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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

[告知] インドネシア・インフラ案件視察のご案内

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インドネシア政府による官民連携インフラ案件の現状を把握するための視察を実施したいと考えています。初回はなるべく”軽く”仕立てて、できるだけ早期に行いたいと思います。ご興味がおありの方は、今泉までお問い合わせください(メール:dimaizumアットtkb.att.ne.jp )。伺ってご説明します。

先日ある案件で米国西海岸の企業などを視察して、改めて視察の威力を認識しました。電子商取引勃興期の1990年代末〜2000年代初頭に数度、先進事例の視察ということで米国の視察先選定と報告書作成の仕事をやらせていただいたことがあります。それから10年を経て、再び視察のお仕事をやらせていただいたところ、以下の感想を持ちました。

■視察で得られるもの

●視察で得られる情報量は多い。
インターネットでふんだんに情報が提供される時代になったとは言え、インターネット経由で得られる情報はやはり二次情報、三次情報です。現地では一次情報を直接、担当者から得ることができ、その情報量はまったく違います。例えばプロジェクトに関連したロケーションに立っただけで、そのプロジェクトが抱えている切実さのようなものを体感的に理解することができます(五感で得られる情報は大切です)。

●先方のしかるべき方と顔を合わせて話すことは重要。
視察で訪問する先々において、しかるべき方々にお話をいただき、意見交換などを行うわけですが、だんだんと打ち解けてきて、顔を見、視線を合わせて、互いの立場の理解が深まっていく過程は、プロジェクト参画の意思決定をする際に大きな重みを持つと思います。語弊はありますが、やはり相手の”ハラ”が見えるということは大事です。
また、担当者の生の話には、公開情報の数倍の情報量があり、その案件の本当の姿が明らかになってきます。

●現地に行くと理解できる「コンテキスト」がある。
例えばあるインフラがある社会的な要請をもって計画されている場合、その社会的な要請は現地に立ってみて初めてわかる筋合いのものだと思います(例:首都圏の交通インフラの切迫度)。また、政府なり政府系企業なりが、民間資金を当て込んでPPPとして案件を形成している場合、その背景にある具体的な「何か」が、現地に行って先方と話しをしてみて、意外な事実から、はらはらと明らかになる…ということがあると思います。そういうコンテキストの理解は現地に行ってみなければ得られません。

●その後のプロジェクト推進に役立つ足場、窓口ができる。
インドネシアでは個々のインフラPPP案件の「契約当事者」(発注者)は、中央官庁から各地方自治体およびPLN(電力会社)に代表される政府系企業に移りつつあります。これはおそらくリストアップされている100件近い案件を効率的に推進するため、推進主体を分散させる意図があるものと思われます。個々の案件に日本企業が関わるためには、そうした個別の発注主体と話をする必要があります。
インドネシア側主体による案件準備の早期の段階で、視察により、そうした担当者とダイレクトにコミュニケーションできる場を持つことは、その案件の受注活動において非常に大きな意味を持ちます。

●行く前と比べて確実に「前進」していることが自覚できる。
結果として、視察に行った後では、行く前と比べて、多くの情報が得られており、現地におけるコンタクト先が確保できており、特定のプロジェクトに関わる意思決定を行う際に、より正しい判断できる素材を持っているということになります。

■視察のデザイン

先日の米国視察では、視察先選定、視察先の訪問セットアップ、視察参加者のための事前ブリーフィング資料作成、視察後の報告書作成を受け持ちました。こうした経験を元に、以下のようなデザインが可能です。
なお言語は英語が基本です。

●訪問先に関する事前ブリーフィング(出発前)
●インドネシア政府系インフラプロジェクト推進部局の訪問(先方からのプレゼン。その後質疑応答)
●個別インフラ案件の推進主体(自治体ないし政府系企業)の訪問(先方からのプレゼン。その後質疑応答)
●日本政府系の現地情報機関の訪問(JETRO様等)
●インドネシアに拠点を置くリーガルアドバイザリー提供企業(国際法律事務所)ないしファイナンシャルアドバイザリー提供企業(コンサルティングファーム等)の訪問(先方からのプレゼン。その後質疑応答)
●インフラ事例訪問(現地に行き現物を視察)
●インドネシアの平均的な消費者像を知るための商業集積訪問
●視察実施後の報告書作成

期間としては1週間。週末のうちにジャカルタ入りし、月曜日〜木曜日の間に各先を回って、金曜日に帰ってくるというスケジュールになります。8月後半〜9月中旬頃の実施を考えています。

人員としては最大で10名(今泉を含む)。各社様1〜3名とすると3〜4社様ということになります。
言語が問題になりますが、海外インフラ案件は入札に関わる段階から以降すべての段階において、基本的に英語のやりとりになるため、できれば通訳なしで行きたいところです。(全体的な状況から必要になりそうであれば用意します)

旅行パッケージに相当する部分(便の手配、宿泊、現地の移動等)については、信頼できる旅行会社にやってもらうことを考えています。全体的な費用としては、このジャンルにおける視察一般と同じ水準ということになります。

■補足事項

以前に経産省のパッケージ型インフラ輸出政策の担当部局の方に確認したことですが、日本政府としては、インドネシア政府に対して「ただひとつ」の窓口を設けて、日本企業はその窓口を通じてのみ、インドネシアのインフラ案件にアクセスできる、という姿勢であるわけではありません。個々の企業がインドネシアに限らず、各国の政府なりPPP案件推進主体にアクセスし、競争入札に参加し、落札して契約を勝ち取ることは、大いに奨励されています。

また、弊ブログでもまとめたパッケージ型インフラ輸出政策の支援方策(国際協力銀行によるプロジェクトファイナンス等)は、個々の企業が独自に開拓した案件であっても、進捗する過程で、経産省ないし国際協力銀行等にアクセスし、相談をすれば、もちろんですが対応していただけます。政府およびJBIC等の政府系機関としては、個々の日本企業に大いに海外進出してもらいたいという意向を持っています。

インドネシア政府としても、上でも述べた通り、インフラプロジェクトについては分散推進体制を構築しつつあり、個別案件については、中央政府以外の推進主体が存在しています。そうした先と直接話をして、現実的なニーズを把握し、プロポーザルに生かすことは利にかなっています。また、先方のニーズをくみ取った上で、いわゆるUnsolicited Proposalを提案する余地を見つけることもできるでしょう。

昨年から現在にかけて、インドネシアのインフラ案件関連ドキュメントがふんだんに提供されていますが、PPP関連の法整備(土地収用等)については、現在進行形であり、静的な紙のドキュメントだけでは実際のところどうなっているのかわからないというところがあります。このへんは、下調べをした上で、関連部局の担当者に直接会って確認したいところです。

また、政府系のPPP推進組織ができあがりつつあり、受託した民間企業が使える資金措置なども整備されています。これについても、実際に活用するためには、どのような手順が必要なのか、当該組織の担当者に会って確認しないと、よくわからない部分があります。

日本から数社様がまとまって、一種のミッションということで訪問すれば、先様はウェルカムなはずです。できるだけ早いうちに、まずは伺ってみて、案件参画の足場を作るというのはいかがでしょうか?

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