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iPhone 3G登場間際に思うー日本のモバイル市場へのインパクト再考

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去年iPod touch が登場した際に書いたエントリーを再掲載。

 

僕の見方は全く変わっていない。ただひとつ、ソフトバンクがiPhoneをゲットできると予想できなかったこと以外は(苦笑)

 

+ 追記:
キャリアがどこになるかはホントにどうでもいいこと。僕はどこであろうと買うし。
それより大事なことは、日本の独自仕様のケータイとそこに咲く花としてのモバイル事業者達が変化を強いられる、ということだ。ガラパゴス、という言い方を今誰もが言うようになってきたが、僕は2005年位からこの比喩を使ってきたが、その頃は誰もその状況が変わる、いや変わらざるを得ないということに賛同してくれなかった。しかし、いまや、キャリア自身が変わらなきゃ、という。

ただし、忘れてはならないのは、日本はガラパゴス的であったが、もはやガラパゴスではいられない、ということだ。
なぜならガラパゴス諸島はいまだにガラパゴスでいられる。特殊な生態系はいまも変わらないし、変えないようにみんなが保護している。それはガラパゴスが文明を持ち込む必要のない場所であり、結局小さな”諸島”で放置できるからだ。

しかし、オーストラリアはどうか?
オーストラリアの生態系も白人が入ってくるまで、大きなガラパゴスだった。それが白人が持ち込んだ犬達のおかげで動きの遅い有袋類達の多くは絶滅してしまった。(例えば犬と一番かぶってしまったフクロオオカミ)

日本のケータイも、生き残ることはできるだろう、細々でも。
しかし、全く輸出できない特殊仕様であるために、iPhoneを始めとする海外の標準仕様の新しい参入者達によって、そのうち市場は食い荒らされて、オーストラリアと同じ状況になるはずだ。

もう一度いうが、ガラパゴスは保護されているから状況は変わらない。しかしiPhoneは白人がオーストラリアに連れ込んだ犬達と同じで容赦なく、弱い機種を滅ぼししてしまう。その結果、日本のモバイル市場を変えるだろう。

http://blogs.itmedia.co.jp/speedfeed/2007/09/ipod_touchiphon_f488.html

作成者 : speedfeed | 2007/09/22 18:23
カテゴリー:ビジネス,モバイル



Apple storeからiPod touchの出荷が始まったというメールを受け取った。刻印サービスを申し込んだ場合には多少の遅れがあるようだが、今月中に届く見通しがでてきた。待ち遠しい!

さて、iPod touchは周知の通りiPhoneに非常に似たUIを持ち、電話機能(メールソフトもないけど)のないiPhoneと言っていい商品だが、無線LANの利用でWebの閲覧ができるという機能についてはほぼ同じだ。

ポータブルなガジェットでインターネットが使える。それをPDAと呼ぶべきか、携帯ネット端末、と呼ぶべきなのかは分からないが、iPod touchは日本でも爆発的な売上を達成すると思われ、それはケータイ以外で外出先で手軽にネットに接続できる初めての普及型商品になるだろう。
1Kgを切るパソコンはあるが、ケータイ世代の若者にとってはパソコンは既に”クール”ではない。電源を入れてから実際に使えるまでに十数秒かかるような機器を使うことは面倒くさいのだ。
(AppleはだからこそMacの電源を落とさない、Sleep状態を「安心して」保持できるような設計を数年前からしているし、そういう使い方を推奨し続けている)

前にも書いたが、面倒くささは人類最大の敵(?)だ。面倒くさいことをしたがるひとは少ないし、特に若い世代にとっては面倒くさいことはカッコわるいことなのだ。

iPodは残念ながら無線LAN経由でのネット接続だから、僕たちのようにIT業界の人間であれば問題はないが、多くのひとにとっては自宅やオフィスで無 線LANにつなげられるとは限らないし、HOTSPOTのような公共の場所での無線LANの利用を考えることができるリテラシーの高さを期待することはや や厳しい。

つまり、iPod touchを使ってWebを閲覧するということは、一般のひとにはまだハードルが高いわけだ。
しかし、iPod touchの登場は、実はiPhoneという黒船の襲来の序章である。

iPod touchはケータイ以外では初めてネットオタク(?)ではない一般のユーザーが手にする本格的なポータブルネットプレイヤーだ。無線LAN環境下、とい う条件付きながら外出先でもネットにつなぐことができて、電源を入れればすぐに使えて、しかも軽い。使っていること自体がカッコいい、という商品だ。
しかし、ケータイと違うのは、iPod touchがみているインターネットは、ケータイのそれとは違う。iPod touchはモバイルインターネットのガジェットではあるが、そこで展開されるWebは開かれたWeb、僕たちがWeb2.0と呼んでいる世界そのもの を、あの小さな窓で覗くことになる。ケータイでもフルブラウザを使えばみられるが、通常はドコモやauなどのキャリアを通してみる、閉ざされた世界であ り、日本のケータイという特殊な環境での擬似的なWebだ。

僕はこれをガラパゴス現象と言っている。
ガラパゴス諸島は隔絶された世界だから、特殊な生態系がそのまま残っている。日本はさまざまな形で文化的な特殊な生態系をいくつも残しているが、ケータイビジネスはその最たる例の一つだ。

iPod touchではまだまだ役不足ではあるが、iPhoneが入ってくれば話は別だ。(いつでもどこでもすぐにPC Webに接続できる)iPhoneが日本に入ってくれば、日本のケータイユーザーのうち、無視できない数の若者がiPhoneユーザーになるだろう。彼ら がみるWebは、ケータイの閉ざされたWebではない、PC Webになる。パソコンでみるのと同じ世界がそこにある。PCユーザーとケータイユーザーがみている世界が同じになるのである。
iPhoneの到来とは別に、1円ケータイの販売モデルも崩れつつあり、端末を安く売って通信料で稼ぐというやり方が破綻すれば、どうせ高い金を出して買うなら、クールなiPhoneを買う、というひとは増えるに違いない。
(このエントリの趣旨とは違うが、Mac OS Xのユーザーが一気に増えることになり、Microsoftは相当気分の悪いことになるだろう)

こうなると、日本国内の、キャリアの事情でできてしまった特殊な環境(ガラパゴス諸島のような隔絶された世界)は必ず崩れる。ケータイとPCのWebが違 う、生態系も違う、というのは(多少の違いはもちろん許容せざるを得ないとしても)絶対に不自然だ。こういう不自然さを許容しているから、日本の産業はグ ローバル展開できない。iPhoneと、その模倣者達が、少なくともケータイにおけるガラパゴス現象を解消してくれると僕は考えている。


ちなみに、どのキャリアがiPhoneを取り扱うか、ということがみんなの最大の関心事だと思うのだが、下馬評だと最近はドコモじゃないか、と言うひとが周りに多くなっている。
でも、僕はいろいろな障害がありつつも(音楽ダウンロードサービスの競合とか・・・)auだと予想している。
その根拠は薄弱ながら、Googleの存在だ。auはネットサービスのプラットフォームとしてGoogleを全面的に採用しつつある。Appleもまた同 様だ。Googleは無料ケータイを配布する計画を持っているかもしれないが、AppleとGoogleの協業は現在みえているよりも遥かに深いところで つながっていると僕は思っている。かつてのウィンテル以上だと思うし、Amazon-Googleのグーグルゾンよりもグーグルップル、のほうが実現性が 高い、と僕は考えている。

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