今まで本を出したことのない無名の人が、本を商業出版するための3つのポイント
昨日は一旗会Japanの会合で「自分の本を出版するにはどうしたらいいか」というテーマで勉強会を開催しました。私が以前出版社で編集者をしていて、出版社を辞めた後に、出版プロデュースの仕事もたまにしてきた経験から、出版業界の現在の状況や、自費出版と商業出版の違い、出版するにはどうしたらいいか、電子出版の状況などについて話をしました。テーマに興味があって初めて参加する方も多かったですが、みなさん熱心に話を聞いてくださいました。
昨日話した内容の中から、今まで本を出したことのない無名の人が、本を商業出版するための3つのポイントについて、簡単に紹介したいと思います。
●企画書をまとめてみる
本を出版したいという方なら、すでに出版したい内容やテーマが頭の中にあると思いますが、それを具体的な企画書の形にまとめてみるのが第一段階です。企画書にしてあれば、編集者と知り合うようなチャンスがあったらすぐに企画を見せることができますし、また一度企画にまとめてみることで、何が足りないのかが見えてきます。
どんな企画書をつくるかについては、出版企画の仲介サービスをしている「企画のたまご屋さん」の「著者の方へ」のページが参考になります。企画を売り込むための3点セットとして、企画書、目次案、見本原稿をあげていて、企画書にどんな項目が必要かについて紹介しています。この内容に沿って企画をまとめてみると、自分の書きたい本の内容が具体的にイメージできるようになると思います。
●編集者のつてを探す
企画書類がうまくまとまったら、それを出版社に送ってみるのも一つのやり方ですが、郵送しても、きちんと見てもらって企画を通してもらえる確率はかなり低いと思われます。また直接出版社に連絡を取って企画を持ち込んでも、編集者の人たちは忙しいので歓迎されず、そもそも企画持ち込みを受け付けてないところも多いです。
出版を実現するために一番可能性の高いやり方は、何らかの形で編集者と知り合いになって、ある程度仲良くなった上で、その編集者に企画を見てもらうことです。友人や知り合いに編集者がいれば話が早いですが、いない場合でも、知り合いのつてをたどって紹介してもらうことはできると思います。編集者の方々が顔を出しそうな出版記念パーティーとか、出版がテーマの勉強会、セミナーに参加して知り合うこともできるでしょうし、最近は個人でもツイッターやフェイスブックなどをやってる方々も多いので、ソーシャルメディアを通じて知り合うことも不可能ではありません。
もちろん編集者なら誰でもいいということではなく、自分が書きたいテーマの本を多く出しているような出版社の編集者と知り合えればがそれが一番いいと思います。
「企画のたまご屋さん」のようなサービスを利用したり、出版プロデューサーに頼むというやり方もありますが、ある程度お金もかかりますし、それで必ず出版が実現するというわけでもありません。何よりも人頼みにする姿勢があまりよくないと思うので、個人的にはおすすめしません。
●実際に書いてみる
企画書類があれば、編集者に企画を検討してもらうことはもちろんできますが、本にするための原稿がある程度揃っていたほうが、企画が通る可能性は高くなります。特に無名の人が初めて本を出版しようとする場合は実績がないわけで、編集者としても、企画を通しても、実際にその人が本の原稿を書き通せるかどうかは判断しにくいものです。私が出版プロデュースを手がけたケースでも、企画が通っても、著者が編集者の要求するクオリティの原稿が書けず、結局出版が実現しなかったことがいくつかあります。
すでに原稿を全部書いていたり、マイナーな媒体の連載などでも、ある程度原稿の量がたまっていたりした場合は、企画も通りやすく、そのまま出版が実現する可能性が高いように思います。また自分である程度まとまった量の原稿を実際に書くことができれば、企画を売り込むときにも自信が持て、説得力が出せます。
ただ、すでに原稿がある場合、いきなりそれを編集者に持ち込んでも、編集者は忙しくてなかなか読んでもらえないので、まずは企画書類をまとめて、それを見せて興味を持ってもらった上で、原稿もすでにありますという話の流れにするのが一番いいと思います。
以上、私の経験からの話なので、異論のある方もいらっしゃるかと思いますが、多少でも参考にしていただけたら幸いです。