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フリースを封印した日。~ファッション考(1)~

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そろそろ秋冬物衣料の出番になるので、この話題。

昨年、フリースを封印した。
2017年12月~2018年3月の一冬を、フリースなしで越せるか、試してみたのだ。
目的は、洗濯時に出るマイクロプラスティックの低減。

アクリルやナイロンなどの合成繊維、とくにフリースを洗濯すると、マイクロプラスティックが環境中に排出されるという。
下水処理場でフィルタリングされずに食物連鎖に組み込まれ、有害物質を吸着して、人体へと取り込まれると言われている。
ならば、できるだけ洗濯時にマイクロプラスチックを出さない衣類を着てみようと思ったのだ。

先に結果を書く。
ほぼ天然素材で乗り切った。

わたしの住居兼事務所は、駐車場が広い。そのため居室は、吹きっさらし。冬の寒さはハンパない。
そのうえキッチンに冷暖房設備がない。外気温と変わらず、3℃~4℃になる。夕食は365日家メシ、且つ、わたしと相方と別居の高齢者(親)の食事を作り分け、キッチンにいる時間は長い。食洗機なし給湯器なし、水で手洗い。足が霜焼けになってからは、上履きをやめてスピンリールブーツをはいている。「室内なのにアウトドア」状態。
また、高齢者の通院付き添いや車いす介助には、洗濯してもすぐ乾き、アイロンがけの不要なジャケットは、便利だ。それに、いっそう寒い深夜の通院付き添いもしばしば。
というわけで、防寒と洗濯の容易さから、フリースのベストとアウターを何点も持っていた。

ところが。
マイクロプラスティック問題が、想像以上に深刻化していることを知った。
買ったばかりの未着用新品が2点。着るか、やめるか。しばし悩んだ末、封印した。

とりあえずフリースはしまい込んだが、化学繊維を完全にシャットアウトしたわけではない。
PCに向かう時はモンベルのテントシューズをはいている。屋外作業時には、表裏が綿100%で中綿が化繊のキルティングジャケット(ダウンではない)。雨天時のナイロンパーカー。この3点だけは、合成繊維やむなし。それ以外は、天然素材。

外出時に着ていたのは、フランネルシャツ(綿100%)、ニットパーカー(ウール100%)、デニムコート(綿100%)、外出用の 501(綿100%)、ビーニー(ウール100%)、
室内では、シャツはそのままで、ベスト+カーディガン(ウール100%)、ワークコート(表裏とも綿100%)、室内用の 501(綿100%)。
就寝時は、ロンT(綿100%)、膝丈の501ショーツ(綿100%)。枕元に吊るしてあるワークコートを羽織れば、そのまま外出できる恰好だ。オンコール対応と防災面から、パジャマは着たことがない。それ以前に、ベッドで眠らずに、PCデスクの下に足を突っ込んでクッションを枕に仮眠をとって済ませることも少なくないのだが。
カウチで寝転ぶなどの家でくつろぐという習慣がないのと、実家の家風もあって、(化繊が多いジャージなどの)ルームウェアは、以前から持っていない。
アンダーウェアは、1年中、綿100%の "夏にはトップスとしても着られる" タンクトップ。ヒートテックは持っていない。

わたしは、シャツもコートも、洗濯からアイロンがけまで自分でする。
ニットは、ネットに入れて洗濯機の手洗いモードで。合成繊維のネットは、綿の巾着や風呂敷で代用できないか今後試す予定。
洗剤は「Arau」、ウールのみ「バード」を使っている。どちらも無臭だ。帽子はシャンプーで手洗い。ハンカチやタオルの類は、固形せっけんで手洗い。柔軟剤は使ったことがない。

もっとも、天然素材だからといって、環境負荷がゼロというわけではない。
綿花の栽培には農薬を使う。土壌が汚染される。
環境にやさしいのは、あまり農薬を使わなくても成長する麻らしい。

化学繊維のプチプラをワンシーズンで着潰すより、リネン・オーガニックコットン・(アルパカさんやミュールシングしていない羊さんの)ウールの服を10年20年と着る方が、環境負荷を抑えられる。長期的に見れば圧倒的にコスパは良くお財布にもやさしい。

近年、百貨店不況が言われるが、商品カタログを見ていると、さもありなんと思う。

懐の淋しい若年層や、教育費のかかる学生の親が、ファストファッションを選択するのは、やむをえないと思う。わたし自身、サラリーマン時代はお小遣いが限られたから(病親を扶養しつつ奨学金を返済していた)短期的視野で価格を優先する事情は分かる。
だけど、すこし懐にゆとりが出てきた世代は、価格やデザイン以外の要素についても、考える余裕はあるはずだ。販売側も、提案はできるはず。

にもかかわらず、中高年以上の世代が見ているはずの通販カタログの、掲載商品のほぼすべてが合成繊維か、混紡。100%天然素材の商品はごくわずか。
これはメーカーと販売店の方針なのか、それとも消費者のニーズに合わせた結果なのか。時代に逆行しているような気がする。

あたたかくしなければならない病人や、寒さに弱い体質の人、屋外での仕事に就いている人、寒い地域への出張がある人、アウトドアやウィンタースポーツをする人、近畿以北に住む人には、フリースは必要だろう。
だが、関西や九州の平野部か、それより南の暖かい場所に住む人なら、フリースなしでも、しのげるとおもう(たぶん)。

封印はしたものの、できれば、着たい。気に入って買った上質の(静電気が気にならない)フリースなので。
いちばん有難いのは、マイクロプラスティックに対応する洗濯機か洗濯方法が登場すること。
洗濯せずに着て、シーズンオフに洗剤を付けた布で拭くという方法では、汚れは落ちないかなあ?......どうすればいいかわからないので、今のところ、眠らせておくしかない。洗濯のプロの人たち、何か良いお手入れ方法を見つけてもらえませんかねえ。

フリースを購入したショップのひとつは、品ぞろえも、お店の雰囲気も、店長さんの人柄も良くて、とても気に入ってるから、こういうテーマについて書くのは気が引ける。
だけど、見た目だけではなく、生き方を表すファッションが、問われるような気がしている。

もし、環境に配慮してみようかなという気になったら、クローゼットを眺めて、これからのファッションについて考えてみてはいかがだろうか。

ちなみに、わたしは自分のライフスタイルを他者に対して提案はするが強いることはしない。家族は、価格最優先で、化学繊維が大半、冬場はフリースのジャケットをしょっちゅう洗濯している。

マイクロプラスティックの環境汚染問題については、次の記事を参照してください。

マイクロプラスチック問題 洗顔料化粧品なども原因に(msn ニュース)

愛媛大学 最先端研究紹介 infinity / 海洋マイクロプラスチックの研究 / 大学院理工学研究科 / 教授 日向 博文 / 専門:沿岸海洋物理学・海岸工学

今年も、フリースを封印したまま、冬を迎える。

近い将来、気候変動が激化して、全く新しい機能性衣類に、嫌でも置き換えていかなければ健康を維持できない、そんな地球にならないよう、願うばかりだ。

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