「あまちゃん」のチーフプロデューサーの三つの博打
昨日は、恵比寿ガーデンプレイスの東京都写真美術館で開催された
「Short Shorts Film Festival & Asia 2013」関連の
『日本の朝を変えた15分訓覇式「あまちゃん」現象へのプロセス』
というワークショップに参加してきました。
第1部は、「あまちゃん」のチーフプロデューサーの訓覇圭さんが
プロデューサーはどんな仕事か、
「あまちゃん」の企画をどうやって立ち上げたかについて話をされました。
第2部は、ディレクターの吉田照幸さんも加わり、
「あまちゃん」の演出や、撮影の舞台裏の話をされ、
第3部は、会場からの質問に答える形式で、
トータルで4時間ちょっと、たっぷりと話が聞けて面白かったです。
ワークショップの内容については、すでに以下のブログ記事に
詳しいメモが載っています。
「久慈と能年玲奈とアイドルは大博打だった」 あまちゃんプロデューサーが語ったヒットの裏側 - F.Ko-Jiの「一秒後は未来」
個人的に一番興味深かったのは、やはり「あまちゃん」をやるにあたって
三つの博打に出たという話です。
宮藤官九郎さんを脚本に起用したことについては、
宮藤さんと初めて打ち合わせをしたときに、
体にゾクゾクッと電気がはしり、
これはいけると思ったので、博打ではなかったとのこと。
一つ目の博打は、久慈市を舞台にしたこと。
久慈にシナリオハンティングに行ったとき、
通常、最初は街を見渡せる場所へ行くそうで、
そのときの写真も見せてもらいましたが、
確かに絵的にはとりたてて何もない普通の街でした。
だから久慈を舞台にするには勇気がいったけど、
宮藤さんと一緒にシナリオハンティングに行ったときに、
宮藤さんは「ここは選ばれた街だという気がします。
東京から遠いところがいい」と言ったそうです。
それで、久慈を舞台にすることにしたけど、
「北三陸市」という、ありそうな架空の都市名を設定したことで
現実との距離感をうまくとることができたという話をしていました。
二つ目の博打は、主役に能年玲奈さんを起用したこと。
能年さんは、第一次オーディションで
部屋に入ってきたのを見たときハッとしたそうで、
第一印象がものすごくよかったとのこと。
ただ、最終オーディションに残った10人の中では
演技はうまいほうではなく
しゃべらないので何を考えているのかよくわからないし
泳げないこともあって、起用に不安があったそうです。
実際に起用したら、横に5メートルしか泳げなくても
潜るのはうまくて、縦に5メートル潜れたとのこと(笑)。
とても根性があって、台本に「白目をむく」と書いてあれば
白目の練習をしてくるし、
周りに疲れた態度を見せることが一度もなく
最後まで倒れずにやり通したそうです。
朝ドラのヒロインは周りから人間的に愛されることが大事だけど
周りの人たちがそんな能年さんのがんばりを見ていて、
だんだんと団結していったとのこと。
三つ目の博打はアイドルをテーマにしたこと。
アイドルを扱うということは、自分たちの業界を描くということで、
非常に難しいので、最後まで悩んで、
企画書がなかなか欠けなかったそうで、
上層部の方を説得するときにも
「アイドルは博打です」と言ったそうですが、
なんとか企画を認めてもらったとのこと。
結果的に、この三つの博打に勝ったわけですが、
訓覇さんは、博打以外のことを
ていねいにやっていくしかないと話されていました。
そして、最後に吉田さんが、
訓覇さんは常に博打を打ち続けているタイプで
それがたまたま当たったのだと話されたのが印象に残りました。
失敗を恐れずにリスクをとってチャレンジを続けることで
大ヒットを生み出すことができたということですね。
ほかにも今まで知らなかった興味深い話もいろいろ聞けて
楽しいワークショップでした。
ちなみに、何度も告知していますが、明日、一旗会Japanの会合で、
『「あまちゃん」から学ぶビジネスのヒント』というテーマで
交流勉強会を開催します。
どなたでも参加可能で、当日参加もOKなので、
興味のある方はぜひご参加ください。
詳細は下のウェブページをご覧ください。