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昨日,KDDIが,10月19日に予定されているau冬モデルの発表会でTwitterを活用するとのニュースがあった。

au、冬モデルを19日に発表 Twitterも活用 (ITmedia,2009/10/16)

記事にある通り,発表会の前段階でTwitterアカウント(@au_official)を立ち上げ,そこで発表会に関する情報を事前に流すとともに,発表会当日の模様をリアルタイムに中継するとのこと。

今まで,イベントに参加したTwittererが自発的に実況中継することは多くあり,最初に活用した津田大介氏をモジって tsudaる などと言われているが,企業自身がtsudaるというのは新しいアプローチだ。

その中で,#au2009というハッシュタグを使用する旨もあわせて発表された。このハッシュタグとは「#」で始まる単語のことで,ユーザーが申し合わせて共通に使うことで,特定の話題やイベントについて検索しやすくするものだ。現在ではTwitterの公式機能としても取り入れられており,Tweet内にハッシュタグがあればハイパーリンク表示されるようになっている。

例えば,この#au2009でTwitterを検索するとこのようになる。
http://search.twitter.com/search?q=%23au2009

このタグ検索をたどっていってもおわかりの通り,昨日,このタグにからんでハッシュタグ競合問題でTwitterでは珍しいプチ炎上がおこった。時系列でまとめると次のようになる。

・10/16 13:53  @au_official で,つぶやき開始
・10/16 14:21  @it_mobileから,発表された"#au2009"が他のイベントとかぶっている旨がTweet
・10/16 14:46  @au_official から,au発表会に関してのつぶやきに "#au2009"をつけてとTweet
 (以降,ハッシュタグがかぶる先行イベントに迷惑をかけるので変更したほうが良いとのTweetが複数あり)
・10/16 19:05 @au_official から,"#au2009"は変更せず,継続使用するとのTweet
・10/16 19:40 この対応を問題視したユーザーが,"#antiauofficial" というハッシュタグで対抗
 (以降,この "antiauofficial を中心に一部ユーザー内でプチ炎上が起き,ブログにも書かれ出す)

・10/16 23:59 @au_official から,謝罪とともに "#au_official2009" に変更する旨のTweet

さらに詳しい時系列はこちらのブログを参照のこと
ハッシュタグ「#au2009」競合問題に見るKDDI広報の対応の不手際さ

このブログでは反発したユーザーを中心に追っているが,実際には "#au2009" を見ればわかる通り「それほど目くじらをたてることではないのでは」といった意見もあった。

ただ "#au2009" の中に混じっている英語のTweetは,先行して#au2009を利用していた別のイベント(AutoDesk University 2009)に関するものだ。彼らからすると,意味不明の日本語Tweetが突然混じりはじめたことに戸惑うユーザーもいただろう。一般的に言ってハッシュタグの競合使用は避けるべきだった。

しかし擁護派からは,大企業のわりに迅速(変更発表したのは深夜)な対応だったのではとの声もあった。また怪我の功名だが @au_officialは大きくフォロワー数を伸ばし,発表会のTweetへの注目度もかなり高まった。

@au_officialフォロワー数の増加グラフ http://twittercounter.com/au_official

さて,Twitterのビジネス活用を提言する立場として,この一連の騒動から学ぶべき,企業Twitter運営者への教訓をまとめてみたい。

1.Twitterはメルマガではない
Twitterのことを,ややもすると広報や製品情報を流すためのツールと勘違いしている企業運営者が多いが,それは大きな誤解だ。Twitterはメルマガのような一方通行の配信ツールではなく,あくまでユーザーとのコミュニケーションツールである。フォローしているユーザーがゼロであっても,企業アカウントに対していつでもオープンに質問や意見が飛ぶ可能性があることを認識しておく必要がある,活用する以上,自社アカウントはもとより,自社ブランド等へのTweetを適時チェックすべきだろう。また顧客との一対一対応を的確に行なうために,"CoTweet"などの企業向けクライアントを利用することを強くお奨めする。

2.ソーシャルメディアへの対応を社内で徹底する
オフィシャルTwitterを広報部門が担当する企業も多いが,メディア相手の業務とは時間や応対の感覚が全く異なることを意識すべきだ。特に注意すべきは意思決定者だ。往々にして,現場担当者は肌で感じているが,ソーシャルメディアに疎い管理職が意思決定を誤る,ないし遅らせる。過去にネット炎上した例でもこのようなケースは多く,Twitterに限ったことではない。企業がソーシャルメディアを避けて通ることはできない以上,社内講習などでソーシャルメディア応対姿勢を徹底すべきだ。

【参考記事】 【顧客コミュニティを成功させる7つの秘訣】 ~ 誠実な対話姿勢を組織内で徹底すること

3.ソーシャルメディアに精通した社員を選抜する

今回は「ハッシュタグ」についての経験や知識があれば,事前に競合を防ぐことができた。Twitterをはじめとするソーシャルメディアの進化スピードは異常なほど早く,かつトラブルが起きたときには極めて迅速な対応を求められることが多い。社内選抜などをして,担当部門には必ずソーシャルメディアに精通した人物を一人以上おき,意思決定に関与するようにすべきだ。例えば海外のトップブランドでは,そのような人物をエバンジェリストとして指名し,TwitterやFacebookなどでも個人情報(顔写真や氏名)を明らかにしているケースが増えている。

【参考記事】 ベストブランド100が指し示す企業Twitterの現在地

企業という見えない壁に守られていた時代はとうの昔に終わっている。ZapposやDellなどの先進企業においては,企業と顧客との交流のみならず,社員にTwiiter活用をすすめて社員と顧客が「人間と人間」として同一目線で交流することを奨励するにいたっている。ソーシャルメディア活用が,顧客満足度の向上だけでなく,日本企業の風土変革をもたらすきっかけとなれば素晴らしいと思う。

【追記】
ソーシャルメディア先進国の米国では,「ソーシャルメディアポリシー」を制定する企業が増えています。これは先に紹介したZapposやDellとは方向性が異なり,トラブルを起こさないためのリスク・マネジメント方針ですが,大企業にとっては参考になると思いますので参照ページとともに追記します。 ソーシャルメディアポリシーの実例、80+社 (POLAR BEAR BLOG, 2009/9/21)

p.s
@au_officialの担当者の方,昨日は眠れない夜を過ごしたのではないでしょうか。
深夜まで対応ご苦労様でした。発表会でのTweet,楽しみにしています。


筆者 Twitterです。 ご意見,コンタクトなどお気軽にどうぞ    http://twitter.com/toru_saito

Toru Saito
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株式会社ループス・コミュニケーションズ代表取締役
ソーシャルメディアのエキスパートとして,新しい時代を見つめます。

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