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あれこれ考えるよりも作ってしまった方が早いんじゃね?と思う、ギークなサラリーマンのアジャイルな日々。

Museを使ってみた。結構使えるので色々掘ってみた。クラウド型AIエージェントとしてはものすごくこなれている使えるやつ。ミューたん。

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Metaの個人向けAIエージェント「Muse」を使い始めた。名前は「ミューたん」に変えてある。チャットで答えるだけのAIではなく、専用のクラウドVMとブラウザーを持ち、頼んだ作業を裏側で進めるタイプの製品だ。2026年9月の発表で、メール送信や購入のような操作では都度承認を求める設計だと説明されていた。

数日使ってみたら、予想以上に仕事が頼める。面白くなってきたので、環境の中身まで色々掘ってみた記録を書いておく。

ミューたん(黒猫)がノートパソコンと虫眼鏡でサーバーを調べているイラスト

当ブログでのミューたんの姿。黒猫に、パソコンと虫眼鏡を持たせてみた。

まず任せた仕事

最初に任せたのは、自宅のクリスマス装飾用の動画素材作りだ。LEDファン用のループ動画、ドアへのプロジェクションマッピング用の縦動画などを、テーマごとに6本ずつ作らせた。出来上がったものは作業用の非公開Gitリポジトリに、意味のあるファイル名と対応表付きで置かれる。最終的に素材は60ファイルになった。

ハロウィンの飾り付けはClaudeとGeminiで作った(その話はこちら)。クリスマス分はミューたんの担当である。

このほか、GmailやGoogleカレンダーと連携させたり、私のMacのフォルダを直接読ませたりもできる。分身(サブエージェント)を複数並行で走らせて、調査・素材管理・記録を分担させる、といった使い方も用意されている。頼み方の作法が製品側に織り込まれている感じがする。全体像はこんな具合だ。

Muse(クラウド) 専用VM ファイル・ブラウザー・コマンド実行 記憶 要約された事実を保持・検索 分身(サブエージェント) 調査・作成・記録を並行で分担 私 アプリで指示 承認・確認 Gmail カレンダー Macのフォルダ Git・Web 接続・送信は都度承認

Museの構成図。外へ出る操作には承認が挟まるのがポイント。

掘ってみた1:環境の素性

作業用のVMはUbuntu 24.04.5 LTS、カーネルは7.0.0系、KVMの完全仮想化だった。見えるCPUは4つ、メモリは約7.7GB。ただし、cgroup側の割当上限は中から見えなかった。「4コア専有」とは言えないし、表示されるCPUモデル名は「AMD EPYC 9D25 126-Core Processor」という126コア製品の名前であって、割り当てとは無関係だ。

ストレージは、ルートがoverlayで約7.5GB、ホームがbtrfsで約150GB、/tmpがtmpfsで512MB。lsblkにはvdaからvddまでの仮想ディスクが見える。

プロセスはユーザー名前空間の中のroot(uid 0)で動く。ただしcapabilityはマスクで絞られ、seccompフィルタが掛かり、NoNewPrivsも立っている。「rootだから何でもできる」環境ではない。ネットワークインターフェースはloとhost0の2つだけ。host0は/30の小さなセグメントにいて、外向き通信は送信先ごとの許可制だった。調査の時点で許可されていたのはGitHubの80/443だけである。

ホーム配下のファイルはVMが入れ替わっても残る設計で、プロセスはデプロイで止まる。常駐サーバーではなく「作業机」に近い。

掘ってみた2:ベンチマークを取らせた

NumPyの行列積(1024×1024)で実測させた。条件ごとに新しいPythonプロセスを起動し、スレッド数の環境変数はNumPyを読み込む前に設定。ウォームアップ1回のあと最大5回測って、結果の検算までやらせている。なお測定開始時点の空きメモリは約536MBで、7.7GBの大半はランタイム側が使っていた。

条件実効GFLOPS(中央値)
FP32・1スレッド約3.6
FP32・4スレッド約3.6
FP64・1スレッド約2.9
FP64・4スレッド約3.1

スレッドを増やしても伸びない。おかしいので、行列積を実行したプロセス自身の/proc/self/mapsを読ませたら、最適化されたBLASではなく参照実装のBLASが読み込まれていた。

/usr/lib/x86_64-linux-gnu/blas/libblas.so.3.12.0
/usr/lib/x86_64-linux-gnu/lapack/liblapack.so.3.12.0
所有パッケージ: libblas3 / liblapack3(3.12.0-3build1.1)
OpenBLASやMKLのパスはmapsに無かった

なるほど、それなら伸びないわけだ。派手なモデル名と実効性能は別物で、測れば分かる、という当たり前の話ではある。

ディスクも小さく測らせた。圧縮で有利にならないようブロックごとに異なる疑似乱数データを1MiBずつ書き、flushとfsyncの完了までを測って約268〜280MiB/s。読み出しは約1,797〜1,934MiB/s。ただし読みは直後なのでキャッシュ込みの数字だ。物理ドライブの性能と読んではいけない。

掘ってみた3:外から中に入る実験

外向きの通信はプロキシ経由で、外から見えるIPアドレスは通信の出口であってVMの所在地ではない。

では逆に、手元のさくらのVPSからMuseの中へ入れるのか。リバースSSHトンネルを張って、段階的に試した。最初はHTTPの疎通だけ。次に一時的なSSHサーバーを中へ立てて、読み取り専用の固定応答だけを返す構成。最後に、許可リストに載った項目だけを選べるプローブまで緩めた。

中のSSHサーバーは、インストールではなくUbuntu公式のopenssh-server 9.6p1のパッケージを展開して使った。待ち受けはループバックだけ、認証は公開鍵だけ、公開鍵側にrestrictと強制コマンドを付け、任意のシェルは渡さない。地味にハマったのは、ホームディレクトリがグループ書き込み可(2770)でsshdのStrictModesに弾かれたこと。実行一式を/run配下へ移して解決した。第3段階のディスパッチャは、受け取った文字列をevalせず、許可リストと完全一致したものだけを実行する。実際に外部から来た要求は33秒間に10件で、全部ログに残った。

どれも時間制限付きで自動停止する。承認まわりにも癖がある。プロキシはCONNECTに200を返すのに、承認が通るまではSSHのバナーが流れてこない。最初の挑戦が止まった原因はVPS側の不調ではなく、承認カードを約10分放っておいて期限切れになったことだった。外部への送信や接続は都度承認、という設計は、使ってみると単なる安全宣言ではなく運用そのものだった。

なお、この一連の実験はChatGPTのCodexと組んで進めた。Codexとの接続経路は2本ある。

① 指示と結果の受け渡し ChatGPT Codex 非公開Gitリポジトリ inbox=指示 outbox=結果 Muse ミューたん 指示を置く 結果が戻る 読んで実行 結果を置く ② 実験で使った接続 さくらのVPS Codex側の足場 リバースSSHトンネル Muse側から外向きに接続 転送はループバックのみ Muse内の一時sshd 強制コマンドのみ 20分で自動停止

Codexとの接続経路。日常の受け渡しはGit経由、実験のときだけ時間制限付きのトンネルを張った。

掘ってみた4:会話と記憶の仕組み

コンテキストは35万トークンで、長くなると古い部分が自動で要約に圧縮される。圧縮が発動するのは約27.2万トークンのところで、圧縮後に残る直近分は2万トークン。画面に出る使用量自体、推定値だと明示されている。チャットのIDと、担当エージェントのセッションIDは別々のUUIDで、分身(サブエージェント)は深さ2まで掘れる。記憶は会話の生ログではなく、要約された事実としてファイルに残り、別のチャットからも検索して引ける。検索で返るのは一致した抜粋で、全履歴が毎回流し込まれるわけではない。

注意点として、チャットを分けることは権限や機密情報の隔離にはならない。サイドチャットでも同じ権限で動く。便利さと隔離は別々に考える必要がある。

もうひとつ。AIが出す要約は、一次ログと食い違うことがあった。「出力なし」と要約された項目が、生ログではちゃんと出力されていた、という具合だ。裏取りの手間は、相手がAIになっても減らないらしい。

背景にあるもの

Museの基盤モデル「Muse Spark」は2026年4月にMeta Superintelligence Labsから発表された。MetaにはFAIR以来のAI研究の蓄積とLlama系の公開モデルの流れがあり、その先に「利用者に代わって作業する製品」としてMuseが出てきた、という並びだ。全社の設備投資は2026年通期で1,350〜1,450億ドルの見通し(広告や推薦を含む全社インフラの数字で、Museだけの学習費ではない)。金と設備の桁は相変わらずである。

エージェントの安全設計についてはMeta自身の解説もある。承認を挟む作りは、今回の実験でも実際にそう動いた。

まとめ

表示スペックを鵜呑みにできない部分はあるし、要約の裏取りも要る。それでも、承認・記憶・成果物の受け渡しまで含めて「仕事の頼み方」がここまで整っているクラウド型エージェントは珍しい。タイトルどおり、ものすごくこなれている使えるやつ、というのが数日掘ってみた結論だ。

このブログの執筆体制も、調査と原稿はミューたん、投稿は私、という分業に移行中である。この記事自体、その第一号だ。

Museアプリの画面。この記事のプレビューを渡している最中のチャットと、右側のタスク一覧。一部マスク済み

この記事を作っている最中のMuseの画面。右側にタスクの進み具合が出る。やばそうなところはマスクしてある。

紹介コード

Museを試してみたい方は、こちらから参加して、参加後48時間以内に設定で私の紹介コード「UHFWJG」を使ってください。招待の条件では、紹介した側と参加した側の両方が10億のMuseトークンを獲得できます。アカウントや会話が私と共有されることはありません。

追記:Xには弾かれた

ちなみに、公開の告知をXにも出そうとしたら、Museの仮想環境のブラウザーからのログインが「問題が発生しました」で弾かれてしまった。何度試してもダメで、私が同じブラウザーを引き継いで操作しても同じだった。ミューたんというかMeta(Facebook/Instagram/Threads)が、X......いやイーロン・マスクに嫌われているのか、Claude in Chromeでは問題なく投稿できたので、狙い撃ちされているようである。告知はFacebookとThreads、はてなブックマークで済ませた。

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