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ビジネスとテクノロジーの間には深い溝がある?

Salesforce Lightning の現在位置:Salesforce Summer 2016にて

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7月20日・21日と2日間に渡り、Salesforce 夏のカンファレンスが開催されました。私の場合、2日目のSalesforce fo Marketing に重きを置いて登録したのですが、初日にも発見がありました。

主役はLightning

今回のイベントを貫くテーマはSalesforce Lightningでした。基調講演に登壇したMike Rosenbaum氏によれば「3年前のモバイルデバイスの登場を機に、顧客エクスペリエンスを再構築しようとなった。2013年にSalesforce 1、2014年にLightning Platform、2015年にLightningを発表。企業はスマートフォンで、常に顧客や従業員とつながるように変わった。あらゆるデバイスで一貫したユーザー体験を提供しなくてはならなくなった。そこでプラットフォームを刷新した」とのこと。

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Lightningと言うと、コンポーネントベースでアプリケーション開発を行うためのApp Builderがまず頭にあったのですが、Sales Cloudを始めとする、自社のアプリケーションのUIを変えるためのプラットフォームとしても使用していることを、Rosenbaum氏は説明。実際、従来から馴染みのあったWebベースのUIイメージは一新されています。

また、AppExchangeの時と同様に、SalesforceのCRMエコシステムを拡大していく上で、Lightningが重要な役割を果たすことが強調されました。現時点のLightningの顧客は10万社、100万人以上のSalesforce 1ユーザーが存在。また、開発を迅速化するために提供される「データの見える化」などのサードパーティーコンポーネントは既に65以上がリリースされており、今後も増えることが予想されるとのこと(Rosenbaum氏)。できるだけコードを書かずにコンポーネントを組合せてアプリケーション開発を行うスタイル自体、決して目新しいものではありません。しかし、クラウドでCRMを拡張するアプリケーション開発を行うことができるというのは意味のあることだと思います。

重要なのはエクスペリエンス

もう少し詳しい内容を聞きたいと思い、当初予定していなかったLightningに関する発表会にも参加。「Salesforceはお客様の声を聞くことに注意を傾けてきた。お客様が製品をどう使っているかを理解し、そこから得られるフィードバックを製品に反映することに尽力してきた。だからお客様は常に新しい機能がリリースするとすぐに使える。これは大きな強み。社内ではこのしくみをIdea Exchangeと呼んでいる。Lightningはこのしくみの中から生まれた」とRosenbaum氏。

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Salesforceは年3回新しいリリースを行いますが、2016年夏のリリースは通算で50回目。非常に多くの機能がリリースされていて驚きます。また、発表会でもユーザーエクスペリエンス(UX)が重要であることが強調されました。

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「セールスアプリケーションは、フルに使ってこそ強みを生かせることができる。そのためには直感的なUXが必要。だからモバイルのコンシューマー向けのアプリのエッセンスを取り入れた。シンプルで、スマートで、インテリジェンスな機能が入っている」とこの辺りの説明は基調講演と同じ。

コンポーネント指向の開発とエコシステム形成

「技術的な側面では、コンポーネント化することが重要だった。UXを論理コンポーネントに分け、それぞれがインタラクションできるようにした。これはお客様がビジネスニーズに沿う改変ができるよう担保するもの。Lightningの中で、UXのレイヤーはより簡単にカスタマイズできるようになった。さらに、この考え方をエコシステムに展開し、新しいコンポーネントを開発できるようにした。結果、機能をいろいろな形でシームレスに連携できるようになった」と、Rosenbaum氏は説明します。

今後は、2017年冬にはLightning Data Services、Lightning Core Components、Lighning Brandingを始めとする17の機能のリリースが予定されている見通しとのことでした。

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