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米国東海岸発、とあるソフトウェア開発者のよもやま話

Sparkfunのガイガーカウンターを試してみた

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SparkFunはおもしろい

アメリカのオンライン電子部品屋さんとしては、mouser.comやdigikey.comなどが有名ですが、おもしろい電子部品をいろいろ売っているオンラインショップの代表格が、SparkFunです。SparkFun.comのトップページや、チュートリアルのページを見ていると、いろいろいじりたくなってしまいます。

SparkFunガイガーカウンター

ということで、今回、購入したのがこれ (http://www.sparkfun.com/products/9298)です。

Sparkfungeigorcounter01

ガイガーカウンターです。3月にオーダーしてすでに3ヶ月後。やっと届きました。

基盤丸出しです。赤い基盤が非常にきれいです。これは、ガイガーカウンターといっても、ディスプレイなんか何もついていません。さらに、何uSv/hrなんてカウントしません。このガイガーカウンターは、放射線を検知する度に、USBをつなげた相手に、シリアルUSB経由で、0か1を送るのみという仕組みになっています。

Sparkfungeigorcounter02jpg

上から見るとこんな感じです。

右側にmini USBの端子がついていて、これで外部機器とつなぎます。左上の筒が、ガイガーミュラー管と言って、この筒に放射線が通過するとパルス電流が流れて、それを感知して、シリアルUSBに変換してUSB経由で外部機器に送るという仕組みです。また感知したときは緑のLEDが光ります。ガイガーミュラー管とその周辺の回路は500V程の電圧がかけられているので、動作時はガイガーミュラー管とその周辺の回路は触ってはいけません。

SparkFunガイガーカウンターをPCに接続してみた

PCに、SparkFunガイガーカウンターをつなぐには、PCにあらかじめ仮想シリアルCOMポートドライバをインストールしておきます。ドライバはここでインストールできます。

そのあと、SparkFunガイガーカウンターをUSBケーブルでPCにつなぎ、あとはシリアル端末エミュレータなどのソフトを使ってSparkFunガイガーカウンターから送られたデータを読みます。

Sparkfungeigorcounter05

今回はシリアル端末エミュレータとしては、Tera Termを使ってみました。COM4の9600ボーでSparkFunガイガーカウンターに接続すると、ひたすら0か1を読み出します。。。

さてPCにつないだはいいけど放射線の測定はどうしよう

たんたんとTera Termに表示される0,1を見ているのもシュールでいいのですが (笑)、やっぱり放射線の量を測ることができないとおもしろくありません。

SparkFunガイガーカウンターを使った例として以下のサイトがあります。

YAPAN.org - レシピ39:自分の生活環境の放射線量を計測したい
このページでは、SparkFunガイガーカウンターを用いて計測した結果をArduinoボード+Ethernetシールドを使って、 Pachubeに自動的にアップロードする方法を紹介しています。

SparkFunガイガーカウンターとTera Termで放射線量の測定

私の場合は、まあ、使い始めなので、Tera Termにあるマクロを使って放射線の量を測定してみることにしました。Tera Termのマクロのヘルプを見ながらさささっとマクロファイルを書いてみました。

マクロファイル cpm-counter-for-sparkfun-geigor-counter.ttlをダウンロード

Tera TermをCOMポートでSparkFunガイガーカウンターに接続した後、マクロファイルをTera TermのメニューControl -> Macroでロードすれば以下のように放射線の量(CPM = カウント毎分)を1分ごとに最大5行表示します。

Sparkfungeigorcounter06

放射線量の単位はむずかしい

放射線量の単位というのはいろいろありますが、ガイガーカウンターでよく使われるのがCPMという単位とuSv/hという単位です。

CPMというのは、ガイガーミューラー管が1分間に何回ぴっと反応したかという値です。SparkFunガイガーカウンターで言えば、0か1の値が1分間に何個表示されたかということです。これはTera Termの端末で0,1の数を数えるだけでいいので簡単です。

さて、ここから、uSv/hを求めたいのですが、これがまた面倒なんですね。
SparkFunガイガーカウンターはLND712というガイガーミューラー管を使っています。スペックはここ。 それによると、

Gamma sensitivity Co60 (CPS/mR/Hr)        18

とのこと。これは、Co60 (コバルト60)の放射線を計測したときに、1秒間に18カウントすると、1mR/Hr (ミリレントゲン毎時)になるということです。また、wikipediaによると、1R = 8.77 mGyとのこと。さらに、同じくwikipediaによると、ベータ線とガンマ線のみの計測であれば、1Sv = 1Gyとのこと。

つまり、

1mR/h = 18 cps =  18 * 60 cpm = 1080 cpm
1 cpm = 1/1080 mR/h
1 cpm = 1/1080 * 8.77 uGy/h = 1/1080 * 8.77 uSv/h  = 0.0081 uSv/h

ということで、Sparkfunのガイガーカウンターの場合、

1 cpm = 0.0081 uSv/h

となりました。(ただしCo60の場合)

 

いろんなものを測ってみた

ということで、あちこち計ってみました。単位はCPMで、計5分、5回分のCPMを計ってみました。

パソコンのある部屋: 21, 30, 17, 25, 23
ダイニング: 23, 26, 20, 22, 23

大体17 - 30 CPMの間といったところでしょうか。

 

地下室のラドン

ラドンと言えば、日本ではラドン温泉で有名ですが、アメリカでは、ラドンは放射性物質として知られています。(レイドンと言うのが近い発音です) 特に、地下室と言えば、地中のラドンという放射性物質によって、放射線量が高いというのは、よく知られているようです。たいていの地下室に行くと、よくRadon Reduction Systemと書いてあるパイプがあります。パイプの中にファンが入っていて、これが屋根までつながっていて、ラドンを屋根まで吸いだしています。

Sparkfungeigorcounter03

ということで、地下室を計ってみました。

地下室:  29, 34, 31, 22, 30
地下室の別な位置:39, 39, 29, 34, 31, 22

部屋の中より、ほんの少し多いといったところでしょうか。

花崗岩(グラナイト)

Sparkfungeigorcounter04

グラナイトといえば、よくキッチンで使われている材質で、微量の放射線を出している石材として知られています。

グラナイト:35, 29, 38, 35, 31

こちらも地下室のようにほんの少し多い感じでしょうか。

ということで

SparkFunガイガーカウンターを使って、あちこちの放射線量を測ってみました。計ってみてわかったのが、1分間あたりの放射線量というものは計るのが非常にむずかしい、というか、コンスタントな値を得ることはできないということです。家の中でも場所や時間、床からの距離などによって、どんどん値が変わっていきます。さっき計った値の倍なんていうのはあたりまえのようです。お、今突然この値がでた!とびっくりするのではなく、だいたいこんな感じかといった風に見ていくものなんでしょうね。

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