時代遅れの文化に同化させる新入社員研修はやめようではないか！

1. 知識を増し、経験を積めばできること
2. 徹底して追求し、知識や経験を極めればできること
3. ひとつのことに究極を求めず、広い視野で最適を求めて変化すること

ヒトの成長とは、こんな段階を経るのかも知れない。

まもなく新入社員研修が始まる。新入社員たちは、新しい価値観や常識にぶつかり、迷うこともあるだろう。そういう彼らに、これからの社会人としての矜持を持たせることが、新入社員研修の大切な役割だ。

確かにマナーや知識は必要だが、古くさいしきたりを教え、時代の先端からかけ離れた知識のみを与えて、後は自分で勉強しなさいで本当にいいのかと思っている。

例えば、IT企業に入社した彼らに教えることは、40年も前のコンピュータの知識であったり、Javaやウォーターフォール開発であったり、死にゆく運命がわかっているにもかかわらず、そこに多大な時間をかけて現場に送り出している。基礎は大切である。しかし、基礎だけに留まり「いま」を教えないでは、片手落ちではないのか。そんな彼らに、AIやIoT、クラウドが分かるわけもなく、お客様の話についてゆけない。

新しいことは現場で学べばいいと言うが、現場もまた古いしきたりと知識の中で生きてきた人々であり、新しいことを教える術を持ち合わせていない。なんとも歯がゆい限りだ。

私は、毎年、そんな新人に向けて、最新のテクノロジーのトレンドとビジネスについて教えている。その中で伝えているのは、知識そのものではなく、知識がビジネスや人生に何をもたらすのかと言うことだ。そして、これからの時代、学び続けることがいかに大切かも伝えようとしている。

冒頭の「1.知識を増し、経験を積めばできること」と「2.徹底して追求し、知識や経験を極めればできること」は、機械に置き換えられてゆく。人間にしかできないのは、その先にある「3.ひとつのことに究極を求めず、広い視野で最適を求めて変化すること」だと思っている。そんな能力を手に入れるには、学びつつけるしかない。

新入社員研修で、最新のトレンドやこういう話をすると、「実務では役立たない」といった評価をもらうことが最近の傾向として増えている。直ぐに仕事で使えることや「いい仕事」をするためにどうすればいいのかが、彼らにとっては大切な価値基準になっているのだろう。

しかし、未来を見通し、変化をいち早く感知して、自分の行動を俊敏に変化させられなければ、生き残れない時代になった。いま役に立っても、３年後や５年後にそれが同様に使えるかどうかは分からない時代だ。だから役に立つかどうかではなく、面白そうなことに取り組むことだ。

面白そうなことは時代の感性を先取りしていることが多い。そうやって自分の感性を磨き、「3.ひとつのことに究極を求めず、広い視野で最適を求めて変化すること」ができるようになるのだ。

ことしもまた、新入社員たちを迎え入れるわけだが、時代遅れの文化に同化させることではなく、彼らの感性を信じ、自分たちの未来を託せる人材を育てる新入社員研修であってほしいと願うばかりだ。

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