ウィーンの有名なホールで高尚にオペラ鑑賞といういきさつ(2)
おはようございます。
時差は逆に利用して真夜中3時に朝メ作業開始です。
===ほぼ毎朝エッセー===
昨日の続きです。
http://blogs.itmedia.co.jp/shiro/2013/02/post-2e14.html
> 完全なる不勉強飛び込み状態だった自分としては、たぶん人生初のオペラを
> こんな形で体験することになったのです。
>
舞台では若い女性と比較的年の行った男性の歌での駆け引きが始まります。
生音だけの声がざっと1000人を超える聴衆が入ったホール全体に響きます。
人は音を吸収します。これだけ響くことが驚異的です。
その響きの仕組みを理解しようと天井を眺めたり音の反響を確かめたり。
どうもこの理系オトコ、芸術を理解しづらいようです(汗)
しばらくして、ふと、思います。
「そうか。あのパンフレットに写っていた写真はオペラ歌手のものなのか!」
今更ながらですが、一つパズルが解けたような嬉しさを感じました。
そう。観演にきたのはオペラ。買ったパンフレットはその説明資料。
パンフレット、結構分厚かったのですね。
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前に座っている男性は「オペラグラス」で観ています。
「文字通りオペラグラスだな」と、一人で感心してしまいます。
オペラグラスを持っていない自分は、舞台が遠目で顔がはっきり見えません。
パンフレットを急いでめくりはじめました。せっかくなら歌ってくれているうちに
その本人の顔の詳細をみたいではないですか。
すると、左隣に着席している60代半ばと思われる女性が、サインをくれます。
56ページの「ここ」。と、無言でパンフレットのページに指をさして。
そう、分厚いパンフレットにはオペラの歌詞が書いてあったのです。
「なるほど!」と思い、該当ページを開いてみます。
歌っているイタリア語と、書いてある文字列とを比較推測しながら一緒に進みます。
イタリア語の隣にはドイツ語の訳があります。残念ながらどちらも"Greek to me"状態。
リアルタイムで流れていく歌の中での判読は不能。イタリア語の歌詞の文字を追いかけます。
「ギリシャ語を勉強しておくのはヨーロッパ言語で意味のあることなのかも」と、
きっとこれまた、こんなことを会場で唯一考えていた人間だったでしょう。
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舞台の方では貫禄ある女性がでてきたり、若手の男性が出てきたり。
後ろの方の合唱団もたまに参加します。合唱は特に歌詞が聞き取りづらいです。
しばらくするとなぜだか現在位置を見失います。
歌詞をアルファベットを追いかけて聞いているわけですから、見失うのが不思議。
ところがなぜだかわからなくなります。
どこを歌っているのかを探そうとページをめくります。
するとまた隣の女性が「ここ・・」と無言の指サインをくれます。
ありがたや。戦線復活です。
こんなことが2-3度あるうちにあるルールに気が付きます。
どうやら、歌詞には一度しか書いていないけど何度か戻って繰り返すことがあるのです。
だから、伴奏のトーンとかで、それがリピートされたの部分なのかを推測しつつ
加減しながら追いかける必要があるのです。
コツがつかめたら、迷子になることはほぼなくなりました。
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場面が変わると、大拍手がホールを包みます。「ブラボー!」という声も。
隣の女性も立ち上がって「ブラボー!」と叫んでいます。
なんだか気まずいので自分も立ち上がって拍手します。
オペラ鑑賞が自分の趣味ではないことをちょっと残念に思いながらも、
その観客との一体感に、ウィーンにはオペラ文化が成立していると認識します。
「もったいないなぁ。
教えてくれたソプラノ歌手さんだったり、永井(千佳)さんだったりしたら、
きっと大感激だっただろうになぁ」
と、こんな場にいられる自分が心苦しく思えたのです。
楽しむには事前知識や研ぎ澄まされた感性が必須ですね。
隣の女性は慣れているのか、1部が終わると同時に拍手をしながら出口へ。
後々理由がわかります。外に向かう人たちが長蛇の列になるのです。
これ以上、隣の女性の邪魔になりたくないので、挨拶はできませんでしたが、
1部で出ることにしました。
ホールから外にでると、ワインや飲み物が振舞われています。
ちょっと惹かれましたが、ホテルのラウンジで飲むことにしました。
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ということで、私の初オペラ珍道中でした。
まるで、あのオペラを観にウィーンに飛んだという見え方がしてしまうところに
苦笑してしまいますね。
さて、そのチケットの写真をfacebookに載せたらソプラノ歌手さんからコメントが。
再び、引用させてもらいましょう。
『昨夜の演目はグルベローヴァが歌うオペラだったのですねっ(◎_◎;)!!
彼女は『ベルカント(イタリアオペラ)の女王』と呼ばれてるソプラノ歌手ですが、
昨年の日本公演で引退宣言をしましたので、もう日本で彼女の歌を聴く事は
出来ない人ですよっ!!ヨーロッパでもあと一年位しか歌う予定が入っていないはずです。
現在たしか67歳とかだったと思いますが、この年齢でソプラノの演目を歌えている事
自体が奇跡的なのです~(*^^*)b』
実はすごい演目だったのですね。猫に小判で、本当に申し訳ないです m(__)m
でも、生楽器と生の声であそこまでの多人数が魅了できること、
そのことを目の前にできたこと、そこに体の細胞は感動して反応していました。
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ところで、あまりホールのことを書いてばかりいると観光に来ていると思われてしまうかもしれません。昨日は、オーストリアに本社があるSIerとの打ち合わせ。相手側の理解力がすばらしく、CACHATTO製品仕様と狙い、価格構造などにかなり納得してくれました。こちらでインストールから始めた評価を実施することに。次は技術がわかる人どうしでやり取りが発生します!
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※舞台の様子を書いていなかったので、二行追記しました。20130220 15:11