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商社マンの営業として33年間(うち海外生活21年間)、国内外で様々な体験をした。更に、アイデアマラソンのノートには、思いつきを書き続けて27年間、読者の参考になるエピソードや体験がたくさんある。今まで3年半、ITmediaのビジネスコラム「樋口健夫の笑うアイデア動かす発想」で毎週コラムを書き続けてきたが、私の体験や発想をさらに広く提供することが読者の参考になるはずと思い、ブログを開設することにした。一読されれば「読むワクチン」として、効果があるだろう。

津波との闘い(Challenge against Super-Tsunami)  その3 居住型耐スーパー津波防波堤の提案(Proposal of Housing Type Super-Tsunami Embankment Building) (想像図付き)

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津波との闘い(Challenge against Super-Tsunami)  その3
居住型耐スーパー津波防波堤の提案
(Proposal of Housing Type Super-Tsunami Embankment Building)


 東京湾全体を守るために、浦賀水道を堤防で閉め切り、船舶通過可能なゲート付ける「東京湾口スーパー津波堤防」を提案した。

 東京湾内は、広くなっていて、湾が多少ぎざぎざしていることで、外洋の津波の勢いがある程度殺がれるとされてきた。したがって、東京湾口の浦賀水道で完全閉め切り型の津波堤防で、スーパー津波の強烈な衝撃に耐えることができれば、完璧に東京湾内を守ることができるが、湾口の最狭部が10キロであることから、通過する船には、ひどく不便になる。
とにかく、浦賀水道を、少しでも狭くしてしまえば、更に安全性が高くなるはず。

 しかし、東京湾の中の、もう一つの大都市の横浜には、相模湾でのスーパー津波は、横浜の背後の戸塚区、泉区あたりまでを襲う可能性がある。

 同時に、現在の三浦、逗子、鎌倉、藤沢、茅ヶ崎、平塚、二宮、小田原、熱海、伊東は、海岸部や平たん部では、壊滅状態となってしまう。これに対する対応をどうするのか。至急考えないといけない。

 現在のまま、同じレベルのスーパー津波が相模湾や東海沖で発生すれば、これらの地域は、東北と同じ状況になってしまう。

 仙台では、海岸から5キロも内陸まで、津波が押し寄せたという。石巻では8キロ、名取や岩沼ではそれぞれ6キロも海岸から奥まで津波は入り込んでいる。

 このような恐ろしい破壊力を持った津波が起こるとは誰も予想していなかったと思う。ところが、歴史には何と平安時代の貞観の年代に、今回と同じようなスーパー津波が発生していたという"貞観津波"の記録と、堆積物の証拠があるという。

 仙台に住んでいる人から言えば、そんな大きな津波が押し寄せる可能性があるという情報は知っていなければ重大なことだったはずだ。しかし、まったくそのような対抗策は取られていなかった。

 では、今後、仙台の津波被災地域は、どのように住めばよいだろうか?政府は、今回の津波の被災地域を全部国有化してしまうのだろうか。そして、後々の代まで、今回の津波の破壊地域には住んではいけないとするのだろうか?

 まして、相模湾一帯のような"まだ被災に遭っていないが、十分被災する可能性があるとされている地域"は、どうすればよいのだろうか。

 基本的に、今までは大震災が発生した場合に、政府は
「予想不可能な大震災が起こってしまった」と嘆く。
 しかし、すでに歴史に例が出ていて、それが指摘されている場合、また今後も長いスパンなら、人の一生の間で、いつか津波に襲われて、住宅が全壊して、跡形もない状態になり、無数の人命が失われることを、何もしないで待つことはできない。

 どう考えても、今、海岸に住む人々を前もって疎開させ、工場を移動させることはできない。むしろスーパー津波に十分に対抗する防潮堤を、築く以外に方法はないようにも思う。

 現在のように、自然の持つ強烈なパワーに圧倒されていることで、被災地を疎開させる意見が強いが、それでは解決にならない。私たちは、技術と知恵を尽くして、自然の脅威を積極的に防ぐ準備をする必要がある。何年掛っても、何十年掛っても、国土を守るために、続ける必要がある。

 私たちは、困難な場所に、巨大なダムを建設し、運河を作り、川の氾濫を防ぎ、地震対策を取ってきた。今度はスーパー津波を目指そう。そのための専門の研究所をいくつか作ろう。大学の研究学部も増やそう。自分の肉親を津波に奪われた学徒を研究に向けよう。
対抗する防潮堤の高さ、形状、耐久度などは、先端の設計技術やシミュレーションを必要とするが、それらスーパー津波堤防を海岸線や海岸線から一定のところに、何十キロ、場合には何百キロも建設するためのコストは膨大なものになる。

 そのコストを下げることができるのは、その防潮堤を、逆に「居住型耐大津波防波堤」としたらどうだろうか。もちろんこの防波堤は、津波シェルターを内蔵しているものだ。

2011-04-03 居住型防スーパー津波防波堤.jpg

 居住型として、地域の人々がそのビル堤防に住んだり、ビジネス事務所としたり、工場として活用すれば、防波堤といえども、付加価値が付く。そうすると建設しやすくなる。

 津波の被災地域でも、一定の設計の強度を持たせた建物は生き残るはず。津波の持つ力を受け止め、散らし、殺ぐ設計として考えて、津波が押し寄せても、その「居住型耐スーパー津波防波堤」が防ぐことができれば、悲惨な被害を防げるかもしれない。できるかぎりデザインを考えないと、極めて無粋なものだ。しかし、国土と人の命を守るためである。

 この「居住型耐スーパー津波防波堤」には、鉄道、ハイウェー、道路なども含まれる。海側は、潜水艦なみの耐圧の窓とソーラーパネルを貼りつめて、更に防波堤の上には風力発電を並べる。

 津波の先端部は、極めて早い速度で、ぶつかるが、そのパワーを、どのように弱化し、散らし、向きを戻して、津波のパワー同士でぶつけて中和することができないだろうか。
 東北でも、相模湾でも、駿河湾でも、遠州灘の都市でも、同じ危険性がある。一気に建設は難しいので、段階を踏む必要がある。

 例えば、相模湾の場合、相模川が問題となる。津波は相模川を遡って、厚木辺りまで襲うだろう。相模川の河口も一挙にゲートで閉めきる必要がある。数時間、いや半日を閉めきるとなると、相模川のゲートはダムのようになる。

 ゲートを閉めた時から、相模川の水を一端、巨大な地下の水槽に落として、大容量のポンプで、海に放水するような手段が必要となる。

2011-04-03 相模湾防スーパー津波 相模川.jpg


 ただ、大事なことは、こうしてスーパー津波堤防を建設したとしても、津波警報が出たら、必ず高台に逃げ、所定のシェルターに逃げ込むことを、永代のきまりにしておくことだ。油断は絶対にできない



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