ビジネスとテクノロジーの間には深い溝がある?

クラウドシフトを加速するSAPジャパン、2016年の戦略を発表

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2月3日、SAPジャパン株式会社はプレス向けに2016年の戦略について発表会を実施した。この記事は、同社代表取締役社長の福田譲氏が話した「2015年の総括と2016年の重点領域」についてレポートするものです。

2015年の総括

SAPは、2018年に売上に占めるクラウドの比率がオンプレミスの比率を上回ることをビジネス目標として掲げています。業績推移を見ると、SAP全体の売上に占めるクラウドの比率は高まっており、2015年のクラウド比率は32%にまで達しています。

好業績の背景には、各アプリケーション分野でトップクラスの製品をSAPが買収してきたことがあります。過去6年間を振り返ると、SAPは、2011年のSuccessFactors、2012年のAriba、2013年のHybris、2014年のFieldglassとConcurの買収を行っています。これらのクラウドアプリケーションでビジネスポートフォリオを強化し、クラウド分野で戦うためのビジネス基盤を強固なものとしてきたといえるでしょう。クラウドのビジネスは契約が継続するほど安定的な収益を得られるという特徴があります。オンプレミスとは違ってすぐに財務的な結果が得られるわけではありませんが、グローバルの数字を見ると、2014年と比べて2015年は、オンプレミス・クラウド共に粗利率が上昇しています。このことは、従来からのSAPの事業基盤である基幹系アプリケーションと新しくM&Aで強化した領域のビジネスアプリケーションの両方が好調であったことを意味します。2015年は、企業のIT投資がミッションクリティカルな領域にも及んだことも成長の下支えとなりました。この結果は、SAPが2018年の本格的なクラウドシフトを目指す上で、ポジティブな材料と考えられているようです。
2015年のハイライトは2月に発表したS/4 HANA。11月には残りのロジ領域のアプリケーションもリリースし、急激な勢いで導入が進んでいるようです。日本でもS/4 HANAの採用企業は70社、そのパートナーが22社にまで成長しました。新規の案件はほとんどがS/4 HANA関連とのこと。S/4 HANAでなければ動かない機能を使いたい場合はS/4 HANAだけが選択肢と成ります。このトレンドは大企業だけではなく、中堅・中小もだと福田氏は説明します。10年前は手が出なかった企業も検討の俎上に乗るように変化し、クラウドになってから価格競争力が上がっているとのことで、2010年にリリースしたHANAを超えるスピードで普及が進んでいるとのことでした。
そのHANAも最初のリリースから5周年を迎えました。現在のHANAは、最新のテクノロジーをビジネスアプリケーションに組込む際に必要な機能を提供するよう進化しています。HANAだからこそ動くビジネスアプリケーションを動かすというモメンタムが進んだのが2015年と福田氏は強調します。また、リリースが待たれるのがPaaSであるHCP。大企業からスタートアップまで、気軽に開発できるクラウド基盤のリリースを予定しており、データセンターも日本に設立する予定とのアナウンスもありました。今後はクラウドならではのビジネスサービスの導入が進んでいくのではないかと福田氏は見ています。

2016年の重点領域

今年のフォーカスは「デジタル元年」への対応とのこと。SAPの強みは、オンプレミスで提供しているDigital Coreに加え、クラウドで提供しているWorkforce Engagement、Supplier Collaboration Business Networks、Big Data & IoT、Customer Experience Omni-Channelの4領域を、25の業種別ビジネスアプリケーションを提供できること。これらのアプリケーションの適用を通じて、企業のビジネスモデル・ビジネスプロセスにデータドリブンなものに進化させたいというのがSAPのビジョンです。これは効率性とイノベーションの両立に取り組むというSAPの決意と意欲の表れでもあり、福田氏は「今の時代に求められるビジネスITを提供していく」と述べました。デジタルトランスフォメーションは、SAPがこれまでも取り組んできたテーマですが、2016年も引き続きこの大きなビジョンに向かって進んでいくことが明らかになりました。
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