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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

売り込みあれこれ

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イベントの会場に居るといろんな方がいろんなものを売り込みに来ます。とりあえず出展担当者として対応するのも役目の一つなのですが、たまに不思議な売り込みが来ます。


技術担当者の方とお話がしたいのですが

多くの場合、出展物の開発を担当しているエンジニアが会場にスタンバイすることはそれほど多くは無いと思います。そのイベントの性格、業態や業種、商材そのもの、もちろん出展物の状況にもよりますが、開発チームの規模が大きくなればなるほど、出展に際して専門部隊が担当していれば尚の事、エンジニアがブースに常駐することは非常に少ないのではないかと思います。少なくとも私がいままで経験した展示会などへの出展の場合には、プロトタイプの展示など余程何か理由が無い限り開発エンジニアがブースに居たことはありません。
これが良いのか悪いのか、本来居るべきなのかについて一概には言えないのが苦しいところですが、それでもいろんな経緯で「技術担当の方とお会いしたいのですが・・・」という方がブースに来られるケースが多く有ります。大抵の場合「大変申し訳ありませんが今回は技術の担当は降りませんのでかわりにお話を伺います」ということになります。大抵はガキの使いにしかならないのですが、多くの場合切っ掛けが欲しいケースですので、とりあえず名刺交換したあと、担当部署や担当者を探して連絡を取ることになります。
このケースは、まぁ良い方かも知れません。


出展を担当されている方とお話がしたいのですが

このケースの場合、逃げ隠れ出来ません。何しろ相手の方が話しをしたいのは私だったりしますから。イベントの企画会社の方、ブースなどの施工会社の方、コンパニオンなどの人材派遣会社の方などなど。話の切っ掛けは大体同じようなパターンが多い気がします。

「いやー、盛大なブースですね。因みにいつもお取引先は特定のところと決まっているんでしょうか?」

こういわれても「いや、決まってないんですよ」と返答をする出展担当者の方はあまり居ないのではないかと思います。パッケージブースならいざ知らず、ブースを建てるなら何かしら相談が出来る取引先があるんじゃないかと思います。このような質問の時の私の答えも大体決まっています。

「まぁ大体いくつかの知ってるところから選ぶっていう感じですね」

もちろんこれが切っ掛けでコンペに参加していただくとかに進むケースもあるのですが、残念ながら全く知らないところとのお付き合いというのは正直なかなか難しいものです。でもいろんな理由でちょっと今までお付き合いしているところと違う方とお話をしたくなることも有ります。そんな時、どうするか?やっぱり誰かに相談して紹介してもらうことが多いのは事実です。非常に属人的な仕事故、とりあえず知っているところもしくは知っている人と相談して物事が始まることが殆どです。でも営業の方からすると、まずは知ってもらうことが先決というのも良くわかります。でも、でも・・・
このケース、何か起きそうで、でも実際には中々話が進まないケースのような気がします。


エイゴノハナセルカタハイラッシャイマスカ?

このケースの場合、経験上半分以上は人材紹介会社の方のような気がします。業種業態にもよるのでしょうけど、ITや通信業界の場合英語を話せ、かつ業界の事がわかる人材というのはやはり戦力になるのでしょう。つまり出展物が商品ではなく、「商品」の仕入れに来ていると言った方が正しいのかもしれません。
ひとしきり説明して「Thank you!」といいつつ頂いた名刺が、昨日同じように説明した人と同じ人材紹介会社の方だったというケースもありました。これは、正直疲れます。実際に良い案件を紹介してくれたらそれはそれで考えるのですが、私が結局使えないヘッポコだから駄目なのか、そういう方とお会いした後で何か新しい未来の夢を持てたことはありません。
これは自分の問題もあるのでしょうが、それはさておき、ビジネス的には全く不毛なケースと言えます。


こんな製品のアイデアがあるのですが是非ともご紹介したいと・・・

すいません。このケースは結構対応に困ります。まず間違いなく本来そのようなお話を伺う担当者がブースにいることはありません。また、そもそも、そのアイデアを誰が拾うことが出来るのかすらわからないケースが殆どです。もちろん売り込みに来られる方(多くの場合社長さん自らなのですが)の熱心さは伝わります。それ自体とても良いものかもしれません。でも、展示会のブースでそれを説明されても正直困るのも事実です。

因みに、このケースの最大の特徴は、困りつつそれでも一頻りお話を伺って名刺を頂いて、その後どうしようか悩むということじゃないかと思います。
何処の企業でも多かれ少なかれ事情は同じだとは思うのですが、いきなり何かを持ち込まれてもどうしようもない。カメラメーカーさんや玩具のメーカーさんのWeb Siteなどで「何かしらのアイデアを持ち込まれてもそれに対して一切反応いたしません」という旨の告知をわざわざ載せているところがあります。企画を持ち込む方の思いいれの強さは伝わるのですが・・・
このケースの場合、本当に困ります。一応お話だけは伺いますが。


ひとつだけすっごく昔話

大学のクラブで幹部をやっていた頃の話です。一応学校の文化会に所属するそれなりに歴史のあるクラブで、3回生の時に渉外という役割を幹部として担当していました。その仕事の一つとして100人以上が参加する夏合宿のアレンジがあったのですが、前年度までずっと担当していた旅行代理店の方と何故か検討の時期になっても連絡が取れませんでした。
そうこうしているうちに全く知らない旅行代理店の若い営業さんが部室に飛び込んできました。話をしてみるとキッチリ動いてもらえそうなので色々相談したらバッチリ。予算も場所も完璧(だったと思います)。その後しばらくして「あのー、今年の合宿の手配はどうしましょうか?」と元々お願いしていた旅行代理店の方が、前年度の渉外担当の人を通じてコンタクトしてきました。でも、この方、毎年幹部が変わるの知っているのに一度も部室に来てもらえず、結局私は一度も会えませんでした。
この年を境に、随分と長く(どうやら今でも)その旅行代理店とお付き合いがあるようです。当時最初に担当された方はその後大阪支店(営業所?)のトップになったそうなのですが、私のいたクラブにはずっとコンタクトが有るような話を最近も聞きました。
切っ掛けは私が担当していた時の飛び込み営業。でも学生相手でもナメてかからず、親身になって担当してもらい、それが後まで引き継がれているというのはなんだか嬉しい話です。


それでも売り込むのが営業の本懐

もちろん営業を担当されている方の役割と気持ちは痛いほどわかります。まず顔を繋ぐこと、そして何かしらビジネスに繋ぐこと。今まで何度も営業を経験し、その度に全然成績を上げられなくて営業をクビになった私には出来ないことですから、それ自体は素晴らしいスキルだと思います。
相手のニーズが判らないままとりあえず飛び込むのは本当に大変だと思います。困る時には困るのですが、それが新たなビジネスを生むきっかけになることもあるのも事実。ただ、学生と違い、ビジネスの場で飛び込みで売り込むのは大変なのも事実。

そうこう考えつつ、秋のイベントシーズンです。いくつか予定している出展イベントや主催イベントの会場で、さて、どんな売り込みを受けるのか。
楽しみにしているわけではないですが、でも実はやっぱり楽しみにしてるのかもしれません。

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