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もしも洞察力があったなら……。

海水パンツで山は登れない(いや、登れないことはないが、かなりキツイ)

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前投稿の続きである。

タイトルは、もっと現実感のあるたとえは何かと思案した挙句に思いついたものである。したがって、「ジオンの失敗」の著者と意を一にしているかどうかは、わからない。いつか、聞いてみよう。

実は知らなかったのだが、大型のモビル・アーマー「ビグ・ザム」は地球のジャングル地帯”ジャブロー”で投入されるはずだった特定用途戦略マシンなのであった。ジャングル地帯での使用を前提としているから、足は大きく、何でも踏み潰してしまいそうなスケールだし、搭載している火力も、”四の五の言わずにすべて焦土”というような強さだ。(具体的なスペック等は割愛)

しかし、実際に「ビグ・ザム」が投入されたのは宇宙空間だった。私は宇宙に行ったことがないので詳しくはわからないが、こうした戦いの場になると、上下左右の感覚がなくなるそうだ。つまり、足の下とか、頭上、とかいう概念がなくなる。重力がほぼない中で、物は上から下には落ちないのである。

「ビグ・ザム」は地球上で使われるはずだった。つまり、頭上、正面、左右、背後からの反撃を想定して設計はされていたが、足元からの攻撃はほとんど想定していない、つまり、死角であり、装甲も薄かったとか。

そもそも、地球で使うはずのものがなんで宇宙にあるのかが不思議だが、これは、プロトタイプの製造時点での戦局にかかわる話のようだ。最初の一機がプロトタイプとして造られて、さぁ、どうしよう、と思っているうちにガンダムが来ちゃったのだ。

*林間合宿なのに臨海合宿と聞き間違え、海水パンツで出かけてしまったような、そんなでもないような。

「ジオン軍の失敗」岡嶋氏は、高出力ゆえに、出撃可能時間自体が15分と極端に短いことも問題視をしていた。いくら強くても、15分ではできることが限られていると。

ソロモンの会戦におけるビグ・ザムは不幸な実践機だったといえる。もともと拠点制圧兵器としての属性を与えられ、しかもその拠点とは地上に存在するジャブローであったのだ。宇宙空間での運用に転じた機体には、多くの改修とそれに倍する妥協が詰め込まれたであろう。その中でももっとも大きな妥協点が連続稼働時間せあったことが、ビグ・ザムの不幸を決定的にした。15分程度しか戦えない機体は、搭乗者に死の覚悟を要求した。

そして、こう結ぶ。

製品は、使いたいときに使えてこそ、その能力を発揮する。贅を尽くしたデコレーション・マシンも、動かなければただのゴミである。あえて言おう、屑であると。

ギレン・ザビ氏の演説をモチーフにした、鋭い指摘である。

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