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あれこれ考えるよりも作ってしまった方が早いんじゃね?と思う、ギークなサラリーマンのアジャイルな日々。

【速報】マグニチュード9.9(M9.9)緊急地震速報 千島列島 気象庁から取消通知(筆者は初めて見た)誤報か?強震モニタには反応なし

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さっき、緊急地震速報が鳴りました。しかも練馬区のスピーカーからも「大地震です」とアナウンスが流れた。

強震モニタを開くと、千島列島でM9.9、最大予測震度7、深さ140km。第36報まで出ています。でも、赤い円が広がっていくのに、全国の観測点の色が、全く変わらない。

これは、誤報ですね。

12時49分、気象庁から取り消しの通知がスマホに届きました。この通知は、初めて見ました。通知音は「チーーーーン」。あまりに間が抜けていて、まさにチーーーンな顛末です。

※速報です。2026年10月16日午後の時点で、気象庁は原因を確認中で、今後詳しく説明するとしています(報道)。原因の部分は、過去の公式な事例からの推測です。分かり次第、追記します。

何が起きたのか:緊急地震速報、M9.9、最大予測震度7

確認できた経過です。

  • 12時36分27秒:強震モニタが示した、地震の「発生」時刻(推定)。震源地は千島列島、深さ140km、M9.9、最大予測震度7
  • 12時40分:私のスマホに、気象庁の緊急地震速報が届いた。「千島列島で地震発生。強い揺れに備えて下さい(気象庁)」。地元局の記事は「12時36分、千島列島の地震で緊急地震速報を発表」と書いているが、スマホに届いた速報は12:40だった。強い揺れへの警戒が必要な地域として、道央、道南、東北、関東、東京都の一部、伊豆諸島、中部の一部などが挙げられた
  • 12時41分51秒:強震モニタの画面は第22報。予測の円は東北に差しかかっているが、各地の観測点は変わらない
  • 12時46分29秒:第36報。表示は第22報と同じ。観測点は変わらない
  • 12時49分:気象庁から、「先程(12:40)の緊急地震速報を取消します。」という通知がスマホに届いた

スマホの緊急速報の通知。上が「緊急地震速報(取消)先程(12:40)の緊急地震速報を取消します。(気象庁)」、下が「緊急地震速報 千島列島で地震発生。強い揺れに備えて下さい(気象庁)」

私のスマホに届いた通知です。下が12:40の速報、上が取り消し。取り消しは、本文に「先程(12:40)の」とあって、どの速報を取り消すのかが書いてあります。

強震モニタの画面。12時41分51秒、緊急地震速報の第22報。千島列島、最大予測震度7、M9.9、深さ140km。予測の赤い円が東北に差しかかっているが、各地の観測点は静か

12時41分51秒、第22報。赤い円(予測の揺れの到達範囲)が東北に差しかかっています。でも、円の内側の観測点は、静かなままです。(出典:防災科研 強震モニタの画面、筆者撮影)

強震モニタの画面。12時46分29秒、緊急地震速報の第36報。千島列島、最大予測震度7、M9.9、深さ140km。各地の観測点はほとんど変わらない

12時46分29秒、第36報。表示は、第22報とほぼ同じ。観測点の色は、ほとんど動いていません。(出典:防災科研 強震モニタの画面)

強震モニタ(防災科研)の観測点は、実際に揺れを測っている地震計です。予測がどれだけ「大地震です」と言っても、その地震計が反応しないなら、地面は揺れていません。M9.9なら、北海道の観測点が真っ先に揺れているはずです。1か所も変わらなかった。

M9.9とは何か:観測史上最大のM9.5をさらに超える数字

M9.9がどれだけ異常な数字か、計算してみました。マグニチュードが1上がると、エネルギーは約31.6倍になります(式は、エネルギー(ジュール)= 10の(1.5×M+4.8)乗)。

  • M9.9のエネルギー:約4.5×10の19乗ジュール。TNT火薬に直すと約107億トン
  • 東日本大震災(M9.0)との比較:エネルギーは約22.4倍。揺れの波の大きさ(振幅)は約7.9倍
  • 観測史上最大のM9.5(1960年チリ地震)との比較:エネルギーは約4倍

身近なもので並べると、こうなります。

  • 広島の原爆(約15キロトン):約71万発分。東日本大震災のM9.0でも約3万2,000発分です
  • 人類史上最大の水爆「ツァーリ・ボンバ」(約50メガトン):約214発分
  • 世界の1年間の一次エネルギー消費(2023年、約620エクサジュール):約7%。つまり、M9.9は人類が使う1年分の7%を、数分で放出する計算です
  • 日本の電気事業者の年間発電量(2023年度、約8,264億kWh):約15年分

そもそも、観測された最大はM9.5です。それを超えるM9.9が、深さ140kmの千島列島で出た、という時点で、数字がおかしい。もし本当に起きていたら、北海道や東北は、いまごろ大変なことになっています。

緊急地震速報の仕組みから、誤報の原因を推測する

先に、気象庁の公式な説明を確認します。

  • 緊急地震速報(警報)は、2点以上の観測点で地震波が観測されたときに発表する。落雷などによる誤報を避けるため
  • 気象庁が「誤報」と呼ぶのは、落雷など地震以外の現象を地震と誤認して発信された速報。取り消すのは誤報に限る
  • 1点だけの観測で発表した場合、所定の時間内に2点目が来なければ、地震以外の揺れ(ノイズ)と判断して、数秒〜10数秒でキャンセル報を出す

つまり、取り消しが出たということは、気象庁自身が「これは地震ではなかった」と判断したということです。

ここで、おかしい点が2つあります。

  • 警報だった。警報は2点以上の観測点が必要です。1か所のノイズだけでは出ない仕組みになっている
  • 取り消しが遅い。典型的なノイズなら、キャンセル報は数秒〜10数秒。今回は、第36報まで続いて、約13分後

この2点から、「落雷が1か所の地震計に落ちた」型の単純な誤報ではなさそうです。過去の公式な事例から、考えられる原因を並べます。

推測1:複数の観測点(または中継局)に、同時に異常なデータが入った

2013年8月8日、和歌山県北部の地震で、実際より過大な震度予想が出ました。気象庁の調査では、原因は海底地震計のデータを中継する陸上中継局(静岡県御前崎市)の不具合でした。光受信装置の障害で不正な時刻が付けられ、そのデータが処理の不具合で大きなノイズになった。気象庁は、このノイズを地震の揺れとして計算に使ってしまった、と説明しています。

1か所の地震計が壊れたのではなく、データの経路の途中で壊れた。この型だと、複数の観測点のデータが同時におかしくなるので、「2点以上」の条件を、すり抜けます。

推測2:震源の位置とマグニチュードの推定が、大きく外れた

2020年7月30日、鳥島近海のM5.8の地震を、速報はM7.3と過大に推定して、震源も房総半島南方沖と誤りました。気象庁は、震源から800km以上離れた小笠原諸島の母島の観測点のデータを使ったため、規模を過大に推定したと説明しています。再発防止として、マグニチュードの計算には震源から700km以内の観測点のデータだけを使うように改善しました。

千島列島は、日本の観測網から遠い場所です。震源の近くに観測点が少なければ、遠くの観測点のデータで推定するしかなく、推定の誤差が大きくなります。M9.9という、ありえない数字は、この「遠い観測点で、桁を外した」型と相性が悪くありません。ただ、これだけでは、地震が起きていないのに警報が出たことは説明できません。

気になる観察:「発生」から速報まで、約3分半かかっている

通知の画面で、もうひとつ、おかしな点に気づきました。強震モニタが示す地震の「発生」は12時36分27秒。でも、私のスマホに速報が届いたのは12時40分です。発生から約3分半、あとです。

実際の地震なら、緊急地震速報は、発生から数秒〜十数秒で出ます。主要動(S波)が来る前に知らせるための仕組みなので、3分半も遅れたら意味がありません。今回、地震の「発生時刻」と、速報が出た時刻が、これだけ離れている。

推測ですが、これは、古いデータや、時刻のずれたデータを、いまの地震のように処理した可能性を示しています。2013年の和歌山の件で、気象庁が原因にした「不正な時刻が付与されたデータ」を思い出させます。ただ、これは、2枚の画面と1枚の通知から、私が考えたことで、確かめる手段はありません。

気になる観察:第22報と第36報で、中身が全く同じ

2枚の画面を並べると、おかしなことに気づきます。第22報(12時41分51秒)と第36報(12時46分29秒)で、表示が全く同じです。千島列島、M9.9、深さ140km、最大予測震度7。約5分たって、速報が14回増えたのに、推定の数字が1つも動いていません。

実際の地震なら、観測点のデータが増えるたびに、震源やマグニチュードの推定は更新されていきます。実際の揺れが一切観測されない状況で、観測の裏づけがないまま同じ内容が出続けた、という形です。処理の側で、同じ推定が繰り返し出ていた可能性があります。これも推測です。

推測3:システムや運用側の不具合

2025年4月には、静岡県の東伊豆町で、研修中の人為的ミスにより、「震度7」の緊急速報メールが誤って配信されました。これは気象庁の速報ではなく、県の防災情報システムの訓練中の操作ミスです。

今回も、地震計のデータではなく、処理や配信の側で何かが起きた可能性は、排除できません。取り消しが13分後だったのも、気象庁が自動のキャンセルではなく、手動で状況を確認してから取り消した、と考えると筋が通ります。ただ、これは根拠のある推測ではなく、可能性のひとつです。

強震モニタのデータが、役に立つ

もうひとつ、手がかりがあります。強震モニタの観測点の色は、防災科研の強震計が、その場で測っている実測値です。一方、緊急地震速報の「M9.9」「震度7」は、気象庁が計算した予測値です。予測だけが「M9.9」で、実測が静かだった。

少なくとも、強震モニタに映る観測点には、異常が見えません。この「実測は静か、予測だけが暴走」は、センサーが一斉に壊れたというより、予測を作る処理の途中か、そこに入る一部のデータで、何かが起きた可能性を示しています。

不正アクセスの可能性はないのか:個人的な問題意識

ここからは、結論のない、私個人の問題意識です。

この秋、国内では不正アクセスの話が続いています。政府は10月8日に関係省庁会議を開き、JPCERT/CCも注意喚起を出しました。9月には、デジタル庁が運用する政府の共通基盤(GSS)が、VPN機器の脆弱性を突かれて不正アクセスを受けています。政府のシステムも、例外じゃありません。

だから、つい考えてしまいます。今回の誤報に、不正アクセスが絡んでいる可能性はないのか。

同じ速報が、別々の経路で一斉に届いた

今回、同じ内容の速報が、経路の違う複数の場所に出ました。スマホの緊急速報、練馬区のスピーカー(防災行政無線)、強震モニタの表示、テレビ局の速報。どこか1つの配信経路だけが乗っ取られたのなら、こうはなりません。

つまり、もし不正アクセスがあったとすれば、配信の末端ではなく、もっと上流です。速報を作る処理の側か、そこに入るデータの側。

不自然な点は、どちらとも矛盾しない

ここまで並べた不自然な点を、もう一度見ます。

  • 警報なのに、地震がない
  • 「発生」から速報まで、約3分半のずれ
  • 第22報から第36報まで、中身が全く同じ
  • 取り消しまで、約13分(手動とみられる)

これは、機器の故障や処理の不具合でも説明できます。同時に、外から偽のデータが入った場合とも、矛盾しません。どちらとも言えない。

それでも、故障のほうがずっと自然

公平に書いておくと、いまのところ、不正アクセスだと考える根拠はありません。過去の誤報は、すべて、機器の障害、処理の不具合、運用のミスでした。いま手元にある材料では、故障のほうが、ずっと自然な説明です。

それでも気になるのは、緊急地震速報が、1つの判断で、広い範囲のスマホと防災無線を一斉に鳴らせる仕組みだということです。原因が何であれ、「地震がないのに、震度7の警報が出た」こと自体が、入力と処理の信頼性の問題です。もし誰かが、狙ってこれを起こせるなら、パニックも、オオカミ少年も、作れてしまう。

気象庁は、原因を確認中だと報じられています。その説明の中で、外部からの不正なアクセスの可能性を調べたのかどうかにも、触れてほしい。それが、私の問題意識です。

初めて見た「取り消し」の通知

12時49分に届いた通知は、初めて見ました。文面は「先程(12:40)の緊急地震速報を取消します。(気象庁)」。通知音は「チーーーーン」。間が抜けています。

気象庁は、取り消す対象を、誤報に限っています。震度5弱の予測が震度3以下に変わった程度では取り消しません。だから、取り消しの通知を受け取ること自体が、そう滅多にない。私は初めてでした。

大地震でもないのに、「大地震です」とスピーカーが叫んで、13分後に「チーーーーン」。間が抜けているのは、通知音だけじゃありません。

今回、私たちが考えておくこと

誤報だったから笑い話、で終わらせるのは、もったいないです。

  • 誤報でも、鳴ったら身を守る。最大予測震度7の警報を、「どうせ誤報」で無視する理由はありません。誤報だったと分かるのは、あとからです
  • 確認の手がかりを持つ。強震モニタのような、観測点の実測が見られるサービスは、予測が当たっているかを、その場で確かめるのに役立ちます
  • 「取り消し」の仕組みを知る。通知が来たら、地震ではなかった、という意味です

公式の原因が出たら、この記事に追記します。

システムは、壊れる前提で作る。誤報も、漏えいも、同じ話です。直近の漏えい事案については、個人情報漏えいが止まらない。ID・パスワードの使い回しをやめて、流出を検知するに書きました。


※参照:TeNYテレビ新潟(千島列島の地震で緊急地震速報)/気象庁「緊急地震速報(警報)及び(予報)について」/気象庁(2013年8月8日の過大な震度予想の原因と対処)/気象庁(2020年7月30日の緊急地震速報の誤り)/気象庁(2016年8月1日の緊急地震速報(予報)、富津観測点のノイズ)/ITmedia NEWS(東伊豆町の誤配信)/Energy Institute 世界エネルギー統計(2024年版)/資源エネルギー庁 電力調査統計(2023年度)/ANN(緊急地震速報を取り消し)/デジタル庁(GSSへの不正アクセス)/JPCERT/CC 注意喚起(10月8日)/KSB(政府の対策会議)

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