ビジネスや技術の評価における適合率vs再現率(2)
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この課題は、成績を評価される営業マンはもちろん、研究開発部門、法務部門など、さまざまな管理系の部署所属の人にとっても興味深かったようです。
中でも印象的だったのが、全く独立に同じ答を導き出した、別々の会社の知財法務部門在籍の2名の方でした。その概略は次のような感じです:
- 特許サーチは、自社の技術開発ならびにその知的財産権確保、ひいては安心して関連製品を製造販売できるようにするための極めて重要なタスク
- 特に、研究開発投資を行い、製造せんばかりになって、いや、量産後に、また一定量販売後に、先行他社による類似特許が見つかった、とあっては、賠償金の支払いや製品回収、製造販売差し止め(特許権は超強力!)をくらいかねない、悲惨な自体に陥る
- かといって、 特許サーチに縛られて研究者の自由な発想がしぼんでしまっては元も子もない
- そこで、ブレインストーミングを何度か繰り替えして研究テーマを選び、絞る上流工程で自社の強みを技術面で評価、確認するなどの目的で行う特許サーチは、【読むに値する、非常に参考になる関連特許を適量発見】することが主目的となる。故に、読み手である技術者にとってノイズまみれでなく、狙ったテーマについて高い比率で、欲しかった特許明細書が多く含まれることが望ましい。すなわち、P=適合率重視!
- 一方、テーマが確定、固定し、研究成果が出ることが確実になって、そこから生み出される商品スペックがある程度固まってきたときには、万一にも、ほぼ同一の先行発明があっては、将来、上記2のような多大な損害を被り得る。そこで、自社特許内容とよく似た特許が存在していたら1つの取りこぼしもないように、検索できなければならない。 すなわち、R=再現率重視!
如何でしょうか? 同じ特許サーチでも、研究開発のフェーズによって、P重視、R重視、と移り変わっていくこと、特許サーチの正しさ、適切さの評価に際してこのような考察、配慮をすべきだったことで、知財部門マネージャの人に「大変感動した!」と言っていただきました。
評価、というと決して辛気くさいものでもなく、とても戦略的な、自社の研究開発、製造販売の方針を大きく左右するような局面で、PとRを巧みに使い分けるべし、という事例として、それこそ、講義室が知的興奮に包まれた瞬間でした。
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