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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

セミナー直後の”もやもや”はきっと”内省”のチャンスなのだ。(元スタバCEO岩田松雄さんのセミナー参観記)

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「うりうり」いいなあぁ、羨ましいなぁ、とつぶやいたら、ちゃんと「うりうり」をくださる方がいらっしゃって、その上、そのナゾの「うりうり」が何かという丁寧な解説までつけていただいて、勉強になりました。ありがとうございます。 うりうり。

昨日は勤務先でスタバやボディショップの元社長・岩田松雄さんによる「夜のセミナー」でした。私が担当しているお客様も来場されるということで、スタッフの一人として一緒に参加しました。(ご来場くださった皆様、ありがとうございました)

金井壽宏さん・野田智義さん共著「リーダーシップの旅」を課題図書として、その中に出てくる考え方やエピソードについて、参加者はどう思うか? 講師の岩田さんはどう解釈したか、を双方向に進めていくものでした。

どの問いにももちろん答えはなく、それぞれが考え、言葉にし、他者のコトバを聴き、また頭で考える、というスタイルでした。起業家、経営者、ベンチャーマインドを持つ方を対象としたクラスということもあってか、誰も「答えを求めに来ている」わけではなく、「答えを自分で探すきっかけとして来ている」というムードがぷんぷん漂っていて、なかなか濃い時間だったように思います。

終了時、岩田さんが「今日のセミナーで学んだことは何ですか?」という問いかけをなさいました。

その時、とっていたメモをぱらぱらめくりながら、瞬時に答えることは可能ですが、ある方がこうおっしゃったのです。

「今、”何を学んだか”と問われてもすぐ言葉できちんと答えることができない。それは、学んでいない、という意味ではなく、たくさんを学んだと思うのだけれども、もう少し考えて、頭を整理して、それから言葉にしたい感じ」

ああ、なるほど。そうだなあ・・・・。

1+1=2、といった明確な解答が存在する内容でない限り、学びや気づきは、その瞬間すぐ口にできるレベルと、しばらく時間がたたないと言語化できないものがあるような気がします。

「何を学びましたか?」
「はい、○○と××のことを気づき、学びました」

と即答できるレベルのことは、日頃からそのことについて考え、アンテナが立っていて、ある程度自分でも「こうじゃないか」と仮説が立てられていて、そこに講師や学習者仲間の発言で刺激を受け、「おお、そういう言葉で表せばよいのか、あー、すっきりした」という感じなのではないかと思います。

一方で、「今すぐ言葉にならない。もう少し時間が必要だ」というのは、色々な問い、言葉、体験を一度自分の中で沈殿させて、整理してから、言葉に直す作業をしてみたい、ということなのではないかしら。もちろん、これだって「日頃から考えている」領域ではあるのだけれど、たくさんの考え、言葉が一度に頭に入ってきた時に自分が元から持っているものと照合したり、捨てたり、新しく組み立てたりするには時間がかかるわけ。「熟成させる」というか。


時間が必要だから、「今すぐ言葉にはできない感じ」という”もやもや”感を持ってお帰りになったのではないかしら。

で、普通、研修とかセミナーって「もやもや」したまま解散すると、いわゆる「アンケート」の結果が芳しくないことがあるのですが、本来、学ぶということは、「もやもや」した状態からある時間を経て、自分なりに答えを見出して行くことであって、教室の中ですぐさま「正解」を得るものではないような気がするんですよね。 (1+1=2を学ぶ研修は別です)  だから、研修直後のアンケートをとるのは止めた!と公言する人材育成企業もあるくらいです。

”もやもやもやもや”・・・というのは、その”もやもや”を晴らそうと懸命に考えるステップにつながります、たいていは。(もやもやを放置する方もいるかも知れませんけれど)

”もやもや”を晴らすためには、他人事で語ることはできない。

たとえば、今回の「リーダーシップってなんだろうね?」というテーマで持ってしまった”もやもや”を、セミナー後も引き続き晴らそうと考え続けた時、「あ、だから、うちの上司は○○なんだな」というように他人ごととしては片付けられない。

「オレはどうなんだ」
「私はなんなんだ」

と、向き合う先はかならず自分になる。

そして、何時間か、何日か、何週間か経て、”あ、私はこう思う!”(ち~ん)と”漫画・一休さん”ばりにすっきりする瞬間が訪れるのではないかしら。だから、当初の”もやもや”は、学びの大事なステップなのですね。

人材育成に携わるものとして、つい研修最後に「今日、学んだことは何ですか?」とその場で尋ねてしまうけれど、そして、それはそれで、その場で言語化できるコトを引き出すには役立つけれど、一方で、「10日後くらいにもう一度尋ねますよ」と予告だけして解散するってのもやってみたらいいんじゃないかしら、と思いました。

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ところで、岩田さんのセミナーは、好評につき、7月以降も継続することが決まったそうです。ぜひご期待くださいませ。

*大木さんにもご参加いただき、その上ブログでご紹介いただき、ありがとうございました。


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