「経験学習をOJTに活かす」第2弾。
引き続き、「経験学習をOJTに活かす」セミナー報告です。
昨日(3/18)のエントリーでは、「経験学習」とは何か、経験から学ぶとは? 学ぶ力とは?について解説しました。
松尾睦先生の講義では、後半、「育て上手なOJT担当者は、若手の”経験から学ぶ力”を伸ばしている」というテーマで進行しました。
「経験から学ぶ力」のおさらいです。 「ストレッチ(挑戦する力)」「リフレクション(振り返る力)」「エンジョイメント(楽しむ力)」。この3つが「経験から学ぶ」ために必要な力です。
自らの成長を考えた場合は、「いかに挑戦するか」「いかに振り返るか」「いかに楽しみを見つけるか」という視点になりますが、他者の成長支援となると、それらをどう促進するかが大事になります。
たとえば、「部下・後輩の目標をストレッチさせる」「挑戦させていく」・・。ただ「背伸び目標に挑戦せよ」では、不安があるでしょうから、「はしごを持っていてあげるから」と”心理的安心感”を持たせることも大事です。(※ 「はしごを外す」なんて論外ですね。(田中))
「リフレクション」。これは、「内省を促進すること」。つまり、「振り返りをきちんとさせること」です。この場面では、特に、いわゆる”コーチングスキル”のうち”質問力”が役立つのではないでしょうか?
「今日のお客様との打ち合わせで、何を感じた?」
「何に気付いた?」
「うまくいった点は?」
「次はもっとこうしよう!と思った点は?」
・・・こうやって問いかけていくことで、部下・後輩の「振り返り」を促すことができるわけですね。
3つ目の「エンジョイメント」。
「ポジティブフィードバックが大事」と松尾先生はおっしゃいます。「改善要求(いわゆる、叱る)」を出す場合でも、ポジティブに言うこと、が大事と。
→ 心が折れるような言い方をしてはいけないということだろうなぁーと思いました。たとえば、「起こってしまった過去」を指摘するのか、「今度の対応」を指摘するのかによってずいぶん伝わり方は変わりますよね。
「なんであんなことしちゃったの? どうして準備しておかないの? 失敗するの想像つかなかったの?」
こんな風に言われたって、「準備が不足していたから失敗した」のだろうし、「失敗する想像がついていない」から今の事態になったわけで、どーしろと言うのか?と気持ちがなえるかも知れません。
「次回、成功させるために、どういう手を打っておくべきだと思っている?」「次はどうする?」と未来志向で考えさせるような問いかけであれば、上手に気づきを促せると思うのです。
ところで、「部下・後輩をつぶす上司」というのも研究なさっています。
1年目(新卒新入社員)をつぶす上司は、「放置プレイ」型だそう。新人がしていることに何もフィードバックをしない。あるいは、ポジティブなフィードバックをしない、というタイプ。
ああ、わかりますねー。ダメだしばかりする上司、先輩ということでしょう。
最近の新入社員は、一見、自信満々に見えるので、つい「ダメな部分だけを指摘しちゃう」のだと思いますが、内心は、不安で自信もなくて、どきどきおどおどしているケースが多いのです。
だから、「あれもダメ、ここもダメ」と言われると、自信喪失するのですよね。(ま、ベテランでも同じことですが)
「ここはいいよ」と”承認”できるところは具体的に言葉にして伝えつつ、「これができるようになるともっといい」とか「ここを改善するとより力つくよ」とかそういう風にポジティブにフィードバックできると、新人も受け止め安くなるはず。
2年目以降をつぶす上司は、「過剰なストレッチ」型だそう。 これって、昨年(だったかな?)厚生労働省が示した「パワハラ6類型」の一つ「過大な要求」というのにも通じるような・・・。
ストレッチというのは、「背伸び目標」とも訳されることから、「背伸び」じゃないとダメなんですよね。ジャンプしても届かないほどの目標では無理。また、そこに支援もフィードバックもなくて、孤立無援だったら、単に部下・後輩をつぶすだけになってしまうのでしょう。
・・・・松尾先生はこんな話もなさっていました。
業務遂行を繰り返していく。ただただ成功したり、失敗したりを繰り返すが、たくさんの仕事をただこなしていく中で、ある程度人は育つかも知れないが、いつかは限界に到達する。ただこなすだけではなく、適宜「ふりかえり」がないと人の成長は鈍化する。
ひたすら「経験」「経験」「経験」ではなく、「振り返り」を挟み込むことで、「与えられたものを単にこなす人」ではなく、「新たな価値を生み出す人」に育てていくことができる。
・・・なるほどですねー。確かに。
「走り続ける」だけではなく、「時々立ち止まって内省する」自分であるべきでしょうし、「走り続けさせる」だけではなく、「時々は立ち止まって振り返ってみなさいねー」と後輩に言う先輩であるべきなのですね。
松尾先生の資料は、最後にこの言葉で締めくくられています。
『他人の育成をてがけない限り、自分の能力を向上させることはできない』(Drucker,1973)
ほんまやねぇ。。。。(なぜ大阪弁?w)
この本もいい本です。少し難しいですけれど。
====番外編====
「曲げわっぱ弁当」、経験学習に則ってほぼ毎日作っておりますが(詳しくは、コチラ)、「エンジョイメント」を増すために、箸袋も手作りしております。折り紙を2枚組み合わせてこんな感じ。 凝り性なんです、はい。