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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

色気は大事、というお話。

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こちらのブログでデビューしたばかりで、どういう文体がよいのかも迷いつつですが、そういえば、事前に事務局の方と打ち合わせた際に「ゆるーい感じでいいですよ」と言われたことを思い出し、日曜らしいゆるい文にしてみます。(まだまだ文体迷走中。)

もう10年以上前の話です。およそ100歳の祖母を実家で8年近く介護していました。ほぼ終日寝たきりですが、意識ははっきりしており、食事も介添えすればまあまあ食べられ、片方の腕を支えることで、祖母は杖を持ち、頑張れば少しは歩けるという、そんな状態でした。お風呂に入れる際は、寝室からリビングを抜けて風呂場まで数十歩をそうやって歩かせ、少しでも衰えないようにと私達もサポートしていました。

それでも、やはり、身体が大変だったのか、年々「抱いていっておくれ」というようになり、歩かせても、牛歩以上に遅く、足も床から上がらないほどになることも。

ある日、わが実家に男友達が遊びにきたことがありました。皆で歓談している時間にちょうど祖母の入浴タイムになり、母が祖母をいつも通り寝室から風呂場まで歩かせようと介助を始めました。

「おばあちゃん、皆も見ているからねー、頑張ってー」と友人と共に応援しながら様子を見守っていると・・・。

なんと、なんと、祖母が物凄い勢いで「すたすた」と歩いていくではありませんか!?

これはなんだ!?と家族全員でオドロいたのですが、どうも、若い男性(といっても私と同年代ですから、30代40代でしたが、祖母にしたらうんと若い)がその場にいたことで全身がしゃきっとしたようなのです。

別の日のこと。デイケアサービスで若いヘルパーさん(これまた男性、たぶん、20代)が迎えに来ると、そういう時も俄然張り切って元気になるのですね。

やはり、人間100歳になっても若い男性には見栄を張るし、ついつい、張り切っちゃうのだなあ、と微笑ましく思いました。


そんな話を先日、とある研修の場で披露したところ、終了後に一人の受講者が近づいてこられて、「似た経験をしました」と教えてくださいました。

「家族もあまり判別できなくなっている義理のおばあさまに、ある日、”おばあちゃんが若いころ好きだった東海林太郎の動画をYouTubeで見せてあげよう!”とパソコンに映してあげたんです。そうしたら、おばあちゃんは突然、その場にいる全員のことがわかるようになったばかりか、昨日は何をした、とか、誰と誰がどうした、とか、いろんなことをしっかり話し始めたのです。いままで全く会話が通じない感じだったのに。一気に何十年も前の意識に戻ったようで。凄い!おばあちゃん、元に戻ったのかも!と家族で話し合ったくらいなんです。」

ああ、わかります、わかります。その感じ。

祖母が突然、すたすたとしっかりした足取りで歩いたことと同じパターンだから。

若い男性の前で頑張る。
若かりし頃好きだった歌手の映像を見て張り切る。

そういうことってあるだろうなあ。何歳になっても色気は大事だよなあ、と思った出来事でした。


ちなみに、プロフィール欄に「守備範囲は0歳から100歳まで」と書いているのは、こんなわけでした。

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