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「使いやすく」「ハマる」技術とは! それは・・・

任天堂、横井軍平氏の哲学「枯れた技術の水平思考」を考える。eラーニングや福祉分野等々にも考え方の応用ができる!やはり任天堂とApple社は考え方が近い。

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ゲームソフト開発関連者であれば知っているであろう、「横井軍平」氏。
そう、任天堂でゲームクリエイターとして数々のヒット商品を世に送り込んだ人物である。
残念ながら、1997年56歳で追突事故に巻き込まれて死去。

本日の内容はゲーム話だけの記事ではない。IT関連の他分野でも参考にして「使える」モノやサービスを提供していくための”気づき”になってもらえると考えている。

「ウルトラハンド」「ウルトラマシン」「光線銃」から「ゲーム&ウオッチ」。40歳前後の人であれば遊んだことがあるヒット商品ばかりである。これらは1960~70年代の商品である。
今思えば私はどれも買っていた。ウルトラハンドで少し遠く(せいぜい70~80cmくらいだったと思う。)のものをつかみ。ウルトラマシンでバッティング練習を。ゲーム&ウオッチは友達の別種類のものと交換しながら遊んでいた。
どれも横井軍平商品であったのだ。

そして、面白いのが「ラブテスター」である。これは男女が手を握り愛情度を測る玩具である。横井氏は公然と女の子の手を握るために作ったそうである。発想が楽しい。

横井氏の哲学に、「枯れた技術の水平思考」という言葉がある。 以下、ウィキペディアから引用

ここでいう「枯れた技術」とは、「すでに広く使用されてメリット・デメリットが明らかになっている技術」のことで、これを利用すると開発コストを低く抑えることができる。「水平思考」(Lateral thinking、エドワード・デ・ボノ Edward de Bono 提唱)とは、今までなかった使い道を考えるということである。「ゲーム作りは面白ければよく、ハイテクが必要なわけではない。むしろ高価なハイテクは商品開発の邪魔になる。そのためにごくありふれた技術を使い、それをまるで違う目的に使うことによってヒット商品というものは生まれるのではないか」という考えである。

例えば、ゲーム&ウオッチを5年早く出そうとしたら10万円の機械になってしまったらしい。それが量産効果でどんどん安くなって3,800円になった。
また、ソニーのウォークマンはソニーの技術力でしかできなかったかというとそうでもない。他の会社でもウォークマンを見さえすれば簡単に作ることができたはず。ところが、ウォークマンというアイディアはソニーしか出せなかった。

それでは、ゲーム&ウオッチ以降の代表作を横井氏の言葉とともにご紹介しよう。

・ゲーム&ウオッチ(1982年)
Dk1_2
今思えばニンテンドーDSの雛形的な構造で上下に2画面あるマルチ画面となっている。
「オイルパニック」や「ドンキーコング」が代表作である。
そして、「ドンキーコング」でゲームとしては初めて十字キーが採用されたのである。これも横井氏の発案となる。
十字キーは、上を押せば下が浮き上がり、感触だけで押している方向が分かり手元を見る必要が無くなる。 そして作り手としては、一つのパーツで出来ているため安くできる。

横井氏:「ゲームで遊ぶ人はマニュアルなんか読まない。
キャラクターはハウツープレイの役割を担っているので上手く利用する。
誰でもが説明なしにゲームが遊べるか、を考える。」

この思考のもとで考えられたことは、
・「オイルパニック」ではバケツ持っていれば拾いたくなるし、
・「ドンキーコング」では後ろから火の玉が追っかけてくれば逃げなければならなくなる。
一目瞭然でゲームをどうすればよいか分かる仕掛けを構築している。
さらに、「ドンキーコング」では、
コング、ビーチ姫、マリオと新しいキャラクターのため始めてプレイする人はこの3人のキャラクター性がが分からない。
そこで、デモ画面を付けてコングがピーチ姫をさらって登っていくようなデモ画面を付け、下から上へ登っていけばよいと分かるようにする。
登らない人がいたら後ろから火の玉がきて無理やり登らせる。
当時としては画期的な演出であろう。

・ゲームボーイ(1989年)
ファミコンより安い価格で、マルチソフト版ゲーム&ウオッチを発売した。
電池寿命、見やすさを命題にモノクロ液晶を選択したが、後発他社のカラー携帯ゲーム機にも勝利している。
特筆すべき点は、ケーブルを繋げて対戦ができることにより、画面を見るだけでなく相手の表情も見ながら対戦が出来るようになったことであろう。これがファミコンとの最大の違いであり利点である。

・ワンダースワン(1999年)
この携帯ゲーム機は横井氏が深くかかわっていたのだが発売時には残念ながら他界されていた。
面白いのは以下の2点である。
1)縦にも横にも持って遊べる
 これはiPhoneに通じている。
2)コンテストして素人の中で良いものを商品化するシステムをとっている
 これはiPhoneアプリに通じている。
時代を先取りしていたのであろう。
私が以前「任天堂とApple社」
を書いたが、「横井軍平とスティーブ・ジョブズ」とタイトルを変更してもよいと感じた。

横井氏: 「色とスピードを競争するのはゲーム会社の本質ではない。
人間は色を概念として見る。
スピードは相対性の問題。
動かすものもゆっくりなら難しさは出せる。
ゲームの本質は、アイディア。
アイディア不足の抜け道がCPUや色競争。」

この考え方は「テレビゲーム理論(iPad、そしてニンテンドーDS、制限がある中で・・・)」にも通じる。

この横井氏の思想は決してゲームだけで終わらせてはならないと思う。
他のIT分野(eラーニング、福祉IT関連、等々)にも応用することにより、「使える」モノやサービスができる。

これは『スマートIT』術の考え方の原点だと考えている。

◆参考文献&講演
横井軍平ゲーム館 RETURNS ─ゲームボーイを生んだ発想力
・軍平ナイト2010(2010/07/30)

◆関連サイト
・2010/05/13テレビゲーム理論(序論)

・2010/05/26テレビゲーム理論(iPad、そしてニンテンドーDS、制限がある中で・・・)

・2010/06/11テレビゲーム理論(『安心感』)

・2010/07/05日本人が持っている”もてなし”の文化。ソフトウェア開発に取り入れてますか?

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