まっていただきました。ユーザーの皆さんに5分間プレゼンをしていただくという企画も、東京、大阪それぞれ盛り上がりましたね。
そういえば大阪のホテルでエクスチェンジレートが1ドル100円を切ったといってNickが泣いてましたが、今は80円台でそれどころではないですね。来日外国人には、2ドルないとコーラも買えない辛い日々です。

⑨ Delphi Prism発表

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年初の段階で、社内向けにDelphiの.NET戦略の変更を発表していましたが、Delphi Prismは、それがかたちになった製品です。.NETの最新テクノロジーを使えるようにすることと、既存のDelphiとの互換性(つまりVCLに留まること)が両立できないというジレンマに対し、Win32が復権した今、.NETである意味を考えたら前者にフォーカスするべきだろうというのが結論です。IDEもVS Shellを使うことで、.NET開発のメリットを享受できるようにし、その上の機能にフォーカスしています。

⑩ 2009年に向けて

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さて、IDE部門の分離発表以来、日本のCodeGearをリードし、エンバカデロ日本法人設立に尽力してきた八重樫が12月末日を以って日本法人代表を退きます。立ち上げ屋を自認する八重樫は、混沌とした中で環境整備に力を発揮してきました。これからエンバカデロ日本法人は、いよいよ本格的に展開していくことになりますが、そのタイミングでのバトンタッチということです。
後任は?ということですが、実は、私が任されることになりました。私自身もマーケティングという立場で、開発ツールビジネスの再生に注力してきたわけですが、この潮流を会社全体で盛り上げていくようにがんばりたいと思います。よろしくお願いします。

ということで、2009年は忙しい年になりそうです。皆さんよいお年を。

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