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セマンティックの波と情報セーフティネット

ツイッター監視TwitSafe99開発者の思い

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 少しご無沙汰いたしました、、と、Cnetの「意味解析技術で企業ツイッター担当者ご支援を開始にも書きましたが、この間、ツイッター監視TwitSafe99の最後の仕上げに没頭していま
した。

 下の画像のように、プレス・リリースの採択率はほぼ100%で、皆様の関心が高く、手ごたえを感じています。各記事は、 TwitSafe99 OR ツイットセーフ   で検索してご参照ください。

Twitsafe99pr2010_0901

 お察しいただけるかと思いますが、内容的に、センシティブなところがあり、検閲、みたいに誤解されたらどうしよう、、とドキドキもののリリースだったりしました。インプレスのクラウドWatchさんが、その辺り気を遣ってくれたようです。実はオプション機能となっている、自社自身のツイートに、失言・暴言がないかをチェックする、というものを前面にとりあげてくれました。※標準機能は、@kigyo という、その企業アカウント【への】書き込みのチェックの方です。

 うっかり発言は、誰にでもあり得ることかと思います。それが、リアルタイム・ソーシャルメディアの場合、10数分程度で猛烈に拡がってしまうことがあります。人手では間に合わないから機械が意味解析をして対応。これはセーフティネットです。

 CRM担当者も人の子。お客様の言葉にムカッとすることもあるでしょう。リアルタイムで、【本音で】、カジュアルスタイルで応答することが期待されているツイッターでは、当然ながらミスる可能性が高いです。気が付いたときは、、というときのために対策が必要では、という提言です。

 企業アカウント【への】書き込みの中には、支店や担当者によって異なる扱いを「不平等では?」と問いかけてくるものもあります。「困った書き込みはスルーしましょう」と薦める無責任なマニュアル本が多いですが、センシティブな書き込みについては、ムキになって反論するのはもちろん、無視するのも厳禁。しかも迅速に対応する必要があります。そこで、やばそうな、ネガティブな表現、言い回しを検知したらリアルタイムで指定のメルアドに送信します。

 一方、フォロワー数が多かったり活気ついているアカウントには、アフィリ収入狙いの無関係書き込みや、愉快犯的なエロ駄洒落、ひどいものでは、目立ちたいがための殺人予告(5/31の報道では「ツイートで本当に逮捕されるか確かめたかった」という人が逮捕されてました)まで @kigyo で書き込まれる可能性が高くなります。甚だしいものは、リアルタイムでアカウント自動ブロックもやむなし。そうすれば、関係者に嫌な思いをさせたり(体調悪化するほど!)、心配で何か無益な行動に走らせたり、というリスクが軽減します。

 ちなみに私は、自由な言論を徹底的に支持する者です。言葉狩りには大反対。しかし、自分で判断できない、周囲の発言に影響されて考え方が変わってしまう子供を中心に、守られるべき人が、攻撃的(誹謗中傷など)/反社会的(核爆弾の製造法や麻薬原料の栽培方法など)/性的/暴力的な表現を読まないで済むような仕組みは提供されなければなりません。

 シンプルな喩えでいえば、レンタルDVDショップのアダルトコーナーに仕切りの暖簾が最低限用意されてるようなもの、といえましょう。

 いろいろ議論の余地があることはもちろん認識しています。8月下旬、産経新聞1面に掲載された、「APEC横浜会議(オバマ大統領参加)でテロを起こそうとしているグループがツイッターで連絡とりあっている」という記事にも驚きました。まさか公開ツイートでやるわけはないので、非公開ツイートまたはDMでやりとりしているのでしょう。米国では疑いありならば、一定の条件でFBIがツイッター社のサーバを見る権利があります。しかし日本では、通信の秘密を守る、という法律のために、電気通信事業者は、検査を拒否するのが当然。どちらが正義か、簡単に結論は出ない気がしています。

 民間企業のCRM (Customer Relationship Management) 、顧客対話の促進、という観点に戻ると、ツイッター安全神話が崩壊しつつある現在(そもそも「返信」ボタンで書いた内容が全世界に公開される、初心者が誤認・誤用してプライバシーを漏らしやすい仕組みを「安全」と称していたのもどうかと思いますが)、企業が萎縮し過ぎて情報を出さなくなるよりは、お客様とリラックスして対等目線で、可能な限り本音で話せるようなセーフティネットがあった方が良いのではないでしょうか? 私は1消費者として、その方がQoL (Quality of Life) が上がりそうで嬉しいです。

 一方、クレーマーさんにとって、ツイッターほど便利なツールはない、と言っても過言ではないでしょう。お店の人にちょっと邪険に扱われてムカついているとき、スマートフォンで即、胸の名札の名前を書いて「こんな奴さっさとクビにしろ! @masa***」などと書いて、あーすっきり。夕食のころには、そんなこと書いたのすっかり忘れていて、でもそれがリツイートされまくり、数10万人の目に触れた結果、いたたまれなくなった店員さんは退職または解雇。こんなことが現実に起きかけています。

 セーフティネットなんて、ふだんはその存在を忘れていて良いのです。いざというときに命を救ってくれれば。車のシートベルトは、確かに最初の頃、慣れるまでは、面倒くさい、うざい、と思われていたかもしれません。でも、いまや付けてないと不安で仕方ない、という人が大多数となりました。っていうか付けてないと反則金取られるし、事故の際に保険金も全額支払われなくなっちゃいます。

 ソーシャルメディア利用、コミュニケーションについても、今後同様のことになるのではないかと、予測するのは間違いでしょうか?

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